第5話
「お兄ちゃん、何処に行っちゃったんだろう。幾ら連絡しても帰ってこないんだけれど。学校にも来ないし」
小柄な少女は一人教室で頭を悩ませている。
悟の事をお兄ちゃんと呼び、彼と親しくしている一人である。彼女も悟に救われたうちの一人であり彼を愛してやまない少女である。
顔は幼くアイドルのような顔をしており可憐以上にファンが多い子である。小柄な体格には釣り合わないほどの胸を持っており彼女の胸で泣きたいというファンが多いんだとか。
実際に声優活動を行っており、そこそこの人気のある彼女は学校を休みがちではあるが悟がいるため合間を縫っては学校に行っている。将来はより声優活動に力を入れ、悟の事を養っていくことを心に誓っている少女である。
「そう言えば、お兄ちゃんの家知らないなぁ。どこに住んでるんだろ。家族旅行でも行ったのかな?でもそれにしては、長すぎるよね。一週間も来ないなんて。それにいつもなら遅くても三十分以内には返信は帰って来てたのに」
今更になって悟の言えすらすらないと気づいて、彼女は自身の怠慢に飽きれてため息が出る。
「もしかして、また他の女の子に何か変なことされてるのかな?お兄ちゃんは優しすぎるから変な女が寄ってきちゃうもんね」
彼女の頭の中に美嘉や美鈴の顔が浮かびげんなりとしている所、ちょうど声がかかった。
「桜さん、少しだけ聞きたいことがあるのですが」
「............はぁ。私少し忙しいんだけれど。生徒会長さんのお話はまた今度でいい?」
今、絶賛見たくもない人間が目の前に現れてうんざりとした顔をしてしまう。普段は学校や職場でもいい子を演じているが、悟に集る女に対してはこういった態度を取ってしまっている。
「...........悟君の事についての話なんですが。それでも忙しいというのなら私は消えますが」
「…分かった。生徒会長さんの話聞くよ」
悟が関わることなら致し方なくという感じで桜は聞く体制に入った。
「桜さんは悟君の居場所について心当たりはありますか?」
「…知らない。てっきりお兄ちゃんに生徒会長とかがお兄ちゃんの事を何処かへ監禁でもしてるんじゃないかと思ってた」
「私はそんなことしません。悟君とは清い付き合いをしたいと思っているので」
「へぇ...........流石、みんなが憧れる生徒会長さんだねー」
と嫌味っぽく返す桜に美鈴も頭に血が上りこの音声を録音しこいつの人生を滅茶苦茶にしてやりたいと思ってしまうが、美鈴も下級生相手にやり返すのもどうかと思い一呼吸おいてからま話を再開させる。それにそんなことしたら、悟に嫌われてしまうという思いが強い。
「ということは、桜さんも悟君の居場所が分からないんですね」
「…まぁ、そうだよ。だから今、探してるところ」
「...........私達、手を組みませんか?」
「手を組む?」
「はい、一緒に悟君を探すという意味です」
「それくらいは私にも分かるけれど、生徒会長さんは悟君が何処にいるのか目星ついてるの?」
「悟君に近づいていた女性の中の誰かなのかと思っています」
「私と同じ考えだね」
「ですが、桜さんも違うとなると残り一人の祥子さんだけですね」
残り一人の少女である、祥子。
彼女は..............
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