第8話 ダンスパーティーイベント 2

8 ダンスパーティーイベント 2



雑談が続くパーティ会場。


クルミは、少しづつシャルマンに近づいて行った。ダンスに誘われやすい位置へと。

ナイスポジションに着いたところで、タイミング良くダンス曲が流れ出す。


クルミはさり気なくシャルマンの方へ目をやると、

「アーネスト嬢、踊って頂けますか?」とシャルマンから誘われた。


「はい。お願いします。」クルミは恥ずかしそうにして言った。

狙い通りに事が進んでいた。


一方レオンハルト側では・・・


「シャルロット嬢、私と踊って下さいませんか。」と、誰かに声を掛けられている様子だった。


「申し訳ありません。約束がございますので・・・」

目を反らす視線の先にレオンハルトが居た。懇願する様な視線に、レオンハルトは


「失礼、シャルロット嬢お待たせ致しましたか?」と助け船を出す。


「いえ、レオンハルト様。」とシャルロットが言うと、男はそそくさと去って行った。


2曲目のダンス・・・


「レオンハルト様、有り難う御座います。助かりました。」シャルロットが礼を言うと


「シャルロット嬢には、借りが御座いますから。」とレオンハルトが戯けて言った。


「まぁ、借りだなんて」シャルロットも笑みをこぼした。



   ***


クルミは3曲目のダンスをヘンリーと踊ると、少し休憩をするためにレオンハルトに指定された席へと戻って行った。

やった~!作戦通りだ。クルミは達成感に浸っていた。

何もしなくても、アーネストはモテるのだ。基本のスペックが高い。

只それは、シャルロットも同じである。好感度を気にしていない対象者以外のモブ達からも

ダンスの誘いはあるだろう。そんな事は当然クルミも分っているのだ。


この後のダンス・・・誰を選ぶか、選ばないか・・・とクルミが考えていると


司会進行の者が~皇帝陛下、皇后陛下のご入場~と一段と大きな声で言うと

音楽が鳴り出した。


注目の中、威風堂々と歩かれるお二人が会場の数段高い位置に上がり正面を向くと、音楽が中断し

皆が一斉に礼をした。皇帝陛下が少し手を上げると、音楽が再開し皇帝陛下が着席をした。


パーティ会場の誰もが緊張している中、レオンハルトは両陛下の元へ挨拶に向かった。


皇帝陛下はレオンハルトに

「レオンの婚約者を見に来た。」と言って悪戯な笑みを浮かべた。


「私もよ。レオンハルト様。」と皇后様も一緒になって笑っていた。



同じ様に皇帝の元に挨拶に向かった人物がいた。

シャルロットのエスコートをしていた、ベガティ公爵令息だ。

ベガティは皇太后の甥にあたり、皇帝とは母方の従兄弟になる。


レオンハルトが皇帝と雑談をしているのに対し、ベガティは早々に挨拶を済ませていた。


4曲目のダンス曲が流れ出すと、アーネストの元へ貴族令息達が集まりだした。

そんな人達を掻き分けて、ベガティが真っ直ぐに近寄って来た。


「初めまして、アーネスト嬢。踊って下さいますか?」

ベガティが声を掛けてきた。


「ええ。」クルミは思わず返事をしてしまった。


返事をして直ぐに後悔した。貴方は誰ですか?攻略した覚えが無いんですが・・・


ベガティ様の情報が無い・・・対象キャラではないが、モブキャラでもないだろう。

公爵令息であるし、中々の美形だ。レオンハルト様程ではないが・・・


こんな人が何故、対象キャラになっていないのだろう?

クルミはそんな事を考えながら、当たり障りのない態度でダンスをする事にした。






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