第11話 作戦会議 2
11 作戦会議 2
コンコン、扉をノックする音がする。
勢いよく扉を開くとレオンハルトが苦笑いをしながら立っていた。
クルミは、部屋の中へ通してお茶の準備をした。今日はお菓子付きだ。
準備を終えるとレオンハルトの隣へ座り
「お菓子は私からのサービスですよ。」と言って、アーネストと入れ替わった。
レオンハルトとアーネスト、僅かな2人だけの時間だ。
***
レイカとクルミの作戦会議
「クルミさん何度も言いますが、男性と二人きりになる事は禁止です。死角に入るような事もダメです。クルミさんは乙女ゲームだと思っていても、現実はゲームの世界とは違い紳士ばかりではないのですよ。」
「レイカ・・・分ってるよ~。」
「分ってないから言っているんです。それと、今日の子爵令息への対応も気を付けて下さい。」
「何で~?」
「対象者の好感度を上げるのは結構ですが、子爵令息は対象キャラではないでしょう?あれではボディタッチされかねません。クルミさんは、正攻法で攻略したいのでしょ?乙女ゲームにハニートラップは、御座いませんよ。」
「・・・何でレイカにそれが分るの?」
エキサイティングしていたレイカの声のトーンが少し落ちる。
「クルミさんは現世で痴漢に遭ったこと、見たことは無いのですか?」
「え~、有る訳ないよ~。」ブンブンと手を振って答える。
「私は・・・友達が痴漢されそうになった事があります。・・・寸前で気付いて助ける事が出来ましたが。あの時の男の目の色と、目線が忘れられません。隙あらばと狙われている事を忘れないで下さい。」
「レイカ・・・お母さんより五月蠅い・・・」
「おっ、お母さん??」
「レイカ・・・分ったよ。もう蹴り飛ばされたくないし。」
クルミは反抗期の子供の様な振りをしていたが、本当はレイカを好きになっていたし尊敬もしていた。
現世で知り合いになっていたら、友達にはなれなかっただろう。
自分の回りにいる友達とはタイプが違っているから・・・
頼りになる姉の様な存在、世間知らずな自分に色々な事を教えてくれる。
転生してきたのが、私1人だったら酷い目に遭ったかもしれない。
本心を言えば、レイカには物凄く感謝をしているが照れてしまってこういう態度を取ってしまう。
レイカもクルミと同じ様な事を思っていた。
向こう見ずで、危うい。礼儀もなってない。でも放っておけない、憎めない。
口うるさい自覚はある。レオンハルト様の為、アーネスト様の為、自分の為。
そしてクルミの為に、口うるさく言うのである。
クルミのコミュニケーション力は、自分には無いものだ。ゲーム愛も頼りにしている。
そんなクルミの事を、何時の間にか好きになっていた。
この後は、攻略対象の話合い。クルミの得意分野。誰と会って、話して、対象者との好感の手応を。
先日の新入生歓迎ダンスパーティでは、6人と踊った。今後は、6つのルートに絞られる。
ふとクルミに疑問が戻ってきた。
「ねぇ、レイカ。ベガティ公爵令息って、攻略対象者の中にいた?」
「いいえ、見た事も聞いた事も無いわね。」
「そうだよね~。ベガティ公爵令息を、どう捉えるべきか・・・後、最後に踊った子爵令息は、対象者じゃないから、外しても良いと思うわ。シャルロット側の人だから。」
「じゃあ何で踊ったの?」
「何故かダンスを申し込まれたの。スパイ活動よ。スリルがあるでしょう。」クルミがニヤリと笑う。
「もぅ、危ない事はしないで。断罪のイベントになる危険性もゼロでは無いのよ。アーネスト様が追放刑にでもなってしまったら・・・」
「はいはい。」クルミは面倒臭そうに話を切った。
クルミもアーネストを断罪イベントで追放刑にされるのは、本意では無い。
何より最後の乙女ゲームだ。バッドエンドは敗北を意味する。
ガーデンパーティ・・・
ポイントは髪の色と瞳の色。その人の髪と瞳の色をキーワードに会話が出来ればクリア。
次回のイベントへ向けて、思い出せる限りの情報を話し合い、必ず成功させる。
そして、クルミの夢を叶える。レオンハルト様と、アーネスト様が幸せになる方法。
今私が遣るべき事は、考える事だった。
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