第3話 捨てられる前に拾われる⁉②
『ハハハ!自分を愛する自愛の女神…ハハハハ!だめツボった!』
『笑いすぎだよヴァルストーリア!まぁピッタリ過ぎて面白いのはわかるけど!』
ヴァルストーリアと呼ばれた褐色の肌に黒いショートヘアで金色の瞳を持つ細マッチョなイケメン女神様。
そんなヴァルストーリアを窘めつつ自身も笑っているのは小柄で等身は低めだが、しっかりとした体付きで物語に出て来るドワーフっぽい姿の女神様。
『これ、2人とも異世界から来た娘が困っておろう!』
『そうですわ!メガリスに気づかれないように済まさないとですのよ!』
『あの娘が悔しがる姿を見るのが楽しみですねえぇ。フフ。』
声がしたかと思うと新たに3人の女神様が部屋に入ってくる。シワシワの手に少し曲がった腰、亡くなったばあちゃんに似た雰囲気の女神様。華奢な体付きに色白な肌、特徴的な尖った耳のエルフっぽい女神様。メガネを掛けた高身長で少しふくよかな美人女神様である。
『いや、悪い悪い!だって自愛の女神って!ピッタリ過ぎて…ハハハ!』
突然の女神様達の登場に戸惑っていると、お婆ちゃん女神様にこちらへいらっしゃいなと呼ばれた。近づいて見ると本当に美人ばかりな女神様達である。
『儂はティアデル。《太陽と大地を司る女神》さね。さっきから笑い転げてるのは《戦と勝利の女神》ヴァルストーリア。ドワーフの姿の女神は…』
『《鍛冶と物作りの女神》イストルディアだよ!宜しくね!』
薄い褐色の肌に赤毛のドレッドヘアで美人なドワーフ女神様イストルディア様は、人懐っこそうで可愛らしい感じもあるがゴツゴツとしたその手にTHE職人という感じが漂っている。
『私はホーラレイヤ《時間と空間と全魔法の女神》と言われておりますわ。又、ダルシュテル大陸に住まうエルフ族のモデルとなっております女神ですわ。どうぞよしなに。』
色白金髪碧眼美人女神様!
エルフ族はどんな物語でも美男美女だけれども!こんな綺麗な女神様モデルにすりゃあそら美人だわ!羨ましい!
『私は《医療と知識と豊穣の女神》ペミネルラよぉ。知識的な力と豊穣がなんで同じ女神の加護にあるかは気にしちゃだめよぉ♡宜しくねぇ。』
メガネを掛けた少しふくよかな女神様は見上げるほどの高身長。
2m近くは有りそうだよ?
大ぶりな丸メガネに薄いエメラルドグリーンの髪に薄いグレーの瞳の美人女神様。おっとりとしているが…怒らせたら絶対に駄目なタイプだと思う!
うん。女の勘が言ってる、ペミネルラ様は怒らせたら駄目絶対!!
『さて、これからする事はメガリスには内緒だよイシュタルウェヌス。良いかい?』
ティアデル様が突然のこの状況にポカンとしていたイシュタルウェヌス様の方を向き言う。
『ティアデル様。な、何をするおつもりですか⁉』
イシュタルウェヌス様が不安そうに5人の女神様達を見る。
『な~に大した事はしないさ!イシュタルウェヌスがやった様に俺らも九重桜に加護をやろうと思ってな‼』
イケメン女神様は一人称が俺なのね…推せるわ!
いや、そんな事を考えてる場合じゃないわ!今なんか凄い事をサラッと言われた気がする!!
「あ、あの!私に加護をと聞こえたのですが、どういうことでしょう?!」
『言葉の通りさ!お前に俺ら5人からも加護をやろうと思ってな!!』
やっぱり聞き間違いじゃなかった…。多分、いや間違いなく凄い事だけれどもなぜ?会ったばかりの女神様達が私に加護をくれる理由がないじゃない?
「イシュタルウェヌス様に加護を頂けただけでも有り難いことですのに皆様からも加護を頂くなんて!そもそも私にそこまでして頂く理由がございませんし…。」
『いや、理由なら十分あるんじゃよ。まず、あんなんでも同じ世界の女神じゃ。同胞の非礼、儂が変わって詫びよう。申し訳なかったの。』
「いえ、ティアデル様にお詫びして頂く事はございません!悪いのはあのメガリスという女神であって皆様ではありませんもの!そもそもあの女神がここの最高位の女神だなんて皆様の苦労が目に浮かぶようです。」
本当にあんなのが最高位の女神って、これから行くダルシュテル大陸自体が大丈夫なのか不安になるレベルよ?
『メガリスが最高位の女神ぃ?それはどういうことかしらぁ?』
ペミネルラが最高に黒い笑顔をしている。マズいこれはヤバいやつだ…
「あ、あの…。本人が、私の様なこの世界最高位で優秀な女神が巻き込みなんてする訳がないじゃない!と言っていたのでこの世界の女神様の中では偉いのかと…。」
『へぇ。あの娘そんな事をほざいているのねぇ?これは本格的にどうするか考えなければいけませんわねぇ?』
怖い!ペミネルラ様の黒い笑顔が怖い!!あれ?でもペミネルラ様がこんなに怒ってるって事は…?
『はぁ。九重桜!勘違いしてるようだから教えるけど、メガリスは全然最高位の女神なんかじゃないぞ!』
イストルディア様が腕を腰に当て頬を膨らませながら言う。
あのメガリスって女神、自分はこの世界の最高位の女神って言ってたけど違うの?確かに高位な感じはほぼ無い残念そうな女神だったけど!
『フフフ。ではじっくりと思い知らせてやりましょうねぇ。最高位の女神達を怒らせたらどうなるのかぁ。楽しみですわねぇ。あなたも協力して下さいねぇ♡』
ペミネルラ様にがっしりと両肩を掴まれた私はただ頷くしか出来なかった…。
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