DPを求めて

「ふぅ、さっぱりした。」


士別ダンジョンから戻った俺は風呂で疲労を抜き取ってから自室へと戻ってきた。帰宅した時に両親が凄く心配そうに「一、探索はどうだった?怪我はしてないか?」みたいに聞いてきたから問題ないと答えておいた。


少々過保護に感じるが、探索者用防具店で買った装備ではなく街のミリタリーショップで買ったようなコスプレで探索に臨んだのだ。両親が心配するのも無理はない。


「さてと、DPとやらはしっかり貯まったかな?」


俺はベッドに座り【ガンスミスLv1】を開く。既に残った弾は15発程度になってしまった。これでDPが貯まっていなかったら完全に手詰まりになってしまう。


「DPは・・・お?200DP貯まってる!」


ウインドウの残DP欄にはしっかりと200DPと表示されていた。やはりダンジョンでモンスターを倒すことがDP獲得の条件だったんだろう。俺は早速【弾薬購入画面】でハンドガンの弾を購入する。すると目の前にスターターセットで出てきたような紙の箱が出現した。


「弾が紙箱に入ってるってなんかかっこいいな。数は・・・50発か。20DPで50発は安い方なのかな?」


しかし50発では弾倉3つ分には足りない為、もう1箱弾を購入しておく。これで今日残った弾も合わせると100発超えだ。これなら安心して撃つことができる。


「そういえば銃って使ったら整備しなきゃいけないんだよな。拳銃の分解整備なんてどうやるんだよ。そもそも道具がないし。」


整備していない銃は破損すると聞いたことがある。だがエアガン以外に銃なんて触ったことがない俺に整備なんてできる気がしなかった。


「なんかないかなぁ・・・お?【整備】の項目があるじゃん。」


ウインドウを色々弄っていると【整備】の項目を見つけたのでタッチしてみる。すると【整備】と【修理】の項目が現れたので、迷わず【整備】を選択。すると「50DP掛かりますがよろしいですか?」と表示された。


「整備に50DPって弾より高いじゃん・・・でも仕方ないか。俺に整備なんてできないし。」


俺はそう割り切って【Yes】と選択する。すると机の上に置いてあったグロック17が数秒光り輝いた。


何事かと思い慌てて近づくと、探索で少し汚れていたグロック17の外観が綺麗になっていた。これが【整備】の効果なんだろう。


「外観まで綺麗にしてくれるんだな。でもこれで残りのDP110DPか。」


ハンドガンの弾2つで40DP、銃の整備で50DPで計90DP使ってしまった。今後アサルトライフルとかを買いたいと思ったが、これは長い道のりになりそうだ。


「明日は1階層を無視してすぐに2階層に向かおう。余裕があったら3階層に・・・いや、まだ早いかな?」


何にせよ、明日は今日よりもDPを稼ぐ必要がある。今日は午後から探索を始めて200DP稼いだ。ならば明日は朝から探索に向かおう。


「そうと決まれば明日に備えて早く寝ないとな。」


俺はバックパックにグロック17と購入した弾の紙箱を入れると部屋の電気を消してベッドに横になる。


「明日はスキルの検証もしたい・・・な・・・ぁ・・・」


初の探索で疲れていた俺の意識はすぐに深い眠りへと沈んでいくのだった。






















「はい、探索者カードを確認しました。斎藤様はFランクですので探索は5階層までになります。」


翌日。俺は始発のバスに乗って士別ダンジョンへと向かった。今日の士別ダンジョンは朝一だというのに普段よりも他の探索者が多く感じる。恐らく今日が日曜日だからだろう。


社会人の中には日曜日だけ探索者になる日曜探索者なるものが流行っているらしい。でも確かに、昨日初めてダンジョン探索した俺が5000円の収入だ。もっと深い階層を探索できる人なら1日で万単位稼ぐことも不可能ではないだろう。それだけ探索者とはロマンのある存在なのだ。


「せっかく俺もこんな良いスキルを手に入れたんだから、高校を卒業したら専業探索者になろうかなぁ」


レッグホルスターに収まっているグロック17を撫でると俺は士別ダンジョンの入り口へと足を向ける。せっかく朝一から来たのだ。金もDPも昨日よりも稼がせてもらおう。


そうして意気込んで挑んだ士別ダンジョン2階層。1階層はモンスターを無視して進んだので弾薬の消耗は無し。ここからが本番だ。


「お、早速出てきたな」


2階層に下りてすぐにゴブリン3体と接敵する。距離は10m程だ。グロック17を構え難なくゴブリンを倒す。流石に10mも距離があれば危なげなく対処できるな。


「さて、DPはっと・・・お?140になってる」


ゴブリンを倒してすぐに【ガンスミスLv1】のウインドウを開くとDPが増えていた。昨日の時点で110DPだったので、今の戦闘で30DP増えたことになる。


「1体10DPってところか。」


魔石をバックアップに入れながらそう呟く。弾と整備に使うDPを考えると最低でも9体は倒さなくちゃいけないらしい。こんなペースじゃアサルトライフルどころかサブマシンガンすら買えないだろう。やっぱり3階層に行ってみるか?


3階層にはキラードッグという犬系のモンスターが現れるらしい。脅威度はゴブリンよりも高いだろうが、実入りは良いはずだ。


「午前中は2階層でゴブリン狩りをして、午後からちょっと3階層を覗いてみよう。厳しそうだったら2階層でゴブリン狩りを再開すればいいしな。」


午後からの予定を決めた俺はバックパックを背負うと新たなゴブリンを求め、前へ進むのだった。

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