第114話 竜人族のギルドマスター

「えっと、私が作ったのじゃ何かまずかったでしょうか?」


ちょっと不安になったので素直に聞いてしまったよ。


「フォフォフォ。いやいやまずくはないさ。素直に凄いと言うだけじゃ!イルマが言っていただけの事はあるのぉ。サクラ殿よ。」


「私の事知ってるんですか?!」


「イルマから連絡を貰っておるからのぉ。あ奴は始まりの町で薬師ギルド職員を兼任しておるじゃろう?つい先日、ケオトートティーガを連れたテイマー冒険者が近々ソルシャンに行くから宜しくと。きっと凄いポーションを持って行くからとのぉ。」


「凄いポーション持って行くって…イルマさんが買取に出す物は気をつけてって教えてくれたの守ってるつもりなんだけどなぁ。」


「分かっておるよ。イルマの言う凄いポーションとはこれではないのじゃろう?が、このポーションも十二分に凄いぞえ?して、イルマの言う凄いポーションとやらは見せてもらえるのかの?そうじゃ。自己紹介をしておらんかったのぉ。儂は薬師ギルドのギルドマスター、アニュラじゃ。竜人族でここオリビアデル国の隣国、バロンレナ国からの流者じゃ。」


アニュラさんはやっぱり竜人族なんだ!異世界っぽい種族の人とちゃんと話すのは初めてかも!


しかもこの世界に来て数カ月経つのに、この国以外の国名を聞いたの初めてかもしれん…。



アニュラさんの話ではここオリビアデル国、アニュラさんの出身国バロンレナ国、死の森から遺跡を通って行けるストラノ国。1番大きなバリショヴェーロ国。魔人族や亜人族が多く住むというミステロプス国の5カ国からなるのがこのダルシュテル大陸なんだそう。



そういえば、女神ペミネルラ様から頂いた知識の中にそんな話があった気が…。

生死に直接関係しなかったからすっかり抜け落ちていたわ…。





自らを流者といったアニュラさんだが竜人族は本来、大型な体格で力こそ正義的な肉体派種族らしい。

そんな中で小柄でポーション調合や植物の研究等が好きだったアニュラさんは他の竜人族から邪険に扱われ居心地の悪さから国を出たそう。


異国で薬師ギルドのギルマスになれる程の知識と腕があった人を自ら手放した竜人族のこれ以上の繁栄は難しいだろうなと言ったらアニュラさんに驚かれた。


でもそうじゃない?強さだけではどうにもならない事も多いよ?現に戦でも作戦を練る軍師の采配で戦況がひっくり返ったという歴史は多いし。


「此処での生活は退屈せんから楽しいのじゃよ。」


アニュラさんがとても良い笑顔で言っていたので、国を出ると決めたアニュラさんの判断は彼女にはとても良かったんだろうけどね。

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