幕間1【草薙美羽視点】
PM 0:25 新千歳空港
前日にロンドンから、新千歳空港に到着し近隣のホテルで一泊をする。
昔から時差の変動に弱く、到着早々具合を悪くしたからだ。一睡をしたらかろうじて回復したので、JRで札幌に向かう。
何せ数年ぶりの故郷なので、若干心が踊ってる。それに、私にとっての恩人に会えるのが楽しみである。
JRで一時間程で、札幌駅に着く。到着すると、駅のホームをガラリと変わっていた。
どうやら、新幹線のホームを作るための工事をしているみたいだ。
改札を出て、そのまま地下鉄のホームに向かう。ここからあの人の店までは、結構距離があるのであえて地下鉄に乗った方が、まだ楽である。
最寄りの駅に着き、少し歩くとあの人の事務所の到着した。
「残念ね。キサラギさん、留守みたいだわ」
事務所まで着くと、『close』の看板が見える。どうやら、キサラギさんは今はいないようだ。
ホテルのチェックインまで時間がかなりあるので、どこかで時間を潰すか考えなきゃいけない。
そう考えてると、ドアが開いた。
「あら? 美羽ちゃん、久しぶりだね」
「ラスティアさん。お久しぶりです。キサラギさんは、今留守なんですか?」
「依頼があって、今出ていってるの。それより、お茶にしない? ロンドンから来て疲れてるでしょ?」
ラスティアさんが、出向いてくれた。どうやら、今は1人らしい。
私は、ラスティアさんに言われるがまま、キサラギさんの事務所に入った。
ラスティアさんは紅茶とケーキを用意し、私は荷物を置きソファーに座る。
「ごめんね。用意できたのがこれだけで」
「いえ、構いませんよ。それに、ここは変わりませんね。久々に着いたら、色々と変わっていて驚きましたよ」
「ここ近年、都市再開発が盛んになってるの。来年には諸々オープンするみたい」
ラスティアさんと、何気ない会話をする。気がつけば、結構の時間が経っていたので本題に移る。
「そういえば、キサラギさんはどちらに?」
「学校に方に行ってるわ。何やら、不可解ないじめの調査を依頼されてね」
「いじめ? それって、教員がやることじゃないんですか?」
「それはそうだけど、教員でも手がつけられないんだって。私、姉さんが何かしないか不安で仕方がないの」
キサラギさんは、学校の方に行っているらしい。私たち魔術師に関係がないものを引き受けるのが、なんともあの人らしく感じる。まぁ、激情すると手に負えないのが難癖なんだが。
「聞いてる話だと、そのいじめをしてるグループが魔術を使ってるんじゃないかって疑いがあるみたい。
それを確かめるために、わざわざ出向いてる感じ」
ラスティアさんの言葉に、ある疑念が出てくる。もしかすると、その絡みで私が追ってる魔術師と接触できる可能性があるからだ。
「美羽ちゃんは、どうしてここに?」
「あぁ、えっと。執行者の代わりで来ただけなんです。セシリアさんがアフガンに行ってる以上、その代わりがいないので、リリィに行かされた感じです」
「リリィちゃんらしいね。あ、そろそろ姉さんが帰ってくる時間かも」
「なら、私はもう行きますね。ホテルにチェックインの時間もあるし」
「それなら仕方ないね。それじゃね、美羽ちゃん。また来てね」
ラスティアさんが見送り、私は事務所を去る。
「状況は?」
『やっぱり魔術を使っているねぇ〜。中を入ると、変な感じになるみたい』
『誰かの入れ知恵による物でしょう。それも、我らが追っている人物によるものかと』
『それと、エイル姉様が奴の尻尾を掴んだそうです。すぐに向かわれますか?』
「いや、しばらくは泳がせましょう。スルーズ、ヒルド。あなた達はあの人のバックアップを続けなさい。
それも、気づかれないようにね」
『は〜い。それじゃ、戻るね』
『承知いたしました。では失礼します、お姉様』
そう言って、2人は
かくして、私は今日泊まるホテルへと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます