第111話 ソルシャンの街でも

「ようこそ。ソルシャンの冒険者ギルドへ。ご用件はなんでしょうか?」


順番が回って来て対応してくれたのは男性の受付さん。


「この子の従魔登録をお願いします。後、ダンジョンに入りたいのでその許可申請をお願いします。」


おんぶしたシリウスを見せつつ冒険者カードを提示する。


「これは…。冒険者登録から3ヶ月未満でDランクは何かの手違いでは?逸れ討伐の貢献ってあなたがですか?」


と上から下まで見られた。


何これ感じ悪い奴かしら?


「ふふ。すごいでしょう?うちの子達が優秀なので!!元Aランク冒険者のマリリンさんもいましたしね!信じて頂けない様でしたら始まりの町の冒険者ギルドのギルマス、ヘルマンさんと領主のマチルダ様に確認してください。ギルドには各地のギルドと瞬時に連絡が取れる機能が有るって聞いてますし。あ、魔石が必要ならこちらで出しますよ?!」


とりあえず満面の笑みで隣でお座りしているヴィミエナを撫でながら言ってみる。


各ギルドには離れていても瞬時に連絡が取れる電話の様な物が有るのは旅立つ前にイルマさんに聞いた。ソルシャンに着いたらこれで連絡しなさいねと言われたのだ。


死の森で狩ったスライムの魔石を幾つか出せば、受付の男性はそれを持って受付の奥へと入っていった。


本当に確認するのかな?まぁ、私の言葉よりギルマスのヘルマンさん達の言葉の方が信じて貰えるか。


しばらく待っていると男性が戻ってきた。その顔はなんだか納得行かない!みたいな顔をしている。


いや、納得行かないのはこっちだけどね?


「こちらを…。」


無愛想に渡されたのはシリウスの従魔登録の終わった冒険者カードとダンジョンに入れる入場許可証。


うん。態度が悪い受付さんだな。このギルドで死の森の素材売るのは辞めよう。


「ありがとうございました。」


最後まで満面の笑みで対応し通してやったぞ!


感じの悪い受付対応だった冒険者ギルドを後にして今度は商業ギルドへ。


ソルシャンに来るまでに通って来た森で取れたキノコや木の実や果物を買い取ってもらえるか確認しに行く。


素材の買取額は多少変わるものの、各ギルドで買い取ってくれる。


冒険者登録をしていない旅の人なんかは、道中で手に入れた素材を商業ギルドに持って行き買い取ってもらう事が多いのだとか。


始まりの町ではどっちのギルドでも適正価格で買い取ってくれていたけど、他の街ではそうではない買取をするギルド職員が居る事もあるので気をつける様にともメリアさんに言われていたのよね。


そして同時にそれを見破る方法も教えてもらっていたので実践。


「この町に着いたばかりなのですが、これまでに採取した物を買い取ってもらえますか?」


「では品物をこちらに置いて下さい。商人カードも有りましたら一緒にお願いいたします。」


受付で出されたトレイに買い取ってもらいたい物と商人カードを乗せる。


「では査定をしてまいります。こちらの番号でお呼びしますので札をお持ちになってしばらくお待ち下さい。」


そう言って受付のお姉さんは下がって行ったが裏で言い放った言葉を私は聞き逃さなかったぞ。


「食材ダンジョンの街でこんなくだらない物売りに出さないで欲しいわよねぇ。」



だそうです!すいませんねぇくだらない物で、この街に着いたばかりって言ったじゃん!


メリアさんに教えてもらった良きギルド職員かを判断する方法。

わざとランクの低めの素材を出す事で、大口の客では無い事を匂わせた時にどういう対応を取るか見ること。


メリアさん、早速残念な職員に出逢ってしまいましたよ…。


いいもん!そういう態度取るような人に死の森の素材なんて売ってあげないもん!

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