第116話 EXポーション

激怒なイルマさんをなだめながらも、私の為にこんなに怒ってもらえた事が嬉しいやら申し訳ないやら、ちょっと顔が緩んでしまった。




「そちらで買い取って貰った時の代金がまだまだ残ってますし、食材ダンジョンなので食べる物には困らないので大丈夫です。でも如ノ月で雪が落ち着き始めたら次の街を目指そうと思っているので、それまでにまた旅の資金が少しでも貯められれば良いなぁと。行く街町でこういう対応ばかりされていたらまともな取引は期待出来ませんし…。」


テイマーというだけで何故そんなに見下すのか意味が良く分からないが、この世界で強い魔物の上位に入るというケオトートティーガのヴィミエナとヴィヴィを連れていてもこの扱いなのだからテイマー軽視の根は深そうだ。


「なら此処に売りに来ればよかろう?」


すっかりイルマさんと2人で話し込んでしまっていたら横からアニュラさんから声がかかった。


「薬師ギルドでも素材を買い取って貰えるんですか?」


「ギルドでは基本薬の材料になる物だけじゃが、それ以外に面白い物が有れば儂が個人で買取ろう。勿論、サクラ殿が良ければだかのぉ。従魔の面々を見ておれば死の森の素材を手にする事が可能なのは分かりきった事じゃからな。死の森の素材を研究出来る事など中々出来ん事じゃからのぉ。」


「先生の研究好きが出ちゃったわね。でも先生なら買取相手として太鼓判を押すわ!他のギルドの職員より断然信用出来るもの!!」


イルマさんの太鼓判もあるし、アニュラさんの提案を有り難く受ける事にして、早速何を買い取って貰えるかを3人で話し合う。



「イルマさんの言ってた凄いポーションはこれの事です。それと死の森の素材は薬草、ママンゴ等の食材に魔物の素材。肉は私とこの子達のご飯になるのであまり買取に出してません。」


カラー瓶に桜の花を象った蓋に入ったポーションに、薬草やママンゴ等の果実数種類にアイテム作りに使って余っていた魔物の素材をアニュラさんに見せる。


ポーションはこの世界に来て最初の頃に作ったやつ。


「このポーションは凄いのぉ。薬草だけで下級のEX《エクストラ》ポーションとほぼ同じ品質とは…。」


「あの、EXポーションは魔物の素材を材料に使って作るポーションですよね?」


女神様から頂いたチート知識にも有ったけど、自分で作った事はなかったこのポーション。


「薬草だけで作るポーションはポーションと。魔物の肝等の素材を使って作ったポーションをEXポーションと呼ぶのじゃよ。EXポーションの下級品質の物で薬草だけの特級ポーション3本分の効果が有ると言われておる。値段も上がるが効果も上がるので上位冒険者はEXポーションの方を備えている事が多いの。」


「逆に新人冒険者には手の出せないお値段だから薬草だけで作るポーションも需要があるのよ。」


ふたりに説明してもらいつつ、食べ物と快適生活の為に必要な物の情報くらいにしか、しっかりとチート知識を使っていなかったからなぁと反省。


せっかく頂いた加護なのに…。


今度改めて女神様達に頂いた知識と物作りの図鑑しっかりと見ておこう!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る