第59話 宿泊は静かにしたい!

「う、うるさい!!と、とにかくここから出でいけ!!」


とのことなので…


「良いですよ〜。」


と答えると、ヴィミエナとヴィヴィにまた野菜の入ったカゴを持ってもらい豪傑の戦士に背を向けて歩きだす。


「ふん!怖気づいたか。最初から言うとおりにしておけば良いものを!」


なんかデュートとか言う人が勘違いして捨て台詞を吐いておられますが…


「怖気づいた訳じゃないんですけどぉ?だってここにテント張ろうもんなら貴方達何かにつけて口出しする気でしょう?例えば小さくてダサいテントだなとか、テントの設営の音がうるさいとか、食事の準備の匂いが迷惑だとか、従魔が臭うから出てけとか?!悪いけど水浴びとかじゃなく、この子達には毎日クリーンの魔法かけてるから臭いも殆ど無いし綺麗ですからね?まあ文句言う人が隣に泊まってるんじゃ静かに休めなくて困るから、他の所を探して買った食材で美味しい夕飯食べて皆でゆっくりするのよ!せっかく食材沢山買ったんだもん!」


何故分かったみたいな反応のデュートに自分の髪の毛や服を気にしだすアーノルとユリア。


この世界はお風呂はお金持ちが入るものっぽいから、一般人は水浴びや濡らした布で体を拭くのが基本だけど、年頃の乙女は一応臭いは気にしているみたいね。


あ、イルマさんに言われてたのにクリーンの魔法使えるの言っちゃった…。


まぁ、いいか?!大丈夫でしょう!


豪傑の戦士の面々にヒラヒラと手を振ってその場を後にする。



キャンプ地の空いてる場所を探すが夕刻になって来た事も有り結構人が増えて来ているのでここで泊まるのは無理だろうと見切りをつけて監視官の元へ戻る。


「お?どうした何かあったか?」


使用登録をしてくれた監視官がこちらに気づいて首を傾げる。


「実はですねぇ。」


私は豪傑の戦士とのやり取りを説明すると監視官は大きなため息をついた。


「またあいつらかぁ。すまんな何度も言ってるだが…。」


「いいえ。ご苦労様です。心配してもらえている事に気付いてないんですねあの子達は。ああいう子は実際に痛い目に遭わないと気づかないタイプでしょうね。それでは遅いからこの町の人達が教えてくれてるのに。」


監視官がさらに大きなため息をつく。


「ありがとう。お前さんみたいに気付いてくれる奴ばかりばかりではないのでなぁ。しかし、ここに泊まらないとなると何処に泊まるんだ?従魔と泊まれる宿が無かったんだろう?」


監視官が心配してくれたようだが心配はいらないから大丈夫!


「町の外で野営をしてきます!今までもそうだったし、なによりこの子達が居るので特に問題は無いので大丈夫ですよ?!あの3人に文句言われながらより、休むなら静かな場所での方が断然良いですしね。」


使用登録証明になる木簡を返しながら伝える。


でもそれじゃあと心配されたが本当に問題無いのでと、笑顔で手を振って町の入口の門まで戻ることにする。


「もうすぐ門が閉まる時間なのに町から出るのか?」


と門番さんにも心配されてしまったけど、事情を説明して町を出て関所とは反対方向の森へと歩を進める。


森に入って町の門番さんからもこちらが見えなくなったところで転移!!


やっぱり泊まるならあそこよね!

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