第8話 ネタ切れ
初めての実践から2週間が経ち、今日も今日とて配信活動を行っていた。
だが……
「ネタ切れだ……」
ココ最近は2、3日に1本動画を上げていたのだが、遂にネタの在庫がなくなってしまった。
この2週間の登録者の伸びは過去最低であった。
何とかしないと……一発屋になっちまう……!
「よし。ここで投入しよう」
俺はある考えを実現させるべく、ある人の所へと向かった。そのある人とは……
「私たちが……動画に?」
「あぁ。ティレイとアイルに協力して欲しいんだ」
「なんですかそれ! 楽しそうですね!」
そう。これは俺が取っておいた秘密兵器だ。可愛いメイド2人。ここで投入だ。
そして、ただただ動画に出すだけじゃもったいない。俺は今までの動画内で可愛いメイドが2人いることをちょくちょく出していた。
顔も声もまだ出ていないのに2人にファンが着いているぐらいだ。
「でも、普通に出演してもらうんじゃない」
「ほう……」
「題して……仮面の中身みたいならチャンネル登録をしろ! だ!」
そう。俺の狙いはこれだ。
まず、2人には顔は出さず、声だけの出演をしてもらう。俺の用意した仮面をつけてもらってな。
その状態で数本動画を出し、頃合いを見て投票だ。
なんの投票かと言うと、どっちのメイドが先に顔を見たいですか? と言ったものだ。
情報は声と身体だけ、そこまで大きく差が開くことは無いだろう。
そしてその投票をチャンネル登録orSNSのフォローか高評価するかと言う、いわゆるテンプレだ。
欲を言えばチャンネル登録が好ましいが、高評価もかなり、手に入る経験値に重要な事を最近気が付いた。
そして既にチャンネル登録してしまっている人でも参加できるようにSNSも候補対象だ。
まぁ、こう見てしまえばチャンネル登録orSNSのフォローの方が有利な気もするが、俺にとってもそれはそれで得だから考えることをやめた。
こうして、俺の作戦を2人に伝えた。
「なるほど……私たちにそこまでする価値があるかって話ですが……」
「大丈夫だ! 俺が保証する」
2人はもちろん、文句のつけどころのない容姿を持ち合わせている。
それに加えて、キャラもしっかり立っている。
「えっと……じゃあ私はとりあえず動画に出ればいいってことですよね!!」
「簡単に言ってしまえばそうだな。明日、仕事は全部休みだ。協力お願いしてもいいか?」
「「はい!」」
そうして、俺の作戦が開始したのであった。
──────
「今回は……待ちに待ったメイドさんの登場です!」
俺は手招きをし、2人を画角の中に収める。
「自己紹介お願いします!」
「えっと……ティレイって言います」
「アイルでーす!!」
少し緊張した様子のティレイに比べ、アイルは伸び伸び自己紹介をした。
いいぞ、役者として完璧だ。
「皆さん……今思ったでしょ? 顔出さないのかよ! って」
俺は両サイドにいる2人の頭を撫でながら、また話し出す。
「まだ顔は早いかな? あと2週間!」
ここで2週間と具体的な時間を言うことによって、視聴者は「じゃあ、2週間待とうかな」という気持ちになる。
そこで動画を見てもらわなくても大丈夫だ。必ず戻ってくる。それを待つんだ。
こうして、初めの自己紹介動画の撮影を終えた。
初めはあまり2人に話させない。
次回予告をし、彼女らの出演を告知する。
よし、完璧だ。俺の考えが上手く行けば……また伸びるぞ!
「こんなんで……大丈夫でしたか?」
「あぁ。大丈夫だ。ティレイもアイルもありがとうな」
「次の撮影はいつですかーー!!!」
「明日の夕飯の後とかはどうだ?」
こうしてとメイド2人のデビチューブ活動が始まった。
──────
翌日、俺は動画をアップロードした。
再生回数は普段よりも倍のスピードで伸びた。
コメント数も普段よりも格段に増加し、話題を産んだ。
ー待ってました!!
ー早く顔みたい!!
ーアイルちゃん、推します。
ーティレイ推しの人✋
こんな感じで予想通りのコメント欄が完成した。
よし……いいぞ。計画通りだ。
そして、夕飯を食べ、動画撮影を開始した。
今回の動画はSNSで募集した2人への質問だ。
「質問! 魔王のどこが好きですか?」
「えっと……いつも私たちのことを機にかけてくれて、最近は色んなことを頑張っているところも。あと……頭撫でてくれるところです……かね……」
「私は全部!!」
だんだんと2人の性格が
このようにして、俺は2週間、彼女らと動画を作り、アップロードした。
2人のファンはたくさん付き、大きな話題を呼んだ。
チャンネル登録者も既に1万人程増加した。
そして、今日。ついに投票動画を投稿する。
SNSにも同時に投稿だ。
準備は万端。しっかりメイド2人の可愛さを視聴者にアピールできた。ハードルもアゲアゲだ。
でも、それを超えるほどの美貌を2人は持っている。
よし……投稿するぞ……!
久しぶりに1人で撮影した動画は少し寂しかったが、そんなことはどうでもいい。
いつも以上に本気で編集し、動画を作った。
コメント欄を見る感じ、少しだが、アイルファンの方が多い気がした。
だから、チャンネル登録者orSNSのフォロー側をアイルにし、高評価をティレイにした。
ここで少し作戦を変え、過去の2週間の動画の高評価数に変更した。
これならもう一度動画を見てくれる可能性も増えるし、高評価もそれなりに増える。
元からあった高評価数も相まっていい勝負になるのでないか。かなり見ものである。
「よろしくお願いしまぁぁぁぁぁあす!!」
俺はアップロードボタンを押した。
底辺配信者の俺はRPGの最弱魔王に転生してしまった…… @hashi__yuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。底辺配信者の俺はRPGの最弱魔王に転生してしまった……の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます