第30話 自己中受付嬢

「冒険者登録をしたいんですがどうすれば良いですか?」


ギルドの窓口に座った金髪縦巻きロールな受付嬢に頭からつま先まで品定めの様な視線を受けながらも渡された用紙に必要事項を書き込んでいく。


名前に年齢・性別、出身は親がいない人は孤児って事で良いらしい。冒険者への志望動機、ジョブ。


これらを書いて受付嬢に渡す。すると急に鼻で笑い、人を馬鹿にしたような目で見るとギルド中に聞こえるような大声で言った。


「あなたみたいなのが冒険者ですってぇ?しかもテイマー?!オーホッホそんな不遇ジョブしか与えられなかったなんて、行き遅れているのも納得ですわね。まあ、私は優しいですからどんな残念な魔物をテイムなさったのか聞いて差し上げますわよ。」





なんだこの超絶感じ悪女!!


でもテイマーって聞いて周りの冒険者達も私を見ながら笑っている。

どんなジョブがあるのか知らんけどテイマーはあまり…というか凄く人気がなさそうな事は分かった。


受付嬢も感じ悪いしさっさと登録して出よう…




そう思っていた時がありました!!



「変異種のスライムにケオトートティーガの親子ですって?嘘をおっしゃい!スライムなんてクズはともかく上位魔物であるケオトートティーガがテイム出来る訳がないでしょう?しかもそのケオトートティーガの親子とやらはどちらにいらっしゃるのかしら?虚偽は有罪として裁いて頂かなくてはなりませんわね。」


「だぁかぁらぁ2m近い巨体を急に連れてきたら驚かれるだろうから今は待機させているって言ってるじゃない!連れてきて良いなら連れてくるわよ!それとスライムをクズとか言わないでもらえます?!うちの子凄く賢くてかわいいんですから!」


はい。大喧嘩中です!!


この受付嬢とにかく人の話を聞かない自分正義主義!


しかもどこぞの男爵令嬢らしく平民を馬鹿にしている感満載!


いやギルドの受付嬢がこんな自分都合女で大丈夫?


だからこの人の窓口だけ空いてたのか?!


こうしている間にもひとりで私を馬鹿にしつつ自分は正義!みたいな態度でめっちゃムカついて来ました!


何ならなんで令嬢がギルドの受付嬢やってんじゃいって話よ?


「はぁ。これだから平民は嫌ですわ。自分の能力を過信して勘違いしているのね。ケオトートティーガの親子を本当にテイムしているというのなら連れていらっしゃいな?ケオトートティーガなんて我が家の絨毯になっているのがお似合いよ。貰って差し上げるわ。まあ、嘘なんですもの連れてくると言って逃げるつもりでしょうけれど?オーホッホ。」




ほう?うちの子絨毯にしようだと?男爵令嬢だかなんだか知らんけれど、流石にふざけるんじゃないわよ?!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る