第5話

 化け物みてぇな、強さだった。

 この町で一番強いのは、わたし。そう思ってきたし、実際そうだった。顔出ししてないけど。金髪は目立つから。


 そのわたしをして、五分五分。いや。経験か何か、場数の差みたいなもので、わずかに相手のほうが上。


 負けた。


「おい。強いな。もう一回だ」


 思わず再戦。

 次も、やはり負けた。


「アドバイス、要りますか?」


「もう一回やって負けてからだ」


 人生で初めてこんなに負けているけど、いやな感じはしない。指導戦の様相を呈している。


 そして、負けた。


「アドバイスです」


 紙ぺら、1枚。

 メモ書きのような感じで、数字。角度やズームなどの設定。書かれている通りに、調整した。


 弾が、当たるようになった。


 勝った。


「強いですね。負けたのはひさしぶりだ」


 思わず、隣を見る。

 男。笑っていた。影のある、自嘲的な笑顔だった。

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