第14話 異世界で初ご飯

「おぉ〜ライトブルーのコツメカワウソさんが案内してくれた場所だ〜。ちゃんとモモも一緒に転移で戻って来れたぁ。良かった〜。さぁ、すっかり暗くなっちゃったし、下処理済ませてあるお魚を使って夕飯を作ろう!何やかんやこの世界に来てから初ご飯になるのか?!何を作ろうかなぁ。夕飯が出来るまでモモは遠くに行かないでこの辺りで過ごしててね!」


『ぷぷりゅりゅ〜』


お。聞いたことのない鳴き声!

モモを腕から下ろすと、初めて来た場所にキョロキョロとしながら辺りを見渡している。

可愛いなぁ。


ライトブルーのコツメカワウソさんの魔法によって、一部分だけ草木が刈り取られ整備された場所。

その端に土魔法で竈を作る。


魔法はイメージが大事だと元の世界の漫画なんかで読んだけどその通りだった。


ばあちゃん家で使ってた竈をイメージしながら魔法を使ったら結構立派な竈が出来た。

そこに拾っておいた薪用の木を入れて火をつける。


「勿論、ここは、イシュタルウェヌス様に貰った狐火で!」


次に大きめの石を丸く並べて焚火用のエリア作る。


石?何処から持って来たかって?


魚を捕った川辺です!


水分は魔法で乾かしてあるので大丈夫!こちらにも薪を焚べて狐火で点火!

これでこの火で調理した料理は浄化されるから食あたりになることは無いだったよね!


やっぱりありがたい加護だぁ。


ペミネルラ様が持たせてくれた、元の世界でばあちゃんと使っていた調味料セットを取り出す。薪の火がしっかりとするまでの間に下準備だ!


さっき川で捕った鮭(この世界ではシャーモンと言うらしい)の切り身に塩を振りかけ、少し置いて余分な水分と臭みを出す。

切り身の水気をしっかり取ったら採取しておいたキノコと共に大きめの葉(クリーン済)に乗せ、レモンみたいなレーモの実の輪切りを乗せてバジルの様な味と香りの葉を細かく刻んで振り掛ける。塩胡椒をしたら葉で蓋をして竈へ。


シャーモンのホイル焼きならぬ葉包み焼きだ。


焚火の所には串に刺した鮎に塩を振って焼く。


やっぱり鮎の塩焼きは外せないよね!


因みにこの世界で鮎はアユだった。名前の付き方が謎だ…。


魚を焼いている間にテーブルの準備。

ライトブルーのコツメカワウソさんがこの場所を整備してくれた時に出た廃材をアイテムボックスから取り出し、


「クラフト!」


廃材はみるみるテーブルとイスになった。

余った廃材で木製のお皿やお椀、コップ等の食器も作る。

丸みを帯びた可愛らしい感じの木製食器が出来た。


作った物にクリーンの魔法を掛けて綺麗にしておくのも忘れない!


「さぁて、焼けたかな〜。」


竈と焚火の火にかけておいた魚の焼け具合をチェック。

葉包み焼きからはスモークしたような香ばしい良い香りが立ちのぼり、アユの塩焼きも良い感じだ。


アイテムボックスが容量無限、時間停止機能付きなので1回の調理でなるべく沢山作った。そうすればいちいちご飯の度に料理をしなくて良いから時短にもなるしね!


今回はアユの塩焼き10本。体長が1ⅿ程あった丸々としたシャーモンの切り身を使って葉包み焼きを20個。


今から私とモモの食べる分を抜いて残りをアイテムボックスに仕舞おうとしてフッとある考えが浮かぶ。


「そうだ!せっかくだから加護をくれた女神様達にお供え物として供えようかな。」


私は出来たての葉包み焼きとアユの塩焼きを6つずつ用意してテーブルに並べる。


「ティアデル様、ヴァルストーリア様、イストルディア様、ホーラレイヤ様、ペミネルラ様、イシュタルウェヌス様、皆様に授けていただいた加護のおかげで異世界生活1日目を無事に終える事が出来ます。可愛いい仲間も出来て何とか楽しくやれそうです!加護をくださった皆様に心からの感謝を…」


作った料理を並べて女神様達に感謝を込めて祈る。


不思議な事に、祈り終わって目を開けると女神様達へのお供え物として置いておいた料理が綺麗に無くなっていた。


「ちゃんと女神様達に感謝の気持ちが届いたかな?届いてると良いけど…。よぉーし。モモご飯にしよう!こっちにおいで!」


『ぷぷるぅ〜』


異世界に来て初めての食事は、可愛い従魔と共に美味しく頂きました!


明日からまた頑張るぞ〜!!

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