第53話 初収入
買い取って貰うための薬草をモモと5本に纏める作業。
キノコの選別はイルマさんにお任せ。
「本当にスライムが薬草を5本に纏めておる…。こんなに触手を上手く出せる個体も珍しければ、主人の言葉をこれだけ理解しているのも驚きだな。長く生きているがこんなスライムは見たことがない。」
ヘルマンさんが台の上で作業を手伝っているモモをまじまじと見ながらいう。
うちの子はとっても賢くてかわいいんですから!
作業すること数分。
ヒールリーフ10組、リカバリーフ10組。系50本ずつを買取してもらうことになった。
「どれも良い品質ね。流石、死の森産だわ!この町では上級ポーションより下級ポーションの方が需要が高いのよ。凄く強い魔物は稀に来る死の森からの逸れ魔物くらいなの。この町の周りの魔物自体はそこまで強くない種類の物が多いけど、新人冒険者が多いから思わぬ怪我をしてくる子が結構いてねぇ。」
イルマさんが何やら不思議なおぼんの様な物に薬草を乗せながら言う。
これは鑑定機能のついた魔道具で全てのギルドに置かれている物なんだとか。
買取に出された物なんかを誰でも正確に判断出来るようにすることで素材の判断ミスを防げるのだそう。
「良い品質の薬草は上級ポーション1本作れる量で下級ポーション10本作れる。普通の薬草で10本分作る量に比べたら遥かに効率も良くなるから助かるんじゃよ。まぁ、下級ポーションに良い品質の薬草を使うなんて勿体無いという意見もあるが、この町でポーションを作れる人数を考えたらの。」
この町に定住している人の平均年齢は他の領より遥かに高いので、専門職の人に掛かる負担をなるべく減らしてあげたいというのがヘルマンさんの考えだそうだ。
「まだまだ死の森の薬草は有りますから必要になったら言ってくださいね!それと、私自分でポーション作れるので通常品質の薬草を使ってポーション作るの大変でしたらこの町にいる間は手伝いますから!お仕事として声かけて下さい!」
ポーション作りは死の森で沢山やったから得意だし、魔法を使えばすぐに出来るしね!
この町でポーション作れるのが70代のお婆ちゃん2人って聞いたらそりゃあ手伝いますとも!
「自分でポーションも作れるとは…。じゃが助かるな。手が必要な時は指名依頼として出させて貰おう。」
「自分で採取した通常品質の薬草はポーションにしてから持って来ますね!」
「もしかしなくても、瓶もお手製ならこの繊細な瓶はやめて頂戴ね!新人達が買えない値段になってしまうわ!この瓶だけでポーションの値段より遥かに高くなるもの!」
カラー瓶に桜の花の形をした蓋の瓶は確実に貴族向けになるだろうとのことだ。
そんなにあの瓶高値になるの?!
下級ポーションはくれぐれもシンプルな瓶にしてくれと2人から念を押されてしまった。
はい。気をつけます。
「さてお待ちかねの査定結果よ!ヒールリーフ10組、リカバリーフ10組。これらは通常1組1銀貨よ。でも今回は死の森産で高品質だから少し買取金額は上乗せ、1組1銀貨と5銅貨よ。それが全部で20組。合計で金貨3枚ね!」
おぉ!薬草だけで役3万円の稼ぎ?!結構良いんじゃない?!
「次にキノコだけれど、こちらはボウル1杯分で2銀貨と5銅貨よ。これも死の森産という事で少し料金の上乗せがしてあるわ。薬草と合わせて合計3金貨と2銀貨と5銅貨になるけど、ここから先程の冒険者登録費用の5銀貨を引く形で大丈夫かしら?」
「はい。それでお願いします。」
イルマさんから冒険者登録費用の5銀貨を引いた、2金貨と7銀貨と5銅貨を受け取る。
やったぁ。これがこの世界に来て初めての収入だぁ!!
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