第3話

【つまらない人生の異分子】


「お姉さん!生1つ!」

名も知られていない大学で1人適当に出席単位を取りつつ、人生を過ごしていた。俺はあの日から何も変わらず、増えたこととは少し女性に苦手意識が芽生えた事くらいだろう。

キャンパスのベンチに腰掛け、外の風景を楽しみながらサンドイッチを頬張る。もちろんコンビニで買ってきたもの。癖で木々や虫の動きや、日や影の色を捉え、頭の中で描く。

「お前暇そうな顔してんのな。」

突然自分の世界から叩き起され、現実に戻される。スラッとした180くらいある背丈で、髪は染められ、目の下に黒子があった。

「お前合コン行かね?ちょっと人数足らんくてさ。」

「...なんで僕なんですか。」

「いいからいいから!連絡先交換しようぜ!あとで予定送るから!」

「おい!」

良い匂いのする彼は台風のように去っていってしまった。


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