第79話 目には目を、歯には歯を
6000度近い白い炎を目の前に田所父の顔は隣でグッタリしてる娘以上に顔が赤く爛れ始め、先ほどの流していた血は熱によって固まった。
そして息をするにも熱気で苦しみに悶えながらヒューヒューと音を立てて呼吸をしていた━━。
》火の玉なんてどうやって作ったんだ......?
》人が徐々に火傷していく姿を初めて見たよ
》正に火炙りだな......。
「苦しいか? だがお前が生贄にした被害者は達の苦しさはこんなもんじゃなかったよ。お前らの私利私欲のために被害者は友人や家族、愛する人と二度と会えない存在になったんだ......もっと苦しませないとな」
「ふざけ......わたしにも家族......が......」
「バカだなぁ......人の屍を散々踏み躙ってきた豚にそれを主張する資格は無いんだよ。今の時点でまだ臓器が体にくっついてる事に感謝しなきゃ━━」
「っ......そんな......」
「あっそうだ......アンタって人をモルモットにして改造するのが趣味なんだよね? なら改造される立場になって人生の最期を終えてみようか......《
俺はさっきまで田所父を炙っていた火魔法を止めて田所を改造するための魔法を放つ━━。
「一体何を......うぐっ......がぁ......!」
ミチミチミチッ......!
「お父......さん.......? き......キ゛ャ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛━━!」
》おい......何だこれ......。
》こんなのあり得ないだろ......。
》一体どんなタネを使ったんだよ総理!
「や......や゛め゛て゛く゛れ゛ぇ゛ぇ゛......!」
ブチブチブチッ......! ニョキッ......。
「目には目を歯には歯をってのが私のモットーでね......その様子を見るとその通りになったみたいだ━━」
俺の魔法によって起きた現象.......それは恐ろしいスピードで田所父の全身の皮膚を突き破り顔を覗かせている人間の"智歯"だった━━。
「く゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛.......!」
田所父は皮膚の内側から生える歯が筋肉や神経を圧迫する痛みと皮膚が突き破られる痛みで悲鳴をあげる。
恐らく親知らずが歯茎を突き破って生えてくる痛みとは比べ物にならない程の痛みなのだろう━━。
「ゲホゲホッ.......おぇっ......ウ゛ォ゛ェ゛ェ゛ェ゛ッ......!」
ドボドボドボッ......! カランカランッ.......。
田所父がえずいて口から床に散らばったモノは食道を突き破って抜けた大量の歯と血液だった━━。
「おいおいめっちゃ生えてくるじゃん......あんたカタツムリかよ。その歯を枕元に置いて歯の妖精に硬貨と交換して貰いな、アンタの大好きなお金がたんまり手に入るぜ?」
「お父さん! もうやめて......お願いもうやめてっ!」
「みよ......たの......やめ.......おね......」
「止めませんよ田所真さん。アンタは此処で死ぬ.......娘の目の前で無様且つ不可解な死に方をするんだ。罪を全て暴露したし私もアンタに飽きてきたんでそろそろ殺しますよ」
「お願い......こんな酷い殺し方しないで......っ......」
俺は泣きじゃくる田所飛美に近づいて耳元で囁く━━。
「泣くのはまだ早いよ......君と氷川勇樹はこのカメラが止まった後が本番なんだから━━」
「えっ......」
「ふっ......さてそれではカメラの前の皆さんに極道のトップである権力者がこの私に全く歯が立たないまま死ぬ様をお見せしましょう!」
俺は最早人と呼んで良いのかわからないくらい皮膚がグシャグシャになった田所父に近づく━━。
「なぁ......俺が悪かった......! 頼む殺さないでくれ......こんな苦しい形で死にたくない......! おぇっ......せ......せめて人間の形で......!」
「お前が葬ってきた人間もみんなそう思ってたよ......ではさよならだ会長さん。そう言えば私の本当の正体も知らないまま死んでゆく無様な奴はお前が初めてだな......ダッサ」
「なにっ......!」
「じゃあねバイバーイ」
ミチミチミチッ.......!
「く゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! た゛す゛け゛っ━━!」
ブシャァッ━━!
「お父さあああああああんっ!」
断末魔の悲鳴をあげた田所父は何かが破裂する音ともに磔台から消え、その場に残っていたのは大量の歯と血液だけだった━━。
「ふぅ......これで少しは溜飲が下がったかな━━?」
俺は視聴者に向けてのメッセージのフリをしておっさん刑事に目配せをするとおっさんはゆっくり頷いて田所の残骸を見つめていた━━。
》これマジで総理がやったのかよ......人が跡形もなく散らばって歯だけ残ってるぞ......。
》人間業じゃねぇだろ......この人1人でどっかの軍に対抗できるんじゃね?
》俺今までで一番グロい映像を鮮明な画質で見ちまったわ。俄には信じられない......魔法か何か使ったのか?
「質問が来てますねぇ......コレは科学の力でチョチョイとやりましたよ、なんてったって総理だもん。しかしあれだけ騒がしい人が消えるとまるで歯の抜けたような寂しさですね......お父様を亡くされてどう思いますか田所飛美さん?」
「おとう......さん......うぅっ......アンタは絶対に許さ......ふごっ━━!」
ドゴォッ━━!
「うるせぇよ......おっと失礼。私を許さないからなんだい? 私はね......それ以上に君のことを許せない人間を知っているから君がその台詞を吐くと反吐が出るんだ。次そんな口叩いたら顎を引き裂いて食用コオロギすら食えない身体にするぞ━━」
「っ......うぅっ......ひぐっ......」
「そんなにコオロギ食いたくないのか......私もだよ」
》泣いてる理由ちげーだろw
》ていうか食用コオロギの会社最近倒産してるぞwwww
》女相手に容赦無くぶん殴っていくスタイル
》拳討史・奥歯バラマキ総理
「さぁーてこの後ダミー団体を作って寄付を兼ねたパーティをやる予定があるから残りのゲストも手短に終わらせますよぉっ! 総理お金が好きっ!」
》アー○ャピーナッツが好き! みたいに資金集め堂々と言いやがってぇ......。
》言ってる事とやってる事の落差がイカれてて頭おかしくなる
》残りのゲストって誰だ?
俺はスマホの三脚を動かして今度は氷川親子が見えるようにする。
》なんだ? イケメンとおっさんがなんか青い液体出してるぞ?
》またやべー権力者とその子供か? にしても青いのはなんだ......?
「さてみんな見えるかな? ここで何故かキリストごっこしてるのはなんと警視総監である氷川
ハ゛コ゛ォ゛ォ゛ン゛ッ━━!
「う゛こ゛ぁ゛っ.......!」
俺は氷川ジュンの顔面を磔台が曲がるレベルで殴りつけて文字通り叩き起こした。
》そいつ総監かよっ!
》優しいのレベルがどっかの格闘漫画と一緒やwwww
》優しさってなんでしたっけ......?
》総監の顔面バスケットボールみたいに跳ねてて草
》警視総監にもお構いなしの総理......優勝!
「なん......なにが......」
「おはようございます警視総監! Apple W○tchの睡眠アプリよりこっちの方が目覚めスッキリでしょ?」
「そ......総理......何故......」
「どうもガミちゃんでーっす。実はあの計画がそこでさっき死んだ田所会長の所為でバレちゃって......あのスマホに向かって謝ってたんだよね。なんで貴方もあの1カメに向かって罪を告白してもらっても良いかな?」
》しれっと嘘ついてて草
》自白させたのお前やんけwwww
》イカレ総理wwww
「いやっ......なんのこ━━」
ハ゛コ゛ッ━━!
「うぶぇっ......!」
「早く喋ってよ総監......でないとげんこつハンバーグくれちゃうぞ?」
》もうくれてんだよww
》脳筋かよww
殴ってるお前のせいで喋れないんだがwwww
》ゲンコツが銃弾みたいな威力で草
磔台の鉄が更にひん曲がってるやんけw
》もう総理辞めてボクサーになれよwwww
》イカれてやがる......でもこれが本当の総理ならなんであんなに支持率低いんだ? こんなに強すぎるのに
》うーん......やっぱりどう考えても偽物っぽいんだよなぁ。俺はこの人が神の使いじゃないかと踏んでる
》俺もそう思う。
件のは裏で悪い事やってたヤツを結局成敗してたし田所も海原に関わってた......恐らくこの警視総監も悪いヤツなんだろう━━。
》もしかして今まで神の使いがやった事と今回の事で何か共通点があるのかな?
「総理......なんでこんな......」
「親子の顔とバレンタインチョコを作る事考えてたらムカついてついね。さて、下らない話は置いといて本題に戻ろう......田所はさっき軍事開発用のモルモットにするために人を攫って殺したことを告白した。君はその先の事をその
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