第6話 いざ!ダルシュテル大陸へ!

ダルシュテル大陸へ出発するために部屋の魔法陣へ向かう。


『九重桜よ。ダルシュテル大陸へ行っても達者での。儂らはいつでもお主の味方じゃからの。忘れるでないぞ。』


「はい。ティアデル様。ありがとうございます。異世界は緊張しますが皆様から沢山の加護の力を頂きましたから頑張ります!従兄妹達には関わらず、メガリスが悔しがる位にダルシュテル大陸での暮らしを楽しんでやりますね!」


そうだ、死の森で死ぬ事は加護のおかげで無くなったのだ。異世界ライフを楽しんでやるぞ!


勇者や聖女にも関わらない!従兄妹達にこの能力の事がバレたら絶対面倒臭くなるもん!


『フフフ。あなたの活躍を楽しみにしてますわねぇ。あの娘の悔しがる顔を見るのが楽しみですわねぇ♡』


ペミネルラ様。相変わらず良い笑顔です!!期待に添える様に頑張ります!


『桜!これは俺達からの餞別だ受け取りな!』


そう言うヴァルストーリア様の手には立派な槍が握られている。


『お前は戦闘経験が無いんだろう?戦った事が無い奴にはリーチが短い武器より長い方が良いだろうと思ってな!』


『ミスリルとオリハルコン、それにヒヒイロカネを混ぜて作った槍だよ!その名もアルカナジャベリン!強そうでしょ!しかもねしかもね、大鎌に変化もする自信作なんだよ!あ、大鎌の方はラルジュナサイズ!変えたいときはアルカナジャベリンモード、ラルジュナサイズモードって使いたい方の名前を言えば良いよ!』


全体的に青みがかった様な色の立派な槍の中心には赤い焔の様な物がユラユラと揺らめいている様に見える。持ち手は重厚感のある銀色で細かい彫刻の細工が入っている。重そうに見えたが驚く位に軽いし持ちやすい。


神秘的な槍と言う名前が付いているのも納得だ。


綺麗…。武器に綺麗って感想は変かな?でも、飾っておけば芸術品だと思う位に綺麗な槍だ。大きな鎌と言う名前のラルジュナサイズはどんなのだろうなぁ。使うのが楽しみだな。


『それからこちらは容量無限と時間停止機能の付いたマジックバックですわ。肩掛け用と背負う用、腰に巻くタイプの物にお金を入れるのに便利な大きさの物を用意しましたわ。アイテムボックスを持っている人間は少ないでしょうからこちらも上手くお使いなさいな。生きている物以外ならいくらでも収納出来ますわよ。背負いタイプの物には物作りや料理等に使える道具も一式揃えて入れてありますわ。それから、少しですが硬貨とポーション類も入れて置きましたわ。』


『後は洋服じゃ。流石に前の世界の服のままでは目立つじゃろうしの。防具も付けよう。シンプルで動きやすい物にしてあるからの。』


「おぉ!」



ティアデル様の説明を聞いていたらホーラレイヤ様が魔法で私の着ていた洋服を変え防具とマジックバックの装備をしてくださいました!全体的に茶色で纏まったコーディネイトだけど所々フリルが付いてたり差し色が入っていて可愛らしい。


23歳…似合ってるかしら?大丈夫そう?


『最後に私からはこれですよぉ。あなたの世界の調味料が入ったセットですねぇ。これは使ったら使った分補充されるのでぇ無限に使えてとっても便利ですよぉ。九重商店に置いてあった調味料をセットにして魔法を使ってダルシュテルでも使える様にしたのよぉ。』


「それ、ばあちゃんの…」


籠に入った調味料セットは見覚えがある。ばあちゃん家で使っていた物だ。私は籠に入っている茶色い小振りな壷の蓋を開ける。ふわっと優しい味噌の香りがする。


「ばあちゃんの味噌だ…」


色々な物を手作りしていたばあちゃんは調味料も何種類か自作していた。味噌もそのひとつ。ばあちゃんが亡くなってもう2度と味わえなくなると思っていたので、ペミネルラ様からのまさかの餞別に涙が出そうになる。


『フフフ。喜んでもらえたようねぇ。あなたはおばあちゃまをとっても愛していたものね。これはあのおバカさんが巻き込んでしまったお詫びでもあるから受けっとてねぇ。便利な物色々と入れておいたわぁ。』


「何から何まで皆様本当にありがとうございました。」


零れ落ちそうになる涙を拭って、改めて女神様達に頭を下げてお礼を伝える。


『達者での。』

『楽しんで来てね!』

『俺らの加護があれば大丈夫だぜ!』

『良き旅を。』

『フフフ♡』

『元気で…私も頑張る。』


足元の魔法陣が光り輝く。


『『行ってらっしゃい(な)九重桜!』』


「行ってきます!!」


6人の女神様が笑顔で見送ってくれた。その笑顔を絶対に忘れない!魔法陣の光に包まれながら私は女神様達に笑顔で手を振り返した。


さあ、いよいよ異世界へ出発だ!!

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