第65話 テイマーの現状①

下水掃除は町の東西南北の4箇所。ゴミ処理は町の隅に有るごみ捨て場での作業となる。


これらの依頼書を持ってヴィミエナ達を呼んだらギルドの受付に向かう。と、イルマさんがこちらに向かって手を振っていた。


「おはよう。サクラちゃん!見てたわよ〜。朝から災難だったわね。あの子達は本当に何度言っても態度を改めないわねぇ。」


「おはようございます。イルマさん。本当に朝から災難ですよ!なんか、勝手に目をつけられてるんですけど?!」


「サクラちゃんが大型新人って町でチラホラ噂されているから嫉妬してるのよ!」


何それ?!初耳なんですが?!


「あら、その顔は知らなかったわね?こんな立派な従魔達を連れていたらそうなるわよ〜。」


「だからって勝手にライバル視されても困りますけども…。それより、依頼を受けようと思うんですが良いですか?あと、依頼受注前に確認したい事もあって。」


「まぁ、お助け依頼こんなに?!助かるけど掃除の依頼はいっぺんには無理じゃない?」


イルマさんの前に依頼書を並べると喜んでくれたと同時にいっぺんに依頼書を持って来すぎたためか驚かれた。


「そこが依頼受注前に確認したいことなんですけど、こういう依頼って魔法を使ったり従魔の力を借りたりするのは駄目とか有りますか?無ければこの依頼全部受けようかと思ってるんですけど。」


手作業で無くても良いなら掃除はクリーンの魔法でさくっと終わるだろうし、ゴミ処理もモモにスキルの消化液を使ってもらえばイケると思うんだけど…。


「魔法を使ってはいけないという決まりはないわ。従魔の力を使うのももちろん大丈夫よ!でも、この町では大丈夫だけど、従魔の力を使うのを嫌がる街や人も多いからそこは気をつけてね。サクラちゃん達が嫌な思いをすることになってしまうわ。」


イルマさんは本当に優しい。


まあ、ノベルディアンでの態度を思い出せば確かにそうだろうからそこは街や依頼ごとに臨機応変に対応かな?


「ありがとうございます。テイマーってなんでこんなに不遇扱いなんですかね?従魔の力を使えば、ゴミ処理処理や伝言、移動や物の配達とか便利になりそうな事も沢山あると思うんですけど…。」


「大抵のテイマーが最弱魔物と呼ばれるスライムか小型の魔物しかしかテイム出来ないのよ。」


「でもその子の能力次第で出来る事は変わりますよね?チェリちゃんみたいに町と関所までの道のりや、伝言を伝える人の判別が出来る子だっているし、スライムは巨大化して大きな物を運んだり、消化液でゴミを消化したりする事が出来たりもしますよ?」


死の森のスライムの中には自分より遥かに大きい魔物より巨大化し、ゼリー部分で包んで窒息させてからそのまま体の中に取り込んで移動していたものもいた。


「要はその子の力をどれだけ理解し高められるかだと思いますけど…。」


『信頼関係も大事なことだぞ。我らは少しでもサクラの力になりたいと思っているしな。チェリもそんな感じであったぞ?』


隣に座っていたヴィミエナがイルマさんに告げる。真剣に聞くイルマさん。


魔物側からの意見はなかなか聞けるもんじゃないからねぇ。


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