第95話 女は怖い、男は容赦無い
「え......? 嘘だよな......?」
『......嘘じゃないもん......』
アイラは半透明の身体から徐々に実体になりハッキリとその姿が見えるようになった。
「いやだって......君がメスだったら━━」
『僕の事をメスって言わないで......!』
「すみません.......いやすみませんじゃねぇ! って事はアレか!? 俺の身体には第7話から90話近くずっとボーイッシュ僕っ子が同居してたのか! 冗談じゃねぇぞ......もっと早く言えよ! 大事な事だろうが! 2回言うぞ! "大事な事"だろうが!」
『仕方ないじゃん! 僕がこうした姿で現れるためには一度死にかける必要があったの......! それに勘違いしてたのはそっちじゃん! だから僕をあんまり責めないでよぉ......!」
「まぁ良い......話を戻そう。その......君が女の子だったら何故俺は今も男のままなんだ......? 君の姿で生まれ変わったら女になる筈だろう?」
『それは......この世界で僕の力を最大限使うには僕と
「なるほど.....わからん。ていうか俺が適当に付けた漢字にそんな意味があったのか......」
「うん......あの時少しだけ精神干渉出来たからせめてもの意味を込めたの......でもそれだけじゃない......」
「それだけじゃない......?」
「僕は......
おち○ちん生えてるニンゲンとなんて話した事ないから......その......とっても恥ずかしくて......』 モジモジ
「っ......! も......モジモジすんな! 第一邪神のくせにカマトトぶってんじゃねぇ! 何がお○んちんだ! 邪神なら邪神らしく
『ま......マラ......//// そ......そんな破廉恥な事僕に言わせないでよ......!』
「うるせぇ! 大家に性別詐称して身体間借りしてた癖に何を偉そうなこ━━」
コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛ッ━━!
俺は異様な殺気を感じ思わず振り返る......するとレイが鬼のような形相でコチラを睨んでいた━━。
「アァァァァイィィィィラァァァァ.......!!!!!!!!!」
『「ひぃ......! ひゃ......ひゃいっ......!」』
「メス豚の方じゃなァァァァイ!! 貴様は黙レッ!!」
『め......メス豚......そんな......僕が......メス豚......』
「男の方のアイラ......! ワタシの方を向ケッ......!」
「は......はいっ! な......何でしょう......!?」
「君はワタシと暮らしながらずぅーーーーっとこの豚を身体の中で飼ってたんだネェ.......!? ワタシとシたあの夜もずっと3Pになってたんダァ......? まとめて殺してあげようカ......?」
「ひぃぃぃ......! し......知らなかったんだよ! 俺だってマジで今知ったんだ! まさかコイツが女なんで思わなかったんだよ! だって"おっぱい"無いし一人称"僕"とか言ってるしさぁ!」
『そんな事ないもん! 戦う時邪魔だから僕はこうして布巻いてるだけだもん......!』
ひらっ......ぶるんっ......♪
「エッ!!」
「デッ......! じゃなかった、お......お前そんなマスクメロン不法所持してたんか! ここは夕張じゃねぇんだよ! 突然脱ぐなんてこれ以上火に油注ぐ気か!? 殺すぞ!」
「女コロス女コロス女コロス女コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス......」
「おおおおちつけレイ......! 俺への説教は諸々を処理してからにしてくれぇ......!」
「チッ......アイツは後で確実にコロス......」
『......僕......邪神なのに......強いのにぃ.......っ......ぅぅっ......ゔわぁぁぁぁん......!』
「......泣いちゃったよ.......。お......お姉さんで良いんだよね? ほら泣かないで......俺のハンカチあげるから......」
『......ゔぅ.......ありがどぉぉ......ごわがっだ......ごわがっだよぉぉぉぉ......』
アイラは俺の胸に縋って涙をボロボロ滝のように流しながらハンカチでその涙を拭いていた━━。
「コイツ......邪神の癖に泣き虫なのネ」
「あ......ああ......そうみたいだな......」
『それから怖くて言えなかったけど......っ......お化けさん......僕が死んだら真央くんも死んじゃうよ.......。僕達はその......とっくに
シャキン.......!
「......コロス」
「おい邪神! テメェ余計なこと言ってんじゃねぇ倫理ゼロなんか! 少しは空気読めや!」
『ご......ごめんなざぁぃ......! お化けざんには
「本っ当に泣き虫ネ......何だか怒りも冷めちゃったワ......」
「さ.......冷めたなら殺されずに済むし良かったよ......とりあえず話を元に戻せるな......」
「待って黒羽くん......!」
ゆーちんの声が俺を呼び止める━━。
そういえば俺が黒羽真央ということをさっき知ったんだよな......。
「ゆーちん。その......悪かったな......今まで正体隠しててさ」
「ううん......その姿がアイラの本当の正体なんだね黒羽くん......?」
「ああ、俺は黒羽真央だ。母さんを殺した奴と俺を虐めてた連中に復讐するため地獄から舞い戻って来た━━」
「それってもしかして......最近立て続けに殺された生徒達は全員黒羽くんが殺してたってこと?」
「......ああ。もっと言うと......君のお母さんが入信してた"ユニハピ"のトップ連中全員を殺したのも、月野社長を陥れようとした海原親子を始末したのも俺だ━━」
「そんな......」
「ドン引きだよな......仲間の正体が昔死んだ男で連続殺人鬼なんてさ.......。でも心配するな......俺はコレが片付いたらもう二度と君の前に現れない......。いや......恐らくここに居る君達は俺のこ━━」
「何勝手なこと言ってんの......?」
「ゆーちん......」
「何でアイラがそんなこと決めるの? 許す許さないは私が決めるから。もし勝手にそんなこと決めて私の前から姿を消すなら絶対に許さない......。それに私は君にずっと会いたかったの━━!」
「......えっ......?」
「やっぱり覚えてないかぁ......。あのね......今の私があるのはキミのおかげなんだよ、それだけは絶対忘れないで......」
「ああ......俺も今の俺が楽しく学校生活送れたのはゆーちんのおかげだよ。なんやかんや色々あったけどこの姿で転校して来た時最初に話してくれたのは君だった、君が居なければもっと退屈な生活を送っていたと思うし出会いも無かったんだ......本当にありがとう」
「ふんっ......当たり前でしょ? なんてたって私は
「ちっ......すーぐ調子に乗るよな全く......」
俺はゆーちんにフッと微笑むと気絶している龍崎へ近づいた━━。
「......ありがとう黒羽くん......ずっと......ずっと大好きだったよ......」
* * *
「さぁ色々喋ってもらうぞ主人公。万季を特殊性癖同人誌のヒロインみたいな精神にしやがって......さっさと起きろ━━」
コ゛フ ッ゛━━!
「んぎゃっ.......! うぉぇぇ......っ! ......私は......」
「おはよう......宿屋でも無いのにグッスリ寝れたようだな。悪いが朝食はテメェが今吐いたスクランブルエッグでいいよな?」
俺は奴が吐いた血と土の混じる吐瀉物を手で掬う。
「まっ.......まって......そんな汚い物......」
「なんだよ主人公遠慮してんのか? 主人公と言えば画面に出てるアイテム食えば大体体力回復するじゃんか。これはお前の
ト゛シ゛ャ゛ァ゛ァ゛ッ━━!
「く゛ぉ ふ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛っ......!」
俺はその汚物を顔面に叩きつけて無理やり口に突っ込ませる。
「少しは回復したか? もしかしたらHPの上限が増えたりしてな」
「うぉぇぇ......くっ......舐めやがってぇ.......私にはまだ奥の手がある......《セイクリッド・スレイブ》!」
奴が呪文を唱えるとラリった万季を閉じ込めている球体からピンク色の光が放たれる━━。
パシャンッ......!
まるで風船が割れるような音と共に万季を閉じ込めていた球体は破裂し、万季はドサリと地面に落とされた。
「ふへへ......♡ まぉ......まぉ......♡」
「君にあの子が攻撃出来るかなぁ......♡ 君にとって彼女は元カノ......本当は今でも大切な人なんでしょ?」
「万季......」
「ちなみにぃ......あの子は今トランス状態だからあの身体で私の力を最大限に使えるのぉ.......♡ いくら君でも攻撃出来ない対象じゃ精々避ける事しか出来ない......♡ あの子を使ってそこに居るモブ女や他の人間を殺して支配してあげるわ......あへへぇっ......♡」
『なんて奴だ......かつての友人を洗脳して戦力にするなんて......!』
「最低な変態女ね......!」
「なんとでも言えばぁ......♡? 私は主人公なのぉ♡ 何をやっても世界がそれを許す......穢らわしい邪神やモブ女が何を言っても意味無いんだぁ......♡」
「アイラの優しさにつけ込むなんて......許せなイ......!」
「匕匕匕......♡ ほらほらどんどん近づいていくよ黒羽真央......♡」
『真央くん......!』
「まぉ......♡ ま━━」
ホ゛コ゛ォ゛ォ゛ォ゛ン......!
『「「え......?」」』
砂煙をあげて万季の体は墓石に思いっきり突っ込み、身体をピクピクさせながら白目を向いて気絶した━━。
「なんだ......奥の手はこれで終わりか?」
「き......君......何やってんの......? その子大事な仲間なんでしょ......? 可愛い可愛い元カノなんでしょ......? それを......」
龍崎は俺の行動の所為なのか完全に呆然としていた━━。
「え? そうだけど何......殴っちゃダメなん?」
「あ......いや......殴らないよ普通は......。大切な人を躊躇一つせず殴り飛ばすなんてニンゲンとしてあり得ない......」
「何言ってんだおめぇ? てぇせつだからこそ時に殴らねぇといけねぇんだ」
「いやいや......その子が万が一死んだらどうするのよ?」
「でぇじょうぶさ、オラの回復魔法でなんとでも治せっから殴り放でぇだ。それに肌が隠れるところ殴ったからしんぺぇ無ぇ、おめぇもサンドバッグにしてやっからよぉ」
「さ......最低な
「は? あんだけの勢いで殴ったから頭のセーブデータも飛んでるだろ......スーパーアイラ人舐めんなよ主人公、もうおふざけはオシマイだ。俺は復讐の対象者も、ソイツに不本意でも味方する人間も俺の邪魔する奴は容赦無く痛めつける......その覚悟で俺は今ここに立ってんだ。これ以上テメェのしょうもないマスターベーションに付き合ってる暇はねーんだよ......!」
「くっ......そんな......」
「さぁて色々聞かせてもらおうか主人公......お前の口が滑りやすいように最後の
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