この国の全ての民には、懸賞金がかかっていたらどうする?

この国の全ての民には、懸賞金がかかっている。

例え弱くても何もしてなくても、

殺人国家とはよくいったものだ。

懐からカードを取り出し、懸賞金の数字に目を細める。

"1億5千万"

「まだ納得いかねえな」

そう呟いてカードをしまい、夜景に溢れるこの町を見下ろした。

毎日毎日殺し合って可哀想。大半は殺したくてこの国に来るのに

イカレタ奴戦闘狂から生まれてきた子共が可哀想だなって思うよ。

此処で生まれたが最後、お金はつくし、金に飢えた奴から殺される可能性がある。

まっ可哀想だと思うだけで、動き助けはしないけど。

俺には関係無いし。

「あー今日も世界は赤いなー、夜なのになー」

ふっとワラってこの30階相当マンションから静かに落ちた。


感じる風、徐々にスピードも上がってくる。

これでぶつかれば

「ひとたまりも無いだろうな。ははっ」

乾いた笑いは、何処にも行かない。

地面がもう少しで見えてきた時、通行人が上に気づき上を向く。

そして、鎌を構えた俺を見て、

青ざめるその姿が好きだ、自分の結末も察して何も出来ない、雑魚が。

俺は他人が嫌いで、死ねばいいのにって、数え切れないほど思ってた。こんなゴミ箱みたいな世界が

とても嫌いだ。

ざわめく、一般人気取りの人間目を逸らした罪人が。

ああ、そう逃げるな、国民なら戦って俺の懸賞金を得てみればいいのに。

あっそうか、弱くて出来やしないか。

ははっ!怖いか?怖いだろうな?俺は1億いってるもんなぁ・・・・。

"戦わなければ死ぬそれがこの国のルール"

死ぬ運命の彼女が逃げる前に・・・・・。




地面に降りれば確信する。俺が生きている事、

死に勝った事。そして最後に、通行人からこと。


それだけ。


視線を前に、走り抜け、沢山の人から奪った結果。


俺は現在2億の男となる。



減っても増えるは世の不思議。


強敵を超えて最後に辿り着くのは


一致団結からの裏切り。


人はゴミのくせに束になると強くなる。


雑魚は捨て駒、強敵でトドメを奪ってリーダー気取り。


最後にワラって

笑って

嗤って


ゴミだと見下していた奴らに


殺された。


死んだら死んだで何も無い。

俺は悪い事してたのか?

ただルールにそってやってただけで。

それが罪か?皆やってた事なのに。


俺には分からない、ただ分かる事が一つ、それは

何も感じない事と虚無が、一番人間として終わってるんだろうな。疲れも楽しみも、

今では無い。生きてる時は、タノシカッタ。って思えてた筈なのにな。



もういい寝よう、何も無いこの世界で

永眠を。


俺の求める理想は何処へ行った?

いつしか見えなくなっていた。


欲望に飲まれて気がつけば見失ってたのかな?

周りには誰もいなかった。

殺されたとき、隠された気持ちを感じる事が出来たんだ。


"やっとか"って



つまらない事だな・・・・・初めから生きる事が嫌だったんだって。

いつの間にか、この世に愛想を尽かしてたんだなって。

ああ・・・だんだん眠くなってきた。

何も無い世界から貴方へ・・・・・

おやすみとだけ送ろうか。




"彼が死んだ世界はさぞ、アカルイ世界になったでしょう。

人は協力出来る生き物だった事が彼の死で証明された。

そこから導き出される答えは、手を汚さすに殺す方法があること。

言うならいじめの原理を利用し肯定化する。実現するには、"権力者"がキーとなる。

チラッと、政府が掲げる旗を見て思考を巡らせる。

ボロボロのノートに書かれた、絵日記には辛い記憶が沢山だ。

普通に殺してもいいですが、たまには気分を変えて、綺麗だと思える芸術的な殺し方をしてみたいじゃないですか"


私の手元にあるのは、3万と書かれた己の懸賞金を見て笑みを零す。

びゅーと突然風に吹かれ、手元の懸賞金額の紙は、空を舞い

隠れていた桁が露わになり、3億という本当の数字が、現われた。



この国の全ての民には、懸賞金がかかっていたらどうする?

END

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