第14話 皇太后様主催のガーデンパーティーイベント 2

14 皇太后様主催のガーデンパーティーイベント 2


合い言葉を終えたクルミは、水を得た魚の様に令息達の波をスイスイと泳いでいた。

皇太后様、皇后様へのご挨拶も無事に全員が済ませた様だ。


お互いの交流を深める為に、何人もの人が席を立って色々な人と会話をして回っていた。

そんな中、シャルロットは殆ど自分の席を離れる事は無かったが回りには令息令嬢が取り巻いていた。


相変わらずの人気を誇るシャルロットを横目でみて、クルミは俄然とやる気を出す。


「この黄色いお花、可愛いですね。シャルマン様の髪の色を同じだわ。」

「ヘンリー様、髪の色と同じ青の色のスカーフがお似合いですね。」

「エリオット様、金の刺繍のジャケットが髪の色と合わさって、とても美しいです。」


等々と、クルミは順調に攻略を終えていった。


後は席に戻って対象者の反応を伺う。行うべき行為は完璧に成し遂げた自信がある。

頑張った成果か、シャルマンが近づいて来た。


「アーネスト嬢、ケーキはいかがですか。おとりしましょう。どれが良いですか?」


「では、イチゴのタルトを。」


シャルマンとアーネストの様子を見ていた令息達が、次から次へとアーネストの元にやって来て

あっと言う間に令息達に囲まれた。


「アーネスト嬢、ハーブティーはどうですか。」

エリオットが、アーネストにハーブティーを入れてくれた。


「このピンクの花が、アーネスト様に似合うと思いまして。」

ヘンリーがピンクの花のブーケを差し出してきた。


「ヘンリー様、有り難う御座います。」


その中には、少し時間が空いたベガティもいた。

ベガティも今日はホスト役なのだが

全員の挨拶が終わり、エスコートの役目も一段落ついた様だ。


レオンハルトも同じ様に、時間が少し空いたようだが・・・

シャルロットの取り巻き令嬢に捕まってしまった。アーネストの元へは行けそうにない。

諦めて、シャルロットのお相手をする事にした。


「シャルロット嬢、今日の棒読みの会話は・・・秘密にしておいて下さい。」


「ええ、当然ですわ。あんな面白いものを見せて頂いたのですから。」

シャルロットは悪戯な笑みを浮かべた。

それからは、シャルロット嬢と雑談をしながらクルミ嬢の様子を見ていた。




「アーネスト嬢、ピンクと緑のネックレスがとてもお似合いですよ。ピンクはアーネスト嬢の髪の色ですね。アーネスト嬢の美しさを、一際引き立たせています。」


「ベガティ様、有り難う御座います。」


「私はレオンハルト公爵と同様で今日はホスト役なので、ゆっくりお話ができません。また今度の機会に、ゆっくりとお話をして頂けますか。」


「はい。機会がありましたら、是非。」


ふと気が付いて冷静に分析をして見れば、アーネストの回りには沢山の貴族令息に囲まれていた。

しかし其処には、ダンスをしたモブの子爵令息はいなかった。


気になるシャルロットの方へ目をやると、流石のシャルロット。沢山の令息令嬢に囲まれていた。

アーネストの回りには令息ばかりで、令嬢は1人もいない。

クルミは、しまった!と思った。。モブ令嬢の役割、繋ぎであったり緩衝材であったり利用価値があったのではないか?クルミは攻略対象者への好感度だけを気に取られ過ぎたのかもしれない。

でも瞬時に悟った。クルミの性格上、令嬢達の機嫌を伺って話すなんて出来ないと。



もう1つ気掛かりな事がある。

ベガティ公爵令息のことだ。・・・今日はベガティ公爵令息の事は、対象者から外す予定であった。

レイカとクルミ、綿密に作戦会議を行った結果・・・ベガティ公爵令息の攻略は危険だと判断した。

クルミも対象キャラではないので、諦める決断をしたのだ。

それなのに・・・

公爵令息の方からアーネストの元へ来て髪の色の会話をしてしまった。

これは、どういう事だろう?私が攻略対象者?いいえ違う。乙女ゲームの攻略対象は、男性だけだもの。


これは帰ってレイカに報告をしなくてはならない事柄だ。

明日の作戦会議で、対策を考えよう。



最後に、皇太后様皇后様へ一斉に挨拶をしてから、ガーデンパーティイベントはお開きとなった。



クルミの一抹の不安を残したままで・・・


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