第4話 最悪な日
俺は高校2年生の
「好きです。付き合ってください!!」
「私も好きでした。よろしくお願いします」
俺は初告白にして初彼女をゲットした。その彼女の名前は
そこから、距離は縮まり、体育祭効果もあって見事ゴールインしたのだ。
始まりは完全に一目惚れだった。初めて彼女と話した時、俺は完全にハートを射抜かれた。
付き合ってから1ヶ月程ですぐに夏休みが来た。色んなところに行った。遊園地も水族館も海も色んなところにデートしに行った。
約1ヶ月半。俺は、いや。俺たちは幸せだった。手も繋いだし、夜の公園でハグもした。付き合って2ヶ月。初めてのキスも経験した。
そして、夏休みも終わり、9月。次のイベントがある月だ。
そう。文化祭だ。それぞれのクラスが1つずつ色々な出し物をする。うちのクラスはお化け屋敷をやった。
同じ時間のシフトに入り、暗闇の中でイチャイチャなんて事もしたりしなかったり。
そんな文化祭。2日間あるうちの1日目が終わった。時間というものは過ぎるのがものすごく早かった。
そして、1日目の帰り道。俺は未来と帰っていた。
「ねぇ……勇気?」
「どうした? 未来」
「明日クラスで打ち上げあるじゃん?」
「あー、そうだったな。まだ行く場所も決めてないってヤバいけどね」
「本当にそうだよね。……それでさ? 明日から明後日にかけて私の家誰も居ないんだよね」
「あ、あぁ。それがどうした?」
「打ち上げの後……家泊まる?」
俺は少し迷ったが、返事はOKを出した。
俺は意外と奥手だ。周りの友達のカップルなんて猿のようにヤっては別れを繰り返している。1ヶ月でヤるなんて当たり前。隣のクラスのやつの噂では、付き合った日にヤった猛者もいるらしい。
でも俺は違った。本気で彼女のことを大切にしたかったし、していた。初めは顔から入ったかもしれない。でも、今は違う。顔も中身も全部好きで大切なんだ。
……でも、今回は相手から誘ってくれたし……俺もちょっと興味あるし……いいよね……?
こうして、文化祭2日目を迎え、無事終了した。
「明日は授業は無いが、片付けがある。あんまりうるさくは言わないが……この後ハメは外すなよ。原則、打ち上げは禁止だからな」
「はーい!」
担任はいい人だ。俺もこんな人になろう。なんちゃって。
この時の俺の夢は教師だった。勉強もしていた。良い大学に入って、教員免許を取って、教師になる。それが夢だった。
でも、あの最悪の日をきっかけに、何もかもやる気を失った。
結局、クラスでの打ち上げの会場は結局持ち込みOKのカラオケになった。
3時間ほど歌い、ピザを食べ、解散という流れになった。
「じゃあ……行こっか」
「うん……」
かなり緊張していた。朝、彼女の家に着替え諸々を置いてもらいに行ったが、かなりの豪邸だった。
こんなところの娘なんて思ったら……親御さんに合わせる顔がねぇ……
「さぁ、入って入って」
「お邪魔します……」
彼女は階段をかけ登り、部屋へと入っていった。
一旦、着替えを済ませ、リビングでくつろぎながらテレビを見た。
そして、夜の11時頃。2人ともお風呂を済ませ、彼女の部屋にいた。
実は俺はもう準備万端であった。何がってちゃんと家の近くの薬局でスーパーガードを買っているのだ。
大丈夫。そういう雰囲気にならなければ出さなければいい話だからな……ってあ。
「あ、勇気……これなに?」
「え、あ、ちょ、あ、え、えっと……」
「なーんちゃって!」
俺のバックを漁っていた美来は、ベッドに座っている俺を押し倒した。
「私は……いいよ?」
「俺……も」
そう言って彼女と俺は口付けを交わした。ノールックで明かりを暗くし、初めてのアレは始まった。
服を脱がせ、初めての裸をこの目で見る。胸の下辺りにほくろがある。これって俺しか知らないよ……な? 特別感っていいな。
「
「
「何その反応……早く……入れて?」
普段、好きなんて言わない彼女のその発言に驚いたのも束の間。初めての行為は終了した。
俺の初めては彼女で良かったと思った。そして、彼女も初めてだと思っていた。そう。思っていただけだった。
──────
昨夜はぐっすり眠れ、未来の家から学校へと向かった。途中までは手を繋ぎ、学校が近くなったら離す。可愛いカップルだ。
そして事件は起きた。
それは、文化祭の片付けの途中。
「おい……勇気……ちょっと来い……」
小さな声で友達に呼ばれた俺は「なんだよ」と言いながらそいつの元へと向かった。
「おい。これ見ろよ。なんか流れてきたけど……お前の彼女に声似てねぇか?」
俺に友達が送ってきた動画。階段の踊り場で見せられたのは、見たことの無いハメ撮りであった。
「おいおい。学校でこんなん見せんなよ。声似てるけど顔見えねぇじゃん。昨日のおかず見せんのは下校中にしろよ……って、あ」
1度目を逸らした画面にまた目を向けたその時、見覚えのある物があった。
「胸の下に……ほく……ろ?」
俺の脳内は目まぐるしく回った。そして、走り出した。無我夢中に走り出した。
教室へと向かい、彼女を見つけた。彼女の腕を掴み、また走り出す。
今度は反対側の階段の踊り場へと向かった。
「はぁ……はぁ……」
「ど、どうしたの? 勇気」
俺は何も考えずにここまで来てしまった。多分、俺にあの動画を見せる勇気は無い。
でも、でも。あれが俺には
「聞きたいことがあってさ……」
「う、うん」
「未来の初めては……だれ?」
「え、あ、は、初めて?」
彼女は言葉を詰まらせた。
信じたくなかった。嫌だった。彼女が俺の元からいなくなるのが。
でも、それ以上に嫌だったのは……
「これ……! 知ってるかな……?」
俺は思い切ってさっきの動画を見せた。沈黙する彼女。そして、彼女が口にした言葉は。
「……ごめん」
「……え? ごめん?」
訳が分からなかった。謝って済むものなのか? 俺が間違っているのか?
分からない分からない分からない。
「で、でも! 勇気のことも好きだし……あ!」
その時全てを悟った。この時の感情はただの怒りしか無かった。
何に対して向けていいか分からないこの怒り。
パチンっ!!!
俺は反射的に彼女をビンタしてしまった。
そして、その時、周りには野次馬がいたのに気が付かなかった。
本当に最悪な日であった。
ビンタは学校中に広まり、俺は不登校になり、自主退学をし、通信制の高校に編入した。
高校卒業後も大学には行かず、週に2回ほどのバイトしかしなかった。
夢も諦め、人生に絶望し、生きるのが嫌だった。
嫌だ。辛い辛い辛い。もう死にたい。でも、死ぬのは怖い。嫌だ嫌だ嫌だ。俺はこれから……どうすれば……
「はっ!!」
夢……か。てか……なんの夢見てたっけ。
ジャックは目を覚まし、動画撮影を開始した。
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