第86話 買取金額は!

「あーよく寝た!おはようみんな!」


『ぷぷりゅ』

『みゃみゃう』

『フシュー』

『おはよう。』


見守り隊さんが居るとの事で、初めて拠点に帰らず野営しました!



「ヴィミエナ、昨日はスープとパン届けてくれてありがとうね!」


『なに、大したことではないさ。』


昨晩、見守り隊さんがこちらに気づかれない為だろうが、火もつけず暗く肌寒い中で一晩見守りをするとヴィミエナから聞いたので、夕飯にシチューを多めに作り、作り置きしておいた白パンと共に差し入れしてもらったのだ。


私が転移を使える事はなるべく隠したいところなのでヴィミエナに転移の魔法をかけて届けてもらったのよね。


今日の朝ご飯はフライパンに敷き詰めたバゲットの上に昨日のシチューの残りをかけてチーズを乗せたら蓋をして焼いて完成。


グラタンパンみたいになって美味しいので好きなんだよねぇ。


本当は耐熱皿に入れてオーブンで焼くんだけど、今オーブン無いし、これはこれで美味しいからOK!


温かいオニオーンスープも付けてみんなでいただきます。


見守り隊さんに挨拶をして町へ戻ったら、昨日の買取結果が出るお昼頃まではお手伝い依頼を幾つか受けて過ごす。


お昼ご飯を屋台で軽めに済ませたらいざ冒険者ギルドへ!


先に受付で午前中に受けた依頼の報酬を受け取る。

解体作業場に行くように言われたのでそちらに向かうとカルディナさんとヘルマンさんが待っていた。


「おう来たな!解体終わってるぜ!肉は引き取りだって言ってたから先にそっちで受け取って来いよ〜。」


カルディナさんの指差した方を見ると、解体作業員の人達が奥からお肉を運んでくれていた。


ここもカルディナさん以外はおじいちゃん、おばあちゃんが多い感じ。


お肉を受け取ってアイテムボックスにしまうと、ヘルマンさんとカルディナさんの元へ向かう。


「待たせたな。今回の買取金額だが解体料金を差し引いて合計、金貨410枚。確認してくれ。」


どんっと作業台に置かれたお盆のような物には10枚ずつに重ねられたであろう金貨がこれでもかと乗っていた。


「き、金貨410枚…。」


あまりの金額にビックリしたよ…だって410万円って事よね?


いきなりこんな大金手に入れるとか怖い以外の何ものでもないんですけど


「死の森の魔物の素材となればそれだけでもかなり高額になる。正直この額はきついんじゃがな、最近死の森の素材の出回り数が減っておるからな買い手は必ず付くのだそうじゃ。既に幾つかの素材の売却先はもう決まっているらしいからの。」


「領主様が私財からも予算を出してくれて買い取ったんだろ?これでこの町の景気がちょっとでも上りゃ良いんだけどな。」


「恥ずかしながらキングアント以外は領主様持ちじゃ。町の為に貴族に高く売ってみせると張り切っておられたわい。」


「あの方らしいね〜。」


大量の金貨を前に呆然としていたら2人がそんな話をしていた。


寂れた土地をここまでの町にした領主様だっけ?


武器や防具に加工できるキングアント以外の素材は領主様が買取価格よりどれだけ高く他の貴族に売りさばけるか張り切っているって…。


お会いした事は無いけど、なんか色々とすごそうな領主様なのは分かった!




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