第50話 始まりの町の実状
始まりの町と呼ばれるデビュアータ町。町の外は森と平原が広がっている。
同じ森でも死の森とは違い、この町の周りの森には初心者でも狩り易い小さい魔物が多く生息し、広いため獲物の取り合いになることも少ないので初心者でも比較的安定した収入が見込めるそうだ。
そのため新人冒険者が集まる事が多いので始まりの町と呼ばれているのだとか。
また、領主さんが頑張る奴等は応援したいと、物価も極力低くしたり、宿代が払えない者の為にキャンプ地の様な場所を設けて無料で寝泊まり出来る場所もあるらしい。
因みに、ダンジョンが有る街などにもキャンプ地は有るそうだが、無料では無い所が殆どで完全無料なのはこの町くらいなのだそう。
「領主は豪快なところはあるが、人情に熱い人でな。こんな田舎町を押し付けられたというのに嫌な顔ひとつせず、この町が良い町になるようにと奮闘されとる。新人冒険者はある程度資金が貯ればここを離れる。そうなれば残るのは年寄りや孤児ばかりだからな。騎士やこの町でランクの高い冒険者はみんな、現役を引退したか領主の人柄に惚れてここに腰を据えた者が多いんじゃ。」
ギルマスの部屋に案内された後、この町についての紹介と説明を受けている。
この町の領主は今の王妃に婚前仕えていた女騎士だったらしいが王城に入る際に生まれが低めの家だからと同行は許されなかったとのこと。
王妃はなんとか連れて行けないかと交渉してくれたらしいが駄目だったらしい。
代わりにこの町周辺を領地として与えられたそうだが、来た当初はお年寄りばかりの本当に小さな町でこの場所をここまでにしたのも今の領主なんだとか。
「褒美と渡されたが本当は王家の物が厄介者を厄介な場所に追いやったってだけなんじゃよ。彼女の強さは騎士の間では有名だったからの。追いやられた、それを分かった上で領主はここを収めてくれてるんじゃ。」
若い子達は殆ど出て行ってしまうのに少しでも危険な目に合わない様に、社会の何たるかを教えてから旅立たせてあげたいというのが領主の思いらしい。
まあ、普通は冒険者として魔物の討伐とかの依頼は命がけの物だってあるはずだもんね。
ここの領主は優しい人なんだろうな。
にしても、生まれや自分よりも強い女騎士が厄介だからとか理由が酷すぎて嫌になるねぇ。
この世界の貴族の間では女は黙って男の言うことを聞け風潮が根強く残っているらしい。
ノベルディアンの領主である貴族も女が領主の町となんか!と、取引は一切してくれないらしい。
本当にノベルディアンの人は感じ悪いな…。
しばらくこの町にお世話になるつもりだから手伝える事はお手伝いしようかな!
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