第24話 回顧録・・・レオンハルト様のお茶会

24 回顧録・・・レオンハルト様のお茶会



お茶会は昼からだと言ったのに、早朝から準備が成されていた。


レイカは先に東側は完璧にして、西側を最後に・・・等と指示を出していた。

侍従長達が、準備を後少しで終えるところまで来ると


「やった。予想道理で良かった。」とレイカ嬢が叫んだ。

「レオンハルト様、早く此処に。」とテーブルに用意していたお茶を入れてくれる。


「レイカ嬢、これは?」とレオンハルトが聞くと


「今から10分程アーネスト様と変わります。西の空に虹が出ていますので2人で御覧下さい。」

と言いアーネストにスイッチした。


ぼんやりと座っているアーネストに、虹が見えている事を伝えると

アーネストが微笑みながら言う。

「綺麗ですね・・・レオンハルト様。」


「2人で虹を見ると、幸せになるらしいよ。」

レオンハルトはアーネストの手を取ってキスを落として言った。




   ***



お茶会が終わり、アーネストを応接室へと招く。今までの説明をする為に。


アーネストをソファに座らせて机の上にノートを積み上げる。


「アーネスト、信じられない様な話だが落ち着いて聞いてくれ。」

そう言ってレオンハルトが語り始めた。


アーネストが襲われた件の、犯人はシャルロット嬢だった事。

目覚めたのはクルミ嬢だった事を・・・


レイカ嬢が説明してくれた、乙女ゲームや異世界の転生者の話しや今までにあったあらゆる事を。


アーネストは小さく息を付いて

「私が時々記憶がない事は、それが関係しているのですか?」


「あぁ、そうだ。」


「私は、レオンハルト様を信じます。」そう言って目を閉じた。





「アーネストと2人で見るようにと言われている。」

レオンハルトは、2人の残していったノートを手に取った。


すると封筒が落ちてきた。



親愛なるレオンハルト様、アーネスト様へ


最後の説明を致します。

私の見たエンディングでは、『西の空に出ている虹を、2人で見つめた。』とありました。

西の空・・・朝虹ではないかと思います。

当日はお天気雨なので、2人が朝虹を見れる様にセッティング致しました。その後は虹の見えないセッティングに変えて。


西の方向へ意識が向かないように、西側をパーティションで視界を遮り

東側のディスプレイを華やかにし目を向け、雨が過ぎると温室でお茶会が再開され

人工的に作ったカモフラージュの虹を皆で見られる様に。


こんな方法を取ったのは、シャルロット様の目を欺くためでもあるのです。

シャルロット様にも、転生者のプレイヤーである味方がいた様に思います。

虹を見せて安心をさせる事で卒業パーティまでは、何も仕掛けて来ないでしょう。


私達の立てた作戦が完璧なものだとは言いません。

ですが最善を尽くしたつもりです。


私達は、これ以上の干渉が出来ません。祈ることしか出来ないのです。

レオンハルト様とアーネスト様の愛を信じております。


卒業パーティは、2人で見守っています。

どうかお幸せに・・・


レイカ・クルミより



「私はあの日、怖くて・・・心の闇から出て行く事が出来ませんでした。心の負担も大きく、きっと精神が保てなかったかも知れません。」


「私は色々な人から、守られていたのですね。」アーネストが静かに涙を落とすと

レオンハルトはアーネストに寄り添い手を握った。



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