第22話 我慢、出来ませんでした。
「はぁ……はぁ……」
「……山田さん……」
互いの唇からは艶めかしく糸を引き、触れ合う肌の熱は冷静な判断力を根こそぎ奪い取っていた。
思春期という淡い言葉ではなく、わかりやすく熱に浮かされている今。
それでも首の皮一枚繋がっていた理性を、一之宮は優しい手付きでそれすら溶かそうとしてくる。
「……固く、なってますね」
「……それは、その……」
キスをする度に一之宮の胸の先端が愛撫するかのように擦れ、柔らかい肌に触れ、こうならない訳はなかった。
一之宮杏香という女を前に、こうならなかったらそれはもう病気であり、欲情するのは必然だった。
「お部屋に行きましょ? 我慢出来ますか?」
俺の下腹部辺りをゆっくりと撫でながら微笑む姿は
積極的な今の一之宮と普段のお嬢様感とのギャップは男をその気にさせるには暴力的過ぎると言っていい。
綺麗だと思ってた月も、静かな夜の気配も今は感じられなくて、ただ目の前の一之宮だけしか見えていない。
「……我慢は、できなさそう、ですね……」
むしろそれを喜んでいるとすら思えるような一之宮の微笑み。
そっと握られ、促すように上下する一之宮の手。
一之宮が手を動かす度に豊満な胸も揺れて、それを見ている事も筒抜けで一之宮は微笑みを浮かべたままもう片方の手で俺の手を自身の胸に押し付けた。
「山田さんの、好きにしていいんですよ。私のこと」
「……いやでも、
間違ってもお湯の中で出してしまうのはまずい。
それをわかっているからか、一之宮は俺が必死に我慢しているのを知っていて尚動かすその手を止めない。
「……じゃあ……」
動かしていた不意に手を止めた。
一之宮はその手の指先を舐め、俺の目をじっと見つめながらそのままその指先を自身の唇に宛てた。
「お口で、しましょうか?」
あまりにも魅力的な提案に、もはやそれしか考えられなくなっていた。
きっとのぼせているのだろう。
これが夢でしたと言われたなら、がっかりこそすれど納得はいく。
だがこの艶めかしい熱と肌の感触を夢とも嘘とも思えない。
「頼む」
「はい」
どうしてそんなに嬉しそうに微笑むのか。
喜びに満ちているのは俺の方だというのに。
立ち上がるように言われて立ち上がる。
水の中という隠れ
外の寒さよりも、恥ずかしさと性的興奮で体は火照っていた。
一之宮は立っている俺の前に膝立ちになり、そのまま咥え込んだ。
俺の腰に手を回して口の中で転がすように舌を遊ばせながら俺の反応を楽しんでいる。
唾液と舌のあたたかさから来る快楽に腰が抜けそうになる。
口を前後に動かす度に見える一之宮の揺れる胸に何度も目がいった。
案外必死にやっているのか腰を掴んでいる手からは真剣さすら感じた。
「っ……。山田、さん。
「いやでも」
「受け止めますから」
一之宮の微笑みの一瞬の
自分の歪みとか、ちょっとひねくれてるところとか、そういうのを全部受け入れて包んでくれる包容感。
女性にしか醸し出せないその母性に無性に甘えたくなって、俺は我慢するのを止めた。
「んんっ!!」
一之宮の頭を掴んで奥へと押し付けて快楽そのままに果てた。
あまりの快楽に一瞬全身の力が抜けてしまい意識が遠のきそうになった。
射精し終えてもまだ余韻が全身に駆け巡ったままだったが、一之宮がパタパタと腰を軽く叩いて慌てて掴んでいた一之宮の頭を離した。
「けほっ……けほっ…………ごっくん」
目じりに涙を溜めながらも唇に手を当てて一之宮は飲み込んだ。
受け止めるとは言ったが飲むとは思ってなくて動揺した。
「はぁ……はぁ……。山田さんも、結構強引なところも、あるんですね」
「ご、ごめん。つい……」
「いえその、べつに……嫌じゃなかったですし。むしろ少し嬉しかった、です」
一之宮は自分のお腹に手を当ててそんな事を言う。
その感情はよくわからなくて困惑したが、一之宮が受け入れてくれたのだとそこだけは感覚的にわかった。
「……まだ、元気ですね」
ちらちらと俺のを見ながら、一之宮は欲しがるようにそう言った。
「続き……部屋に戻ってから、しましょ?」
どこかあどけなさを残す表情とは裏腹に更なる魅惑的な誘惑をしてくる一之宮。
もはや溶けきった理性にそれを抗う術はなかった。
お互いに体を拭いて部屋に戻るとなぜかさっきは無かった避妊具が置いてありパニックになったが、どうしようもないほど完璧なお膳立てに甘えて俺は一之宮と何度も肌を重ねた。
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