第4話 捨てられる前に拾われる⁉③

『さぁて、自身をこの世界の最高位の女神とかほざいている中の中女神の勘違いを正して差し上げないといけませんねぇ。』


ペミネルラ様本当に良い笑顔で…。てかメガリス中の中女神だったのか…。


『こりゃ救いようがねぇよな。』


『ですからあんな小娘早めに対処すべきと申したのです。』


『最高神様が他の世界の最高神との定例会議で留守だからって好き勝手にやりすぎだよね!そもそも今回の勇者召喚だって何回目さ!』


皆様メガリスの事嫌いなのですね?分かりますとも、とっても分かりますとも!


しかも最高神様の居ない時期を狙ってメガリスは好き勝手しているようだね。本当に面倒臭い女神だなぁ。


「あの、勇者召喚はこれが始めてではないのですか?そもそも勇者召喚ってそんなに何度もするものでしょうか?」


疑問だった事を質問してみた。


「今回の勇者召喚が何度目かならダルシュテル大陸には勇者と聖女が何人もいるのではないですか?そもそも勇者召喚が必要な理由はなんでしょう?定番なら魔人族の魔王と戦う為とか?」


『魔人族は居るが基本戦闘は好まない奴らが多いぞ?それに、ぶっちゃけ勇者召喚する必要はないんだよ。人間同士の領地の奪い合いはたまにあるが、そこまで大きなもんでもないしその争いに勇者なんて要らないだろ?』


「じゃあ何で何度も勇者召喚しているのでしょう?」


益々メガリスのやりたい事がわからない


『儂ら神はのぉ、民からどれだけ祈って貰えるか、信仰して貰えるかでその強さが決まるんじゃよ。教会は勿論、食事の前のお祈りや誰かの安全や健康を祈っても良い。それらの思いがその力(加護)を持つ神の元へ届き力となるのじゃ。』


『メガリスさんは勇者召喚をして各国の王家に貴方の国の為に勇者召喚してあげましたよと神託をしているのですわ。』


『勇者召喚してあげたんだから敬え〜ってね!それで感謝の印として自分を信仰させる教会を造らせて祈らせるんだよ!その教会ならそこでの祈りはメガリスの元に全部行くからね!要は手っ取り早く力を手に入れようとしてるんでしょ!』


うわぁ、やっぱり嫌な奴だ。そんな女神が呼んだから勇者と聖女があんな性格悪い従兄弟達なんだわ…。


従兄弟達が行く国は大丈夫かね?あの2人なら豪遊とか平気ですると思うんだけど…。まぁ私には関係無いな。


『さて、では改めて。儂らは同胞メガリスの非礼の詫びとして九重桜に加護を授ける事にした。巻き込んだのにその非を認めず、身ひとつで死の森に追いやろうとは本当に…』


『すまなかったな。まさかここまで性格ひん曲がってるとは思わなくてよ…』


「いえ、逆に皆様にお気遣い頂く事になってしまって…なんと申したら良いのか…。そういえば、先程ペミネルラ様が私にも協力をと仰っていましたが私は何をすれば良いのでしょうか?」


今もとっても良い笑顔で微笑んでいらっしゃられるペミネルラ様の方を向く。


『あぁ、あなたは私達の加護を使ってダルシュテル大陸で元気に暮らしてくれれば良いのですよぉ。』


???どういうことでしょう?


『メガリスはお前さんを死の森で魔物に襲わせて亡き者にしようとしておるのじゃろ?』


『だから俺らの加護を与えて死の森の魔物なんかに負けないくらいにしてやんよ!』


『無事に死の森を抜けた後はいろんな所を旅したり、好きな様に生活してくれて良いよ!ちょこっとでも良いからあげた加護をこの世界の為に使ってくれたらより嬉しいな!』


『あなたが元気で長生きすることがメガリスへのお仕置きのひとつになるのですわ。あの娘はとてもプライドが高いですから。』


『自分の思い通りにならない事はメガリスにとっては何よりも屈辱でしようからねぇ。』


なるほど、死ぬはずの奴が元気に生きていたら確かにあの女神なら『なんでよ!』って怒りそう。


「でもそんな事をしたら皆様が私に力を与えてくださった事がメガリスにバレませんか?イシュタウェヌス様とか何か言われたりなんてしませんか?!」


『私は大丈夫。心配ありがとう。』


メガリスより高位らしい5人はともかく、生まれたばかりと言っていたイシュタウェヌス様はメガリスに獣やちびっ子呼ばわりされていたし、八つ当たりとかされないか心配だよ…。


『それは心配いらんよ。加護を与えた事はあやつのように大々的に言うものではないからの。言わなければバレんのじゃよ。ほっほっほ。』


『それにあいつを自愛の女神とかツッコむお前が気に入ったからな!』


『そうですわね。あなた自身を気に入ったから力を貸すのですもの気になさる事はございませんわ。』


そうなの!?なら良いのかな?私としても死なずにすむなら凄く有り難い。



こうして私、九重桜は死の森へ捨てられる前に6柱の女神様に加護を頂ける事になりました。



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