第51話 冒険者登録

町と領主の説明を聞いた後は私の話をした。


関所でしたのと同じで、女神様達の事と違う世界の人間な事は黙っておいたけど。



「とにかく冒険者のいろはを知るならこの町は持ってこいだ。お主らは強いじゃろうが冒険者としての活動はした事がないんじゃろう?」


「はい。死の森ではこの子達と自由気ままに生活してましたので。」


「死の森で生活出来る事がもう普通ではないんじゃが…。とりあえずは冒険者登録からじゃな。おーい。イルマ説明を頼む!」


「はーい。」


ギルマスに呼ばれて部屋に入って来たのは30代位の女性イルマさん。


「受付嬢がこんなおばさんでごめんなさいね。この町には余り若い子がいないから。」


「いえ、受付が何歳だろうと性別、種族がなんだろうとちゃんと話を聞いてくれる方なら全然大丈夫です!」


本心である。


ノベルディアンみたいに見た目良くて若くても、とてつもなく残念な事もございますのでね。


「フフ。ありがとう。ノベルディアンでの事は聞いてるわよ。このギルドにそんな奴は居ないから安心してね!じゃあ、冒険者についての説明よ!」




イルマさんの説明によると冒険者ギルドは国を越えた組織になる。


冒険者にはランクがあり、登録時はGランクから。

G→F→E→D→C→B→A→Sの順番にランクアップしていくそうだ。


登録には5銀貨(元の世界の5000円位)かかる。


依頼は基本、自分のランクとその1つ上のランクの物が受けられる。


依頼達成率は勿論、Cランク以上は人間性なども評価対象に入るとのことだ。


依頼に失敗すると違約金が発生し、これを払えないと奴隷落ちや強制労働になる。


各ランクごとに一定期間依頼を受けないと登録抹消になるが、怪我や病気の場合は申請しておけばその限りではない。


犯罪行為を行った場合は問答無用で資格は剥奪。再取得も無理だという。


登録すると貰えるカードはランク毎に色が変わる。


カードは身分証として街や関所の入口で出せば入場料を免除される。


「説明はこんなところかしらね。じゃあ、この用紙に必要事項を記入してね。こっちの紙には従魔の名前と種族も書いておいて!分からない事があれば聞いて頂戴。」


イルマさんから登録用紙を受け取り記入する。


ノベルディアンでも見たけど登録用紙は真っ白ではないけどちゃんと紙ぽい質感なんだよなぁ。


鑑定ではパピル草という植物からできているとのこと。


パピル草森で探してみよう。


記入事項は名前、出身地、年齢、ジョブ、冒険者になりたい理由。


出身地どう書くべきかな?元の世界の地名は書けないしね。


「あの、出身地は書かないと登録してもらえませんか?従兄妹達に生きてる事がバレそうな事は避けたいなあと。ノベルディアンでは孤児で良いと言われたからそう書いたんですけど。」


異世界人だからとは素直に言えないのでそれらしい理由でイルマさんに聞いてみる。

イルマさんがギルマスの方を見るとギルマスがひとつ頷いてから口を開いた。


「死の森に捨てられたという経緯からして、従兄妹家族にバレるのは厄介だろうな。お前さんが嫌では無いなら孤児として捨てられたから何処出身かは分からないという事にしてかまわんぞ?」


「ありがとうございます!従兄妹達は私は死んでいるものと思っているでしょうし、私も彼等とは一切関わる気無いのでそうしてもらえると助かります。」


素直にお礼を言ったら可哀想な目で見られたけど気にしてないので大丈夫です!


むしろモモ達に出会えて幸せなので!


そう言ったら2人とも納得はしてくれたみたい。


「はい。記入はこれで大丈夫よ。では、登録をしましょう。この魔道具に手を置いて、もう片方の手から血を1滴このカードに垂らして貰えるかしら?」


イルマさんの説明通りにすると、魔道具と血を垂らしたカードが光った。

光が収まると何やらカードを確認した後、私にカードを差し出した。


「はい。冒険者登録出来ましたよ。このカードには登録者の情報や受けた依頼や達成率などの情報が登録される様になってるので無くさないようにね。まずは冒険者ランクをGからFにするのを当面の目標にすると良いわね。Fランクになるのがこの町から旅立てる最低限レベルですからね!」



手渡されたのは薄茶色の名刺サイズのカード。


私の冒険者カードゲットだぜ!

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