第6話

「さみしい笑いかただな」


 隣の女に、指摘される。


「ええ、まぁ」


 このゲームで負ければ、さすがにこの笑いも出る。


「何かあったのか。このゲームで」


「ええ、まぁ」


 こんなところで話すことでもない。


「店長」


 店長らしき人間が、何かにさわっている。

 店内の電気が落ちた。対戦射撃ゲームだけが、唯一、煌々と光っている。


「これなら話せるだろ」


「修学旅行ですか?」


 こちらの秘書が、店長に何か言いに行こうとしている。


「いいですよ。このままで」


 秘書。何か言いたげだったが、雰囲気を察してゲームセンターを出ていった。店長もいつの間にかいない。


 暗い店内。

 ふたりきり。

 ゲームの灯りのみ。


「この町について、どう思ってる?」


「いい町だと思いますよ。人も優しいし」


「じゃあ、わたしたちのことは?」


「少なくとも町の警邏に携わる人間は、あまり好ましく思ってないでしょうね」


 対立の構造。


「そりゃあ、そうだろうな。わたしたちもお前ら警邏のやつらは好きじゃない」


「ええ」


「だからといって、対立するほどのことか?」


 まぁ、そうだよな。この女にとっては、無駄な対立に見えるのだろう。


「意味のない対立が、いちばん深刻なんですよ」


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