第3話初デート

 誕生パーティーを終え数日後、姫乃侯爵令嬢が城の後宮にやって来た。

 後宮の奥には入れない為、朱雀は姫乃嬢と城下町に出ることにした。

 城の中でも良かったが手のひらを解した貴族達がヘコヘコしてくる為候補から外した。


「楽しみですね朱雀様」

 姫乃は城下街を歩いたことが無いと楽しみにしている。

 馬車で揺られ城下街に到着する。


「足元にお気をつけください」

 朱雀は馬車を降りる時に姫乃の手を取りエスコートする?


「あありがとうございます」

 姫乃が少し照れ朱雀の手を取る。

 二人の格好は貴族がお忍びで来ましたという格好だっだ。


「朱雀様こちらを」

 と執事のセバスチャンがお金をくれる。

 日本語なのになぜセバスチャン?なのかは突っ込まないでいる。


「ありがとう」

 朱雀はお金を受け取り腰にぶら下げる。

 この世界は小銅貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨と上がっていく。銅貨が百円程で一つ上がる事にゼロが一つ増える感じみたいだ。滅多に金貨は使わない百万円だからだ。


「行こうか」

 と朱雀は姫乃の手を引き歩いて行く。


「す、はい」

 姫乃は驚くが笑顔で返事をし着いて行く。


「いらっしゃい」「いらっしゃい、見てって」

 などと城下街は活気に満ちていた。

 貴族街、商店街、平民街、工場街と大きく分けられていた。朱雀達は商店街に来ていた。


「美味しそうな匂いがしますね」

 朱雀は肉が焼けたいい匂いを話す。


「そうですね。朱雀様は来られたことがあるのですか?」

 と姫乃が聞いてくる。


「昔ね!」

 朱雀は昔商店街で食べ歩きしたなーと思い出す。


「昔?」

 姫乃は疑問に思い聞く。


「む昔来たってお父様が言ってました」

 朱雀は慌てて国王が言っていたと誤魔化す。


「そうなんですね。国王様もデートされてたのですね」

 と姫乃が笑顔で笑う。


「そうだね」

 朱雀は危なかったと肩を落とすのだった。


「おじさん二本ください」

 と朱雀がいい匂いをした串肉のお店に声をかける。


「はいリャッシャイ。二本ね銅貨二枚ね」

 と店員のおじさんが言う。


 朱雀はセバスチャンから貰ったお金の巾着を開け中から小銅貨、銅貨、大銅貨を出す。

「銅貨だからこれだな」

 と朱雀は銅貨の真ん中のサイズを二枚店員のおじさんに渡す。


「当たりだ。ホイ二本」

 と店員のおじさんが笑顔で二本の串肉をくれる。


「ありがとう」

 朱雀と姫乃が受け取りお礼を言う。


「えーっと」

 朱雀はどこで食べようかと周りを見る。


「あちらがよろしいかと」

 とセバスチャンがすかさず空いている長椅子を指し示す。


「ありがとう」

 とセバスチャンお礼を言い

「姫乃嬢あちらで食べましょう」

 と朱雀が長椅子を指を指す。


「はいわかりました」

 と姫乃も笑顔で答え二人は長椅子に座る。


「あっあのナイフとフォークとかは……」

 姫乃はどうやって食べるのか聞いてくる。


「こうやって食べるんですよ」

 朱雀は串肉を被りついた。


「えっ」

 姫乃は朱雀が串肉を被りついてびっくりする。貴族としてはしない行為だったからだ。


「あー城下街では普通みたいですよ」

 と朱雀がしまったと言う顔で答える。朱雀は前世の記憶で慣れていたことを思い出した。


「そうなんですね!朱雀様物知りですで凄いです!」

 姫乃が朱雀を褒め笑顔で答える。

 恐る恐る串肉を被りつくと、

「お美味しいです」

 姫乃が笑顔で感想を言う。


「ああの朱雀様、丁寧な言葉じゃなくて普通に話してください」

 と姫乃が朱雀に砕けて話して欲しいと言う。

 姫乃は朱雀が言葉を選んで話しているのに気づき、少し他人行儀なのにムッと思ってしまった。


「そうだね、婚約者なら素で話さないとね」

 朱雀はニコッと答え普通に話す。朱雀もぎこちなく話しているのを実感していた。


「姫乃嬢も普通に話して」

 朱雀は姫乃もと言う。


「姫乃と呼んで下さい。呼んでね」

 と姫乃は呼び捨てで呼んでと言い直した。


「ひ姫乃」

 朱雀は少し照れ姫乃を呼ぶのだっだ。


 商店街の屋台などで食べ喰い?座り喰いをした朱雀と姫乃は、その後洋服店にやって来た。


「いらっしゃいませ……ようこそお越しくださいました」

 朱雀達はがやって来たのは商店街でも貴族達が来店する衣類店だっだ。店員は少し黙り、緊張した声で来店の挨拶を言う。どうやら店員は朱雀達の正体に気付いたみたいだ。


「す朱雀は、どう言った服好きですか?」

 姫乃は朱雀の好みの服をモジモジと聞く。


「僕は動きやすい服が好きだね」

 と朱雀は姫乃の意図を汲めず、自分の好む服を言うのだった。


「ムー」

 姫乃は頬を膨らませ小さく不満を漏らしてしまう。


「朱雀様、姫乃様が着られる服の事を言っておられるかと」

 セバスチャンが朱雀にそっと助言する。


「あっ、うーんとね、これなんか似合うと思うな」

 朱雀は理解して姫乃の髪、服を見て薄水色の布を手に取る。

「可愛い系の服が良いと思うな」

 朱雀の好きな服装を伝える。


「可愛い系ですとこちらからこちらまでがおすすめです」

 すかさず店長が見本の服を並べ始める。

 店員から店長に入店して直ぐ変わったのだった。


「これ可愛いですね」

 朱雀はフリフリの可愛い服を指を指した。


「可愛いです」

 姫乃も可愛いと笑顔でいい賛成する。


「お嬢様サイズお願いしてもいいですか?」

 店長が姫乃のサイズを測って服を作ると言う。


「はい。す朱雀、行って来ますね!」

 姫乃は照れて言い隣の部屋に向かった。


「ふー」

 朱雀は姫乃が隣の部屋に入って行くのを確認して、一息ついた。


「朱雀様お値段が……」

 とセバスチャンが値段を確認して教えてくれる。

 大銅貨二枚だった。二十万円とびっくりするのだっだ。


「プレゼントの包装もお願いしといて」

 朱雀はセバスチャンに大銅貨二枚を渡し、セバスチャンが会計をする。

 朱雀の今日のお小遣い内ではあったが、お小遣い多すぎでは?心の中で思うのだった。


「お待たせしました」

 姫乃がサイズを測り終え帰ってきた。


「大丈夫だよ」

 朱雀は全然と笑顔で答えるのだった。


「あのーす朱雀ってこういうの慣れてます?」

 と朱雀にジトーっと見るのだった。


「さー次行こうか」

 朱雀は姫乃の手を引っ張り洋服店を後にした。


「す朱雀様」

 姫乃は朱雀が手を引っ張ってくれて慌て様付けで呼び止める。


「様は無しだよ」

 と朱雀はニコッと笑い歩きを止める。


「申し訳ありません」

 姫乃が謝る。


「ムー」

 朱雀は姫乃が丁寧に謝ったのにも不満を抱き頬を膨らます。心の中で子供っぽいなと思うのだった。

 体が勝手に感情を露わにしているのを感じた。心の中では冷静でも体が付いてきていないのに気づく。


 その後アクセサリー店や雑貨店を見て周り初デートは終わったのだった。

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