第1話 初めての理解者

電車に乗ってから目的地まではあまり時間がかからなかった。

ついた駅には名前がなく、スマホで調べてみてもこの場所はなにもなかった。

とても不思議に思ったが、電脳世界をつくり全国のゲーマーたちを集めるぐらいのことをする連中だ。できなくはないだろうと納得した。


地下鉄だったので地上に上がるとそこには........


何と表現するのが正しいのだろう?


サイバーパンクのような世界観でとても現代と同じ時間軸にいるとは思えない。

まるで未来にタイムスリップしたかのような景色が広がっている。


とても見慣れない景色に感激しているとスマホに通知が来た。

それはこの電脳世界のSNSのようなものでこれを使って情報を集めろという事だろう。

SNSのアカウントを作ると、この世界の運営からのDMがきた。


「ようこそ電脳世界へ。この世界での居住区ですがこちらで勝手に決めさせてもらいました☆ この世界には一軒家が少なくほとんどがマンションのような作りになっています。 一軒家などは都心部にしかなくこの世界でのランクを上げることで住むことが可能になります。」


なるほど、これから宿を探そうと思ったがもうすでに決まっているなら探す手間が省けた。

そして肝心の場所は都心部の南にある街「ライゼン」らしい。

その町のマンションの一室に住むことができるというわけだが部屋がどうなっているかとても気になる。早速ライゼンの街にいってみることにした。


バスに乗って都心部から大体40分ぐらいかかった。

さっきまでいた都心部とは全然違う景色が広がっていた。

作りは昔の日本の建築にとても似ている。

ゲームなどの日本の和風建築が好きな私にはとてもうれしいことだ。

「ここが私の部屋か........」

中は普通のマンションと何ら変わらない造りだった。

さすがに中は洋室だったかと少し落ち込んだが改めてみるととても広い。

一人で住むには十分すぎるぐらいに。

とりあえず荷物をおいて初日なので観光元い情報収集をしよう。

私はSNSアプリを使ってこの町の地図を出した。

「ここからだと商店街が近そうだなー。」


商店街に行こうと外に出ようとすると玄関のチャイムが鳴った。

「ごめんくださーい!お隣に住んでるものですけど良かったら一緒に出掛けませんか~?」

女性の声がした。

この世界で何をするのが正しいかをわかっていないのでちょうどよかった。

現実では友達がいないのでこれをきっかけに隣人とも仲を深めていきたいとおもった。

「はい! 分かりました!」

そう言って玄関を開けるとそこには....

小さい少女がいた。

私もそんなに身長が高いわけではないが少女は140cm前後に見える。


「はじめましてお隣さん!私の名前はユノです!よろしくです!」

とても元気な挨拶だ。

「私は伊緒です!よろしくね、ユノちゃん!!」

私も元気に返した。第一印象大事!

「商店街にちょうど行こうと思ってたからよかった。一人で行くのちょっと怖かったんだよね。」

私はつい本音が漏れてしまった。

するとユノが

「私は一昨日この街に来たので任せてください!」

と言ってくれた。可愛すぎる。


こんな子も私と同じぐらいゲームが好きなのかと世界の広さを改めて実感した。

商店街に行く道中ユノと少し会話した。

14歳らしく、学校が嫌すぎてきたらしい。

深く聞いたらユノを傷つけそうなのでやめよう。


「伊緒さんはどんなゲームをやってたんですか?」

なんて答えようかと迷ったが、ゲーム好きなら相手も同じゲームをやっているかもしれない。

「FPSゲームは大体やっててあとはMMOとかめっちゃ好き。」

他にもやっているゲームはあったがこの二つはありえない時間をつぎ込んでいる。

「そうなんですね~。私もMMO大好きですよ!ニューファンタジアっていうMMOではトッププレイヤーだったので!」


ん?トッププレイヤー?私の中で少し引っかかった。

私はニューファンタジアのトッププレイヤーを知っているからだ。     PK(player kill)ができるゲームだったので同じダンジョンで会ったときに争いになることが多くそのたびによく殺されていた。

そいつの名前がyunononという可愛らしいな名前だった。やってることは怖いが。


「もしかしてyunonon?」

私が問いかけると彼女は驚いた顔で

「私のこと知ってるんですか?伊緒さんどんな名前でやってたんですが??」

と聞かれた。

「i067って名前でやってたよ。結構な時間やってた。」

私がそう答えると彼女は急にゲラゲラと笑い始めた。





















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電脳世界の異端児たち alin @alinfaker

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