第57話 どこにでも…

黒猫みたいな刺繍を強調してこれっと見せてしまったので店主さんには笑われたけれど喜ばれもした。


店主さんの趣味で動物のかわいい刺繍を施しているらしいが、かわいめなことで中々冒険者には人気がないらしい…。


こんなにかわいいのに…。


「また絶対に来ますね!」


そう店主さんに約束してお店を後にする。


因みに店主さんがヴィヴィ達を撫でたいと言うので、みんなの許可を貰ってからOKを出したら2銀貨だったバックを半額の1銀貨にしてくださいました!


この店主さんとは今度モフモフについてゆっくりと語りあいましょうとも約束した!


女神様、サクラはこの世界で初のモフ友を得られそうです!


なんやかんや全部で金貨2枚近く買い物しちゃったけど、これは必要経費だから良し!





欲しい物は一通り手に入れたので少し町を散策してから宿泊するキャンプ地へ向かう。


キャンプ地の入口で監視官の人にイルマさんに紹介して貰った内容を説明する。


ヴィミエナを見た監視官が納得したように頷きながら使用登録をしてくれた。


登録証明となる木簡を受け取りキャンプ地の中に入る。

この木簡で人数とどんな人達が泊まっているかを管理するらしい。


邪魔にならないように奥の隅の方にテントを張ろうと決めてキャンプ地を進んで行く。


キャンプ地に泊まっている他の冒険者に一瞬驚かれるが、カゴを加えて歩くヴィヴィを見てみんな目を細める。


ヴィミエナは優雅に歩いているが、ヴィヴィはおしりをフリフリと振って得意げな顔をして歩いている。


従魔としてちいママのお手伝いが出来る事を自慢しているみたい。


うちの子かわいいでしょう?!


キャンプ地の奥に着いたら2匹が咥えてくれていたカゴを受け取る。


キャンプ地の端になるであろう杭の近くに荷物を置いて宿泊の準備を始めようとテントを出そうとしたその時だった。




「おい、お前まさかそこに泊まるんじゃないだろうな?!」


怒ったような声が横から聞こえて来たのでそっちを向くと、見るからに10代であろう3人の冒険者がこちらを見ていた。


声をかけてきた冒険者は男子1人に女子2人の冒険者。多分駆け出しの新人冒険者だろうな。


「おい、聞こえなかったのか!お前だよ!お前まさかそこに泊まるんじゃないだろうなって言ってるんだ?!」


こっちを見て言ってるて事は私に言ってるってことだよなぁ。


「泊まるよ?ここは許可を取れば誰でも泊まれると冒険者ギルドで紹介してもらったので。」


下手に出ないように、敬語じゃなく。

イルマさんに言われたのでそれらしく返事をしてみる。


「そんなデカい獣を連れて隣に泊まられたんじゃ邪魔でしょうがないだろう?そんな事もわからないのかよ!」


男の子の冒険者が鼻で笑いながら言い、後ろでクスクスと女子2人が笑いながらこちらを見ている。


どこにでもこういうのは居るのか…。


あぁ、面倒ごとな予感。






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