第105話 マイ商会

儚げで可愛らしい印象だったメリアさんだけど、仕事は凄く出来る方で、ギルマスのエドガーさんでさえタジタジにさせる程の敏腕なんだとか。


そんなサブマスたる働きっぷりでメリアさんに商品登録してもらう事になったのは哺乳瓶・抱っこ紐&おんぶ紐・おしゃぶり・ガラガラのおもちゃ・ベビーカー・オムツのベビー用品にナプキン・レジャーシート・ラップもどき・カイロ・シャンプー・トリートメント・石鹸・化粧水・美容液の日用品。


それぞれ耐久性や使い心地等をギルド職員で試して安全性のチェックを行った後、販売体制に動くそうな。


「でもこの町の規模では全ての商品を生産して売り出すのは無理だわ。かと言って他のところに頼んで生産を回すのも癪に障るわね…。」


眉間にシワを寄せ何やら考え込んでいるメリアさんだけど、せっかくの美人な顔が台無しになってますよ!


「サクラちゃん。サクラちゃんの商会を作らない?!そうすれば今まで登録してもらった商品はあなたのお店経由で販売される物が本家の物と宣伝出来るし。この町で作りきれない商品の生産ラインはサクラちゃんの商会の下請けになっても良いという工房がないかを探して契約するわ。」


「商会ですか?でも私、これからこの国を旅する気満々ですし、お店とかも作る気はないんですけども…。」


「店舗は既に町に有るお店に間借りすれば良いわ。哺乳瓶とオムツに月のモノ対策のナプキンだったかしら?それとラップもどきはこちらで生産まで引き受けさせて貰えると嬉しいわ。これは便利だから安定した雇用を生むと思うし、この町に働き盛り世代の人達が永住してくれれば町も活気づくと思うのよ。」



住んでいる人の8割は現役を退いた年代のこの町に、私が商品登録した物を作る生産ラインが出来ることで若い即戦力が増えるのは良いことだし、安定した収入のお仕事も良い話だと思う。便利な物が浸透するのも良い事だし。



私が平仮名、カタカナ、漢字、ローマ字を駆使して書いた魔法陣が使われている水が湧き出る桶とホバーボードは魔道具扱いなこともあり、創製権利というのを取った。


これは元の世界の特許権の様なものらしく、この権利の出願から暫くは発明品の生産・使用・販売を私の商会で独占出来るし、発明品の権利侵害者には損害賠償を請求出来たりするそう。


メリアさんには全ての商品を創製権利にすれば良いと言われたけれど、丁重にお断りした。


「欲が無いわねぇ。」


と言われたけれど、水が湧き出る桶とホバーボード以外の私が登録した商品は、元の世界に元々あったもので私が考案したわけじゃないので、作り方は利用料金を払えば誰でも見れるようにしてもらうことにした。


そこからこの世界の人達が改良してもっと良いものが出来れば良いなと思っている。


ホバーボードは誰でも作れるようにして犯罪に使われたら嫌なので、創製権利の方で登録しておくことにした。



そうだ、私の商会の名前だけれど…


「ビアータソレイユ商会にします!」

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