第15話 閑話 お供え物
ダルシュテル大陸を創造する女神達が住む異空間にある神殿。
ここでは女神達が己の力に磨きをかけたり、加護を与えた者の動向を見守り助言(神託)を与えたり、ダルシュテル大陸を良き世界にするべく日々働く場所である。
そんな神殿のとある一室。
ここでは本日、不憫にもこの世界の勇者召喚に巻き込まれたが、女神達の加護を授かりダルシュテル大陸の一員となった九重桜の行動を見守る女神達がいた。
ダルシュテル大陸の様子を視ることが出来る聖なる泉から大陸に降り立った九重桜を見守る。
『へ〜、なかなかやるもんだなぁ。俺らの加護があるといえど順応性高くねえか?』
『そうですわね。魔法の使い方もお上手ですし、スライムの討伐も余り恐がる事なくこなしておりましたものね?』
『狩るぞぉーってガンガンに狩ってたもんね!数百匹は狩ったでしょ?すごいんじゃない?!』
『しかもぉ、死の森の大精霊の1柱にも早速気に入られてましたねぇ。』
『あぁ、森のニンフだよね!ティアデルの加護があったにしても流石にあの娘と仲良くなるのは早くない?すごいよね!』
『森を恐がる事なく採取とかも楽しんでる感じだったかんなぁ。食べれる物見つければすげぇ喜んでたし。そういうのがあいつ的には嬉しかったんじゃねえの?あいつ、あの森の事すげぇ好きだかんな。』
『死の森と名前は付いていますが、森としては豊かで実り溢れ、多くの生命が育まれる素晴らしい森ですものね。』
『その多くの生命が強いから人間には恐がられて死の森って呼ばれてるんだけどね!』
『だから森を大切にしようと考える人はあんまり居ないものねぇ。あれだけ楽しんでくれた人は久方ぶりでしょお?嬉しかったのねぇ。』
『近いうちにあいつも女神昇格するかもしんねえな!イシュタルウェヌスみたいによ。そういえばあいつ何処行ったんだ?桜を送ってから見てねえけど?』
『イシュタルウェヌスなら力をつけるために修行するって!ティアデルが師範するって付いていったよ!』
『ティアデルに教わるのでしたらすぐに力もつくことでしょう。桜さんがキュアを使える日も意外と早いかもしれませんわね。』
『そうですねぇ。すぐにメガリスなんて追い抜くでしょうねぇ。』
『確かに違いねえ。楽しみだな!』
泉に映る九重桜の死の森での生活1日目を見守りながら、彼女に加護を授けた女神達の会話は続いていた。
そこに…
「ティアデル様、ヴァルストーリア様、イストルディア様、ホーラレイヤ様、ペミネルラ様、イシュタルウェヌス様、皆様に授けていただいた加護のおかげで異世界生活1日目を無事に終える事が出来ます。可愛いい仲間も出来て何とか楽しくやれそうです!加護をくださった皆様に心からの感謝を…」
突然の祈りの声と共に眩い光が部屋の中に溢れる。
『まぁ。』
光が収まった部屋の祭壇には魚の葉包み焼きとアユの塩焼きが6人分、ホカホカと湯気をたてていた。
『へぇ。供え物か。美味そうじゃねえか!』
『本当に我々に祈りを捧げてくれたのですね。しかも人数分のお供え物までありますわね。』
『律儀ですねぇ。彼女が愛されるのはこういう所でしょうねぇ。』
『よ〜し、じゃあティアデルとイシュタルウェヌス呼んでくるよ!美味しそうだし冷める前に食べないとね!』
イストルディアがパタパタと部屋を出ていく。
『イシュタルウェヌス喜ぶだろうな!じゃあ今のうちに俺は酒でも用意しておくかな!』
『そうですわね。ダルシュテルの世界に新たに素敵な住人が増えた事を祝わねばですわ。』
『これは思った以上に良い子が巻き込まれたようですでねぇ。これからが本当に楽しみですねぇ。』
満面の笑みで泉に映る九重桜を見守るペミネルラの言葉に他の女神達も同意した。
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