第87話 買取の内訳はこうだ!

「確かに金貨410枚、確認しました。」


作業台に乗せられた金貨を全て数え終えて息をつく。


金額の内訳はこうだ。


「まず、オークキングの睾丸左右一対で金貨20枚だ。2匹分で金貨40枚な。これは精力剤の材料になるんだが通常のオークの睾丸を使った物より遥かに効果が高くてね。跡取りの欲しい貴族は幾ら出しても欲しがる代物だぜ。キングツリーディアは滅多にお目にかかれないからね。お貴族様が競って欲しがるだろうな。角が金貨200枚だ。革もぜひ欲しかったけど、予算が足りないって領主様が悔しがってたな。キングアントは1匹金貨70枚だから2匹分で金貨140枚。コカトリスの羽は全部で金貨12枚。この羽を使った布団は軽くて暖かくて良いんだぜぇ。高級品だけどな。」


「キングツリーディアとキングアントは魔石も持っておったが、流石にこれは買取金額が払えなくなるから今回は返すことにする。恥ずかしながら今回の買取もほぼ領主様の私財から出してもらっておるからの。今回買い取った物が売れたらまたその資金で他の素材を買い取らせてもらえると有り難いとのことじゃ。」


「滅多に見れない死の森の魔物回して貰った礼に解体料金はちょっとまけて金貨2枚。それを買取金額から引いて金貨410枚だぜ。」


正直、内訳聞いても高いのか安いのか分からないんですが…とりあえず大金を手に入れた事だけは分かった。


受け取った買取金額をお財布用のマジックバックに入れて冒険者ギルドを後にする。


その足で商人ギルドに行って、年会費と税金の支払いをしておくことにした。


金貨5枚。こういうのは忘れないうち、払えるうちに払っておいた方が良いもんね。


それでもまだ金貨405枚はある…。


とりあえず実感は湧かないし、この後依頼を受ける気にもなれなかったのでちょっと早いが町を出て死の森の拠点に転移した。


「まさかこんな高額になるとは思わなかったなぁ。暫く食費とかには困らないから美味しい物沢山食べれるね。」


『我が結構な量を食べるからな…。サクラの作る食事は美味いのでつい。』


「そこは気にしなくて良いよ!私もそこそこ食べるほうだし、美味しそうに沢山食べてくれるのは作る方からしたら嬉しいことだからね。それに最近はご飯の支度している間にヴィミエナが魔物を狩って来てくれてるでしょう?お肉の確保は勿論、皮や骨や角とか売れる物はお金になって、そのお金で食材を買うのだからこのお金はヴィミエナも一緒に稼いだものってことだもん。遠慮なく食べて!」


本来、野生のままなら生肉を食べるだけの生活だったヴィミエナに人間が食べている物を与えたのは私だからね。

元の世界とは違い、味がしっかりついてる物等をあげても体を壊すことがないなら、同じ物を同じ食卓で食べて美味しいのを共有したいからね。


そこそこお一人様で何でも出来てしまう私だけれど、一人で食べるご飯が寂しいと思うのは、両親が死んでからばあちゃんに救われるまで、従兄妹の家で皆が食事をしている時に自分だけ違う部屋に連れて行かれ、今日はハンバーグだ!等と喜ぶ従兄妹達の声を聞きながら出された食パンの耳を一人かじる生活が長かったからだと思う。


従魔の皆が美味しいと一緒にご飯を食べてくれるのは本当に嬉しいことなのだ。


『この後はどうするのだ?』


「うーん。急ぎ案件なお助け依頼が有ればそれは受けようとは思ってるけど。暫くはまた、やりたい事と作りたい物を作る期間にしようかなぁ。これからどんどん寒くなるって言うし備えなとね!」


と言う訳で、暫くは色々作って色々試して、従魔のみんなと遊ぶ時間ももっと増やすぞー!

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