第22話 緑ポーション
白い大きな虎が私を見ながら威嚇をしてくる。
ビリビリとするような感覚が伝わるが女神様達に貰った加護のおかげで状態異常になることは無い。が、近づけない事には治療が出来ない。
どちらも酷い傷で一刻を争う様な状態だ。
『ぷりゅ!ぷるぅぷるぅぷりゅう!』
モモがフードから飛び出て必死に小さい子を助けたいと白い大きな虎に説明している。
ママなら助ける事が出来るはずだから治療をさせて!と一生懸命に説得してくれている。
「私はサクラ。出来れば苦しんでいるその子を治療させてくれないかな?突然現れた奴を信じろって言うのは難しいかもしれないけど、早くしないとその子危ない状況でしょう?!」
白い大きな虎は威嚇をやめ、ちらりと後ろに倒れている黒い小さな生物を見つめる。
さっきから全く動かないその子を見た後こちらに視線を向けた。
私はこれを了承と受け取る事にした。
「とにかく青と赤のポーション!念の為紫も!モモもかけるの手伝って!!」
『ぷりゅ!』
青ポーション2本目をかけ終わると傷は綺麗に消え、くうくうと小さい息遣いも聞こえてきた。良かったこれで一安心だ。
『み"ゃう』
白い大きな虎が近づき、黒い小さな生物の体を優しく舐める。
その顔は先程の威嚇の時とは全然違い、とても優しい顔をしている。
しかし、石化は進んでおり下半身を引きずりながら前脚だけで這うように動いていた。
「石化を治す緑ポーションは手持ちに無い。でもあの白い大きな虎も助けてあげたい!!ならやることはひとつ!コカトリスの素材で緑ポーションをここで作ろう!!」
事は一刻を争う。
必要な物はさっき鑑定さんが教えてくれたので大丈夫。
本当は血抜きをして羽をむしってとかあるけど、今は解体の順番とかは気にせず必要な物だけを取り出す。
嘴の下から首の根本にかけて解体用のナイフで慎重に開いていく。
この時傷をつけてしまうと石化の成分が漏れ出し石化状態になってしまうので注意が必要。
まぁ、私は全状態異常無効化スキルが有るから大丈夫なんだけど…傷つけないように慎重に!
出てきたのは20cm程の灰色の袋状の物体、石化袋である。
これに魔力を加えて大鍋に作り置きしておいた基本のポーションと合わせる。
今回は時間が無いので魔法でささっと!
大鍋いっぱいに緑ポーションの完成だ!
「白虎さん!ポーションかけるからね!!モモは青と赤のポーション!数は気にしなくて良いからとにかくかけて!」
『ぷりゅ!』
マジックバックから作っておいた青と赤のポーションをあるだけ取り出してモモに託す。
私は大鍋ごと緑ポーションを現在進行形で石化が進む白い大きな虎にかけた。
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