第12話

 ふらふらと町と巡回したが、誰もいざこざに発展していなかった。


 つまらないな。


 これだと、警邏のし甲斐がない。なにより、組織同士の反目が埋まらない。

 警邏は、状況に応じて迅速かつ厳格な処分が必須。その点で言えば、この町の警邏は血の味を知らなすぎる。何人か殺して初めて一人前だというのに。


「とはいえ、か」


 平和な町ではある。誰も殺さなくても、警邏自体は成立していた。それは、あくまで内側の話で。外側の脅威に対しては無力。


「まぁ、いいか」


 何かがこの町に来て、殺し合いになっても。必要なら中央から増援が来るだろうし。来なければ自分が対処するだけ。

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