第7話 ダンスパーティーイベント1

7 ダンスパーティ-イベント 1




新入生歓迎ダンスパーティ当日・・・




「クルミさん、レオンハルト様の名を汚すことの無いようにお願いします。」


「レイカは真面目過ぎるのよ。シャルロットを見習いなさいよ。」


「シャルロット様?」


「シャルロットは今日絶対に何か仕掛けてくるわよ。」


「シャルロット様は、立派な淑女です。そんな事・・・」


「レイカ、知らないの?あ~・・・レオンハルト様一択だからか。

シャルロットは、隠れヒロインなのよ。私が攻略し損ねた時には必ずシャルロットが対象者の隣で微笑んでいるわ。何回追放刑になった事か。公式発表はされてないけど、マニアなら知っている事よ。」



それは、レイカの記憶にもあった事だ。シャルロット様に攻略で負けた事がある。

断罪イベントで追放刑になるバッドエンド。


「でも、現実にレオンハルト様とアーネスト様は思い合っていらっしゃるし・・・

ゲームの補正力とか、有るのかしら。」


「それは無い。色々試したから。だからイレギュラーも含め、ガチンコ一回勝負よ。」


「試したって・・・何時の間に」と思いながらも


クルミのゲーム愛は、半端ない。信用出来るだろう。そうなると、こんなに頼もしい人は居ない。

クルミは私達の世界を基準とするならば、非常識な性格ではない。

只、迂闊ではあるが・・・正攻法で対象者を攻略したいのだ。レイカはクルミを信用する事にした。


2人はアーネストの中で話し合っていた。

入場のエスコートとファーストダンスは、レオンハルトと決まっているから

そこはクルミもアーネストに譲った。


入場の時間が近づいて来た。


「クルミさん少しの間、大人しくしていましょう。」

レイカが声を掛けるとクルミは頷いた。


司会進行の係の者が

「レオンハルト・アルベルト公爵、アーネスト・クレルモン伯爵令嬢ご入場。」


レオンハルトがアーネストの手を取り、2人は入場した。

続いてシャルロットが、ベガティ公爵令息と入場をした。シャルロットとの婚約が噂されている人だ。

全ての入場を終えるまで待機をし、全員揃った所でオーケストラが音楽を奏でられ

ファーストダンスが始る。



レオンハルトはアーネストとのダンスの時間を楽しんだ。

最近はクルミ嬢が張り切り過ぎていて、アーネストはかなり早い時間から睡眠をとっていた。

身体は1つしかないのだ。


「アーネスト、ドレスとっても似合っているよ。」


「有り難う御座います。レオンハルト様。」恥ずかしそうにアーネストが俯いた。


「私、ダンスはあまり得意ではないのですけれど・・・」


そこは、クルミ嬢とレイカ嬢が頑張って練習してくれている。2人とも運動神経は良いようで

身体が覚えてくれているのだ。

勉強嫌いなクルミ嬢も、ダンスの練習には励んでいた。この後踊るであろう為にも。


「そんな事ない。とっても上手になったね。」

事情を知っているレオンハルトは少し複雑な表情で言った。


楽しい時間は早く過ぎるもの・・・ファーストダンスはあっと言う間に終わった。

レオンハルトはアーネストの手を取り、テラスに近い席に移動した。


「アーネスト。少し淋しい思いをさせるが、私は挨拶廻りをしてくる。」


「はい。此処で待っております。」


レオンハルトは、アーネストがそこで待つことが無いと知りながら頷いて見せた。

クルミ嬢の張り切る場面であることを、知っているからだ。

心の中で、レイカ嬢・・・頼むぞ。と言いながら背中を向けた。







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