第12話 変わったスライム
複数のブルースライムが群がって居たのは、1匹のピンク色のスライムだった。
ここまで沢山のスライムを狩って来たがピンク色は初めて見た。
複数のブルースライムに体当たりされ、押しつぶされ、ピンクスライムは水溜りの様にテロンと伸びかけている。
体力が尽きかけているのだろう。弱肉強食の世界ではしょうがない事なのかもしれないが、何故か私はそのピンクスライムを助けてあげたくなった。
別に、従兄妹家族に虐められてた自分に重なって見えたとかじゃないもん!!
ラルジュナサイズを構え隠密を使って近づき、ブルースライム達を一刀両断する。
ピンクスライムに覆いかぶさるようにしていたブルースライムが全てテロンと伸びたのを確認しアイテムボックスに放り込む。
そしてマジックバックから女神様達が持たせてくれた青と赤のポーションを取り出す。
「青いポーションは傷を、赤いポーションは体力を回復をしてくれるお薬だからね。大丈夫、元気になれるよ。」
そう言いながら2種のポーションをピンクスライムにかける。回復した瞬間に襲われたらどうすんだよと今更ながらに思うけど、だってほっとけなかったんだもん!
『ぷりゅぅ』
「お!テロンとしてたのがマン丸くなってきた!良かったポーション効いたみたいだね。」
体力が尽きかけてテロンと伸びきっていたピンクスライムは30cm位のマン丸い姿になった。
咄嗟に女神様達に貰ったポーションを使ったけど、これが魔物にも効くのか分からないまま使ったもんでちょっとホッとした。
スライムの頭?の辺りを撫でると張りのあるぷるんと感触だ。これなら傷と体力はもう大丈夫そうかな?
『ぷるぅ』
「元気になったみたいで良かった!桃の花みたいな綺麗なピンク色だねぇ。今の所この辺りに他の魔物の気配は無いけど、また襲われ無い様に気をつけてね!」
撫でるのを止めるとピンクスライムはぽよぽよと縦や横に体を揺らし始めた。
体調の確認かな?改めて見ると、まるんとぷるんとした可愛らしいスライムだ。
700匹もスライム狩ってきた私が何を言ってるんだって話だけど、他の色のスライムより丸っこいし、色の濁りも少ない透明感で綺麗な桃花色をしている。
「あ、女神様達から貰ったポーション使っちゃたし、作って補充しとかないとな…備えあれば憂いなしってね!」
『ぷぅぷるぅ』
「うん?」
ピンクスライムが鳴いたかと思うと服の裾をチョイチョイと引っ張られる。
見ると丸い体から触手の様な物を出し、裾を持つのとは違う触手は何処かを指さすかのように動いている。
「もしかして、何処かに連れて行くって事?」
『ぷぅ〜』
ピンクスライムは私の服の裾を引いたまま、ぽよぽよと森の中を進んでいく。歩く事数分…
「うわぁ。薬草の群生地だぁ。しかも、上位ポーション用の薬草ばっかり沢山!料理に使えるハーブも沢山有る!すごい!」
『ぷ〜』
目の前に広がるのはレア度の高い薬草が生茂る群生地。ポーションの材料になる薬草がほぼこの場所にあると言っても良い位の絶好の採取地だ!
「もしかして…ポーション補充しないとって言ったからこの場所に連れて来てくれたの?」
『ぷりゅう』
ピンクスライムはぷるぷると揺れている。
なんか花の首飾りあげた時のライトブルーのコツメカワウソさんみたい。助けたお礼ってことかな?
「ありがとう。じゃせっかくだから採取させて貰って良いかな?」
『ぷぷりゅぅ〜』
ピンクスライムが薬草の群生地へ飛び跳ねながら入って行くのを横目に見ながら、私も薬草と料理に使えるハーブの採取を始める。
薬草が沢山あって採取が楽しくなり、つい夢中になってしまったら辺りは日も沈み暗くなり始めていた。
「おっと、ちょっと夢中に採取しすぎたわ。周りが暗くなり始めて来ちゃった。そうだ!明かり代わりに熱くならない狐火の火の玉を出してっと。」
『ぷぅ〜ぷりゅぅ〜』
「おっ!ピンクスライムさん…なんかサイズ大きくなってる?」
狐火で明かりを灯すとピンクスライムさんがこっちに戻って来たのだが、そのサイズが確実に大きくなっている。バスケットボール位のサイズだったはずなのに大型車のタイヤ位になってる?!
『ぷぷりゅぅ〜』
サイズが大きくなってるピンクスライムは私の前でぽよぽよと揺れると、手の様に伸ばした触手で自分のゼリーの様な体の中から沢山の薬草を出して私の方へと差し出す。
よく見ると種類ごとに分けられているし摘み方も葉が傷つかないような丁寧さだ。
「これ、くれるの?もしかして手伝ってくれたって事かな?ありがとう!君は薬草を種類ごとに判別出来るみたいだし、私の言葉を理解してここに連れて来てくれたし知能が高いんだね。色も珍しいみたいだし、ちょっと鑑定させてもらっても良いかな?」
『ぷぷぅ』
私はピンクスライムから受け取った薬草をアイテムボックスにしまいながらピンクスライムに鑑定魔法を使った。
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