第112話 バチバチ!
ソルシャンの街のギルドでも余り良い対応はされなかった。
始まりの町の人達が本当に優しかったんだなぁ。
テイマーというだけで見下す人もいるので、死の森の素材を売る場所はしっかりと見定めた方が良いとイルマさんに忠告を受けていた。
高価な物じゃない品を買取に出した初見さんへのギルドの対応はどうかを見ていたけれど、これはねぇ。
しかも買取に出してから30分(この世界では半刻と言うそう)以上、うんでもなければすんでもない。
量はそんなに出していないはずだし、なんなら私の後から来た人の方が先に呼ばれて査定をされている。
そして私を担当した受付の女性のこっちを見てニヤっとした顔。
なるほどぉ、そう言う事かぁ。
ちょっとカチンと来る歓迎のされ方だったので、こちらもちょっと意地悪してやるもんね!
各ギルドには座って一休み出来る場所が必ず設置されている。
冒険者ギルドには軽い食事とお酒の飲める食事場が、商業ギルドにもお茶を飲みながら一服できる休憩室の様な場所がある。
今も自分の番号が呼ばれるのを待つ間に、軽い食事をとっている商人がちらほらといる。
というわけで、私達も席につきおやつタイムだ!
「まだかかりそうだしおやつでも食べようか?」
『みゃみゃみゃ!』
『プリュ〜!』
『フシュ〜』
『おやつか良いな。』
『わふぅ?』
皆おやつタイムにテンションが上がったようだ。
シリウスだけは首を傾げているけど、そういえば、おやつタイム初体験だったね。
「シリウス、おやつタイムは美味しい物を食べる時間だよ〜。」
『わふ!』
「じゃあ、今日はこれを食べようねぇ。」
おやつタイムが何故に意地悪になるのかと思われるかもだけど、ここでアイテムボックスから取り出したのは死の森の果物の中でも高級だというママンゴ。
小さめのナイフで皮を剥いたら、ヴィミエナには2個。モモとヴィヴィとシリウスには1個ずつ。
手のひらサイズの蜘蛛型魔物のマリモはママンゴの実1個は食べ切れないので私と分けっこで合計6個。
『ミャミャウ〜』
『プリュリュ〜』
『フシュ〜』
『わふわふぅ』
『ママンゴはやはり美味いな。』
美味い〜と皆ご満悦のようで良かった。いや、本当に甘くて濃厚で美味しいのよ!
受付のお姉さんはというと、ヴィミエナがママンゴと言った事もありこっちを見て目を見開いている。
そりゃあそうだよね。1個数千円すると言われている果実をいっぺんに6個も食べているんだもん。これだけで金貨4枚、4万円近いお値段。
そう意地悪とは、実は高級素材も持ってたんだぜアピール。
まぁ、クロリスちゃんのおかげでアイテムボックスの中に山ほど入っているんだけどね。
おかわりもあるからもっと食べる?なんて従魔の皆に聞く時も、数個ママンゴをアイテムボックスから取り出してみせる。
皆で美味しくママンゴを頂き終わった途端に番号を呼ばれた。
「お待たせいたしました。こちらが今回の買取金額、銀貨6枚と銅貨4枚になります。」
「ありがとうございました。」
結局1時間(この世界では1
お金を受け取って帰ろうとしたら声をかけられた。
「あの、他にも売る物がございましたら承りますよ?」
もうあからさますぎません?
「いえ、ありませんので大丈夫です。あったとしても査定にまた1刻掛かるとこの後の予定に支障をきたしますし、これ以上くだらない物をお出しして皆さんのお手を煩わせる訳にはいきませんから。失礼します。」
満面の笑みで言ってやったぞ!
お姉さんの顔から血の気がサアっと引いたけどを知りません。
こんな対応をするギルドにはママンゴなんて売ってあげないもんね!!
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