第70話 魔道具と魔法陣

冒険者ギルドの2階に有る資料室で魔道具と魔法陣についてのお勉強。


ヴィミエナとヴィヴィは資料室の隅っこでお昼寝タイムにしてもらって、マリモは糸紡ぎタイムでモモは私の膝の上でくつろぎ中。


女神様達に貰った加護が有れば魔道具も魔法で作れる気はするけど、仕組みを知っているのといないのとではやっぱり違うと思うからしっかりとお勉強。


魔道具は大きく、魔力を回路に流せば使える簡易的な物と、術式を組み込んだ魔法陣を用いた物との2種類に分けられるらしい。


魔力が少ない人や無い人も魔石が有れば使える便利道具といった感じ。


魔法陣は何をどう動かしたいかを術式として書き込んでいく物。


術式と言っているけど、例として載っている魔法陣はどう見ても文字で指示書きしているだけに見える…。


例えば明かりを灯す為の魔法陣は昼間の日の光程度、目に刺激的過ぎない様に、暗くなったら点くように、魔力消費は抑えめになどの魔道具にさせたい指示を模様の様に書いたり、被せたりして陣っぽく書いているだけっぽい?


一応、悪用されない為と、アイディアを盗まれない為になのか、ダミーの文言やパスワードみたいのなんかを入れたりもするようだ。


文字を崩したりして書いただけなら誰にでも真似できてしまうのではないかと思ったけど、その疑問は後にイルマさんに聞いてわかった。


文字をしっかりと理解し書けるのはギルドに勤めている人と幼い頃から家庭教師をつけたり、学園に通い学ぶことができる貴族や商家の者くらいで、冒険者は依頼書を読むくらいは出来ても文字はかけない人もいるという。


「書けない人のかわりに冒険者登録の為の書類とかはギルド職員が代筆することも多いわよ。特に孤児院から出て冒険者になる子達は殆どが読み書きが出来ないしね。依頼書に絵が書いてあったりするのも読み書きができない子でもわかりやすいようになの。」


とのこと。

因みに字が読める人に魔法陣に書いた指示がいかに読み取られないように書けるかどうかで一流の腕を持つ魔道具師かどうかが決まるそう。


魔法陣を書くには専用のペンを使うか彫って入れるというやり方が一般的みたい。


お勉強で仕組みを理解したら今度は実践!


とりあえず町の外の森に移動。試作品なので、森で木材を採取してクラフトの魔法で桶を作る。


専用のペンは持っていないので、桶の底板に小さいナイフで魔法陣を刻み込んでいく。


書き込む文言は、水が湧き出る・飲水にもなる水質・桶いっぱいになったら自動で止まる・湧き出るスピードはやや早めに・魔力消費は少なく・発動条件は魔力を魔法陣に流すこと。


これらを平仮名、カタカタ、漢字、ローマ字表記などで円状になる様に刻み込んでみる。


魔力を流すためのスイッチ部分になるところは肉きゅうの形にしたぜい!


さあ、ちゃんと出来ているかな?!


「じゃあ、実際に可動させるよ〜。魔力を流してっと。」




おぉ!!桶の底板から水が湧き出て来たー!


放っておいても桶がいっぱいになったら水が溢れる前に止まってくれる。


「初めて作ったにしては良い感じじゃない?そうだ!モモもここに魔力を流してみてくれない?」


桶に溜まった水を一度捨ててから肉きゅうマークを指差してモモに桶を渡す。


『ぷりゅ!ぷりゅりゅ〜』


モモが触手を肉きゅうマークに伸ばして魔力を流すと、桶から水が湧き出て来た。


これなら従魔の皆が自分で使えそうじゃない?

死の森の拠点とかにおいておけば、喉が渇いたタイミングでいつでもきれいで冷たいお水が飲める。


今も拠点に居る時は飲むようのお水を入れた桶を3匹分用意しているけれど、水が飲みたくなるタイミングは三者(匹)三様なわけだし、飲む量も違うからね。


出てくる水を好きな量で止められるようにして作ってみよう!

ついでに違う文言を一文字おきに混ぜて書いたりしても魔法陣として成立するのかとか、いろんな書き方を試してみよう!


下水掃除を楽にする為の魔道具を作ろうとしてたんだけど、この水が湧き出てくるだけの機能を使えば炊事洗濯はもちろん冒険者の移動中の飲水確保にも良いんじゃない?


こういうアイテムがあるのか町に戻ったらイルマさんに聞いてみよう!



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