第72話 テイマーの少女
「ちょっ、ちょっと待って!武器その木材なの?!大丈夫?!」
ジリジリとスライムに近づいていく少女に慌てて声をかける。
スライムはヴィミエナがまだむにっとしてくれているので逃げる心配はない。
「はい!大丈夫です!た、多分!討伐したら意味がないのでとりあえずテイム出来るくらいまで弱らせる事が目標です!!」
ぎゅっと木材を握りしめた手を掲げ宣言する少女。
どう見ても10代前半。
この世界の成人は15歳。冒険者登録も成人を迎えた15歳以上じゃないと登録は出来ない。そうなると従魔登録も15歳からになるはず。
では何故この少女はこのスライムを追いかけてテイムしようとしているのか?
そう、彼女はゴミ処理場の管理人、オランドさんのお孫さんのアリーシャちゃん12歳!!
って、名前と年齢は鑑定さんでカンニングしましたけど!
なる程、この子がイルマさんの言っていたこの町のテイマースキルを持つ子か。
ゴミ処理を楽にする方法を探して来ると言っていたんだっけ?
確かにスライムの消化液や体に取り込んで消化する機能があれば、火魔法で処理出来ない素材の物も有毒なガス等を出さずに処理する事が出来る。
「行くぞぉ!お前をテイムしてじいちゃんに楽させてやるんだから!」
テイマーの自分がスライムをテイムして、おじいちゃんの役に立とうという事か、良い子じゃないか!
でも大丈夫かな?心配…。
嫌な予感は当たるもの。
アリーシャちゃんが木材を振り下ろそうとしたのでヴィミエナが足をどけた瞬間、灰色のスライムの体が大きく揺れ、口のような物を大きく開ける。
消化液を吐く気だ!
アリーシャちゃんに対魔法・物理結界を張ろうとした時、フードからモモが飛び出し、灰色のスライムが吐いた消化液に自分の消化液をぶつけた。
『ぷりゅりゅぷりゅ!』
モモが灰色のスライムに向けて何やら抗議して決闘を申し込んでいる模様。
その後、2度ほど消化液のぶつけ合いを繰り返すと、灰色のスライムが激しく揺れた後でへにゃんと地面に頭…らしき辺りを垂れてひれ伏した。
どうやらモモの勝利みたいだけど、何やら魔物達での話し合いが始まってしまった。ヴィミエナの前足がまたもやスライムをむにっとしているのがちょっと気になるところ。
『ぷぷぷりゅ』
『みゃみゃ』
『話し合いは終わった。こ奴はその娘にテイムされても良いそうだぞ。』
暫く待っていたら話し合いが終わったのか、ヴィミエナが前足でスライムをむにむにとしながら言う。
「ほ、本当ですか!!」
アリーシャちゃんが持っていた木材を投げ捨て灰色のスライムの前に駆け寄る。
ヴィミエナさんや、そのむにむに意外と気に入ってません?
私にもちょっとむにむにさせて欲しいです!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます