第75話 見習い登録

アリーシャちゃんに森で会った経緯と彼女がバロをテイムした経緯をイルマさんに一通り話す。


「なる程ねぇ。しかし、話し合いでテイム出来るなんてやっぱり信じられないわね。でもこのスライムはアリーシャより強いけど、アリーシャの従魔になっているのは事実。」


イルマさんが頭を悩ませてしまった。

力で服従させてテイムすることが一般的だと言っていたからやっぱり珍しいんだろうか?


でも、バロもどちらかといえばうちの子達の脅は…いや、あれは話し合い!バロも納得してのテイムだもんね。


「12歳で冒険者登録は出来ない私はバロの従魔登録は出来るんでしょうか?」


アリーシャちゃんが不安そうにイルマさん訪ねている。


「そうね。冒険者登録は出来ないけれど見習い登録をして、従魔登録もしておきましょう。見習いカードも発行しておくわ。これで、バロがあなたの従魔で有ることを冒険者ギルドも認めているという証明になるわ。」


「やったよバロ!これで、じいちゃんの手伝いが出来るし町の役にもたてるね!」


アリーシャちゃんが喜んでバロにとびつくと、バロはプルプルと揺れながら喜んでいた。


なんやかんやバロはアリーシャちゃんを気に入っているよう。

ヴィミエナ曰く、この危なっかしい譲ちゃんは俺が守ってやんねえとな!とバロは思っているらしい。


うちの子達が詰め寄る形で仲間になったような感じだったからちょっと心配だったけど、これなら大丈夫そうだね。




因みに見習い登録は成人前でも将来有望そうな子を見習いとして認め、ギルドで簡単な仕事なら受けられるというもの。


冒険者の他にも商人ギルドや薬師ギルドでも見習い制度は有り、人員確保や有能な職員を育てる為や、特殊な才能を持った子供達を守る為に使われる制度らしい。


こんな子供にこんな物が作れる筈が無いとか、こんな能力ある筈がないとかイチャモンをつける人がいるからギルドがその能力を認めた子供ですと証明してくれるものだそう。


「はい。これが見習いカードよ。失くさないようにね。登録も済ませてあるから大丈夫よ。これでアリーシャを正式にオランドさんの助手として認め、働く事を許可します。くれぐれも怪我やトラブルには気をつけてね。」


「はい!ありがとうございます!これからバロと一緒に頑張ります!」


アリーシャちゃんは深々と頭を下げて見習いカードを受け取ると、じいちゃんのところに行って来ると走って行ってしまった。


「依頼を出す前に会ったようだけれど、どうあの子は?」


アリーシャちゃんが出ていった後にイルマさんに聞かれた。


「お祖父ちゃん思いの良い子だとは思いますけど、一人でスライムテイムに行ったり危なっかしいところは結構あると思います…。」


「そうよねぇ。思い立ったら即行動って感じなのよね。今回はあなた達が居たから大丈夫だった様なものだわ。」


「この町にいる間はちょこちょこ様子見に行きますよ。バロがちゃんと仕事してるかも見に行きたいですしね。」


「ありがとう。テイマーの先輩としてお願いするわ。」


「それはそうと、私もイルマさんに見てもらいたい物があるんですけど。」




アリーシャちゃんの件が解決したので今度は私。水が湧き出てくる魔道具の話だ!


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