第56話 続・お買い物

食材を調達したら次は調味料。


女神様達にばあちゃんの使っていた調味料セットをこの世界でも使える様にして貰っているので基本の調味料は有るけど、せっかくならこの世界の物も見てみたい!


で、訪れているのが40代位の顎髭がダンディなおじさまのお店。


ここでは香辛料を量り売りしているそうで、小さい町の店にしては中々の品揃えだよ!とは周りのお店の店主さんの言葉だ。


確かに色々な種類が有るみたい。香りとかを確かめつつ物色。


残念ながらカレーに使えそうな香辛料は無いみたいだけど、お肉やお魚に使えそうな物は結構あるので数種類を購入。


ほうじ茶っぽいお茶の葉と紅茶の茶葉も購入して、食品系の買い物を一通り終えたら次は雑貨!


マジックバックじゃないバックを探さないと。


女神様達に貰ったバックはみんなマジックバックだったからね。


とっても有り難いけど、それで目をつけられたりするのは嫌だもん。トラブルはなるべく避けたい!


「いらっしゃい!何かお探しかい!」


いいお店はないかと見ていたら恰幅の良いおばちゃんに声をかけられた。どうやら小物雑貨の店の店主さんらしい。


「冒険にも使える丈夫な肩掛けバックはないかと。」


とりあえず探している物を告げてみる。


「お前さんテイマーかい?これまた立派な従魔を連れてるねぇ。買い物の荷物持ちの手伝いなんて偉いじゃないか。」


おばちゃんが野菜の入ったカゴを咥えているヴィミエナとヴィヴィを見て目を細める。


買い物した物はヴィミエナが持つというのでお願いしたら、ヴィヴィも持つ!と言うので小さいカゴをヴィヴィに咥えて貰っている。


ヴィーたんお手伝いできる!と、かわええこっちゃです!!


「わたしゃ動物好きでねぇ。みんなめんこいねぇ。あぁごめんよ。話がそれたね。丈夫なバックだったね。良かったらうちのバックを見ていっておくれ!この町は冒険者になったばかりの者が多いから、すぐに壊れてすぐに買い換えないとってならないように丈夫さにはこだわってるよ!」


本当にこの町は新人冒険者に優しい街なんだろうなぁ。


しかもテイマーにも優しい。


ノベルディアンでの様な態度をこの町ではまだ受けたことが無い。


そんな事をつぶやいたら店主さんが笑顔で言った。


「どんなにすごいジョブであっても使い方次第では使い物にもならない。使えないと思っていたジョブでも使い方次第でとんでもない力をつける事がある!この町の領主様の言葉だよ!どんなに良い生まれでも良いジョブを授かっても、その力を善に使わなければ誇れたもんじゃない。逆に孤児だろうがハズレと言われるジョブだろうが誰かの為に頑張る奴は称賛に値する!ってね!」


だからジョブや生まれで評価しないのがこの町での決まりだそうだ。


関所に居た騎士でありテイマーのマイトさんも他の街ではテイマーというだけで万年下っ端。


自分よりも腕っ節が遥かに弱い、良いとこのお坊っちゃんが出世していくのに嫌気がさしていたところを領主がスカウトしてこの町に来たらしい。


確かマイトさんはこの町の騎士隊長だって言ってたもんなぁ。


関所には極稀に死の森からの逸れ魔物が来る事があるらしく、その魔物に対応出来る強さの者しか関所勤務にはなれないらしい。


その部隊の隊長ともなれば腕は確かなのだろう。


改めてこの町の良さを実感しつつもバックはしっかりと吟味中よ。


持った感じも凄くしっかりとしているし、鑑定さんも良い品との判断。


何より黒猫みたいな刺繍入ってるのがヴィヴィみたいでかわいいんですけど!


「このバックください!」


持つならテンション上がる物が良いもんね!


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