レベルアップとランクアップ

「・・・遂に貯まったか」


3階層に初めて挑んでから2カ月、俺はひたすら2階層でゴブリンを狩り、エイムの練習とDP貯めをおこなっていた。

まだ高校生の俺のダンジョン探索は主に土日。平日に探索することもあるが、学校が終わった後だと時間が遅いし、家族と過ごす時間も欲しい。

結果目標DPが貯まるまで2カ月もかかってしまったのだ。


「でもこれでようやくアサルトライフルが買えるぜ!いやぁ、ここまで長かったなぁ」


【ガンスミスLv1】で売っているアサルトライフルは5000DP、しかし弾薬などの追加の費用が掛かる為、俺は7000DPまで頑張って貯めたのだ。この努力を誉めて貰いたいくらいだ。


俺は早速【ガンスミスLv1】を開くと【銃器購入画面】でアサルトライフルを選択する。外観はもう決めてある。『HK416』だ。俺は迷わず外観を選択する。するとスターターセットを購入した時と同じように目の前にHK416が現れた。


「うぉぉぉぉ!マジでかっこいい!G36Cと迷ったけどこっちにして良かったぁ!」


俺はHK416を手に取ると細部を眺める。HK416は俺の中で1、2位を争うほど好きな銃だ。細身の外観がかっこいい!


そんな感じでHK416を眺めていると不意に自分の中で何かが変わった感覚があった。ネットで見たことがある。これはスキルのレベルアップの感覚だ。俺はHK416を置くとスキルを確認する。


「お?【ガンスミスLv2】になってる」


【ガンスミスLv2】を開く。特に何か変わった様子は見られないが・・・何が変わった?


「あ!?今まで選択できなかった【改造】の中に【アクセサリー】の項目が追加されている!」


【アクセサリー】が【購入】ではなく【改造】の項目にあることに疑問を感じるが、確かに銃にアクセサリーを取り付けることも改造になるのかと自分を納得させ、【アクセサリー】の項目をタッチする。


【ホロサイト500DPにライト400GP!?・・・アクセサリー高すぎだろ】


HK416を購入して2000DPしか残っていない。ここから弾倉と弾薬を購入したら1000DPも残らないだろう。しかし光学照準器は欲しい。


「・・・ええぃ、迷ったら買え!」


グダグダ悩んでもしょうがない。DPはまた貯めればいいんだ。俺はアサルトライフルの弾倉5個と弾薬180発。そしてホロサイトとフォアグリップを購入した。合計1800GPで俺のDPは素寒貧になってしまった。


「ホロサイトよりもダットサイトの方が安かったけど、俺はホロサイトの方が好きなんだよなぁ」


購入した物品が次々と俺の前に現れる。アサルトライフル含め高い買い物だったが、無駄ではないだろう。


「後はアサルトライフル用の弾倉入れとスリングを買わないとなぁ。ネット通販でいいか」


流石に3~4kgの銃をずっと手に持っているのは辛いしグロック17も使えなくなる。HK416用のスリングは必要不可欠だろう。


「通販でスリングが届くまでは探索を休みにしよう。・・・楽しみだなぁ次の探索」


俺は再びHK416を手に取ると、再びその外観を眺めて楽しむのであった。








































「おめでとうございます斎藤様。日頃の魔石収集の功績が一定評価に達しましたので、『Eランク』に昇格となります。今後士別ダンジョンの最下層まで探索可能なのと、Eランクダンジョンまでの入場が許可されます」


ネット通販で注文していた装備が届いた週の週末、士別ダンジョンでいつものように入場の手続きをおこなったところ、職員からEランクへの昇格を伝えられた。これで士別ダンジョンのボス部屋まで行くことができる。職員にお礼を言うとウキウキ気分で士別ダンジョンの入口へ向かう。


「まぁ、今日はこいつのテストだから最下層まで行くつもりはないんだけどね」


そう言って俺はスリングで身体から吊るされているHK416を撫でる。今回から新たに防弾ベストにアサルトライフル用の弾倉入れを付けている。M4系の弾倉用なのでHK416の弾倉の収まりはバッチリだ。しかし3つしか弾倉を入れることができない為、入りきらなかった2つの弾倉はバックパックに入れるしかなかった。


「そもそもアサルトライフル用の弾倉入れも無理やり付けてるんだよなぁ。今度新しい防弾ベストを買おう。その為にも稼がなくては」


サバゲー用のコスプレ装備だとしても高校生の俺には結構痛い金額をしているのだ。使い難いからといってそんなにホイホイ買い替えることはできない。今着ている防弾ベストは見た目がかっこいいから選んだやつだが、今度から装備を購入する時は考えて買わなくては。


「さぁHK416ちゃん。君の性能を見せてくれ」


俺は早くHK416を撃ちたい衝動に駆られながら、士別ダンジョンへと足を踏み入れるのだった。

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