第64話 突撃ドッキリにヤラセ無し
アイラのマンション玄関前にて━━。
「さぁ一体下僕の彼はどんな顔をして出てくるんでしょうか!?」
『ワクワクしますねぇ! 噂の超絶イケメンがゆーちんを見てどんなリアクションをするのか楽しみです! まぁわたくし 《月村きんせい》は一度も彼と会った事ないですけどねっ』
》これマジもんのドッキリなの?
》いやいや、ゆーちんならヤラセ無しでやるっしょwwww
》あの下僕イケメンの私生活が遂に丸裸にされるのか!!
》きんせいちゃん同じ事務所なのにまだ会った事無のか。ホンモノ見たことあるけど超イケメンだよ!
俺のスマホ画面でゆーちんと3Dアニメ女はニヤニヤしながら玄関が開くのを待っている。
「チクショウ! あのバズり女め......海外のパパラッチですら最近じゃ自宅に突撃なんてしないぞ!」
焦った俺は湯船から出ようと急ぐが、既にレイが玄関へ向かっている足音が聞こえた━━。
「はーイ......今開けますネー」
「ま......待てぇ! レイィィっ!」
ガチャ......。
「やぁアイランド君! 突撃自宅訪問ドッキリでーす!! アレっ......?」
『んっ......? ゆーちんどうした?』
「......どちらサマ......あん?」
俺のスマホに映る光景......それは照明とカメラを持ったスタッフとマイクを持って顔が固まっているゆーちん、そしてドス黒いオーラを放っているツインテールヤンデレの姿だった━━。
* * *
『コレってどういう......現場のゆーちんさん? ゆーちんさんどうかしました!?』
「あなた......ダレ?」
「えっと......その......こんばんは......」
「こんばんハ。ていうかカメラなんて構えて一体我が家に何の用? 盗撮? 犯罪?」
「す......すみません......あれ? これもしかして逆ドッキリ......? 私入る家間違えた......?」
俺じゃなく若い女性が玄関から出てきた事に驚愕したのかゆーちんは青い顔をして固まっている。
そしてスマホのチャット欄を見ると視聴者から様々なコメントが寄せられていた━━。
》おいおい出てきたの女やん! しかもクッッッソ可愛いぞ!
》これ、ゆーちん入る家間違えてね? 大丈夫?
》ゆーちん大ピンチで草
》このメイドコスの人超絶可愛いんだけど!
》なぁこれやっぱり仕込みじゃね? しかしおっぱいデカいな! そこも仕込みか?
》この子ゆーちんより可愛い......ぞ......?
》アイランドの野郎ぉっ! こんな子を家に連れ込んでたのか!? しかもメイドコスまでさせやがって!
》結局イケメンは女を食いまくってるんだなぁ......。誰か滝川ガ○ソにコイツの事タレこんでくれないかなぁ。
『ゆーちん! コメントでも言われてるけどその家で本当に大丈夫!? 私も心配になってきたよ!』
「間違ってないと思います......。すみませんメイドさん......ここはアイラくんのお家で合ってますよね?」
「......合ってますけど......アナタはまたアイラに集る邪魔なハエの1人ナノ? それなら殺さなきゃネ......?」
コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛ッ......!
「待て待て待てぇぇぇぇっ!!」
俺はレイを止めるため大急ぎで玄関へと向かう━━。
「レイ落ち着けぇぇぇっ! お前の殺人映像が世界中に見られちまうぞ!」
レイなら生放送関係なしにゆーちんを殺しかねない......そうなる前に止めないとマジでヤバいぞ!
「キャッ! アイラっ......その格好......!」
「あっ......」
『こ......これは......無課金ユーザーの格好ですね......』
タオルのお陰でギリギリ
* * *
『あは......あはは......これ完全に放送事故ですね......お見苦しい所をお見せしました......。誰かお花畑の映像流してぇぇっ!』
俺の情けない姿にスタッフは一瞬でカメラを逸らすが、やはり少し映っていたようでコメント欄には好き放題書かれていた━━。
》ホントに丸裸にされてて草
》全裸○督してて草 山○孝之かよw
》そこら辺の芸人より身体張ってるwwww
》ヤバッ! 何これガチのドッキリだったん!?
》もう事後みたいな格好してるやんwwww
》これマジであのエロメイドとエッ○した後なん!? ふざけんな裏山○刑だ!
》女を家に連れ込んでコスプレまでさせるとか早速人気iTuberの特権使ってるじゃん! このクソ野郎が!
》アイランド君はとんでもないバットを引っ提げて巨人ではなく巨チンに入団しました。死ねっ!
》イケメンのチ○コよりゆーちんの方がビックリしすぎて硬くなってるやんけwwww
「テメッ! どういうつもりだゆーちん!」
「ごごごごめんなさい! ドッキリのつもりだったんだけどまさかこうなるとは......!」
「ふざけんなよお前! 僕が殺される所を目の前で見たいのか!?」
「ひぃぃぃっ! アイラに殺され......ん? 僕が殺される所......?」
「そうだよ! そこで仁王立ちしてる触覚ツインテールを見てみろ! 虎牢関の呂布みたいになってるだろうが! しかもお前......アイツ右手に
「アイラ......アナタそこまでだらしない竿を持ってたのネ? 今からその股間にぶら下がってる敵将を討ち取った方がいいかしラ......」
シャキンッ......。
「ひぃぃぃぃっ! 僕の股間が赤兎馬みたい真っ赤に染まっちまう! 助けてくれぇぇ!」
のそのそっ......。
「おに〜ちゃんまた女はべらかしてるのぉ〜? 変な声上げてきもぉ〜い♡ ああすまんっ! また口が言う事を......!」
「オマエ最悪のタイミングで登場して最悪のタイミングで余計なこと言うな! ぶん殴るぞ!」
「ちょ......一旦ライブ切りまーーーーーすっ!!」
━━ライブ配信準備中━━
》あ......コレ1番怒らせちゃいけないタイプのやつだ......。
》メイドちゃんの声がめちゃめちゃドス効いてて草
》どちらかといえばアイランド君がレイプされる側で草
》あのメイド、ヤンデレに包丁持った呂布とか多属性すぎだろ!
》こんなハプニングある!?
》後ろにいた褐色幼女は誰だ!? 妹か!?
》もしやアイツあんなちっちゃい子まで手出してんのか!? そうならとんだクソ野郎じゃねぇか! 通報だ通報!
》しかもその幼女が"また"とか言ってたよな!? やってることがまさにヤリチンiTuberそのものやな!
》おいおいどうなっちまうんだよこの後!
スタッフが放送を止めている間にチャット欄は荒れに荒れていた━━。
『もう私......コラボしたくない......』
* * *
放送を止めている少しの間に全員リビングに集結し、配信準備が整えられた━━。
━━ライブ配信開始━━
「アイラこれはどういうコト......? この女の関係を説明しなサイ。でないとその身体を動けなくして明日から鎖に繋いで監禁するからネ......?」
「アイラ、私にも説明して。こんな可愛い彼女がいた事をずっと隠してたの? 雇用主の私に隠し事とかアイラはボコボコにされたいの?」
「しゅびばぜん......もゔボコボコでしゅ......」
俺の顔面は2人の鬼によって赤く腫れ上がっていた......。
「まぁ彼女だなんテ......このコいい子ネ♡。ではワタシから説明するワ━━」
いや待てよ......俺別に悪いことしてないのになんでボコられたんだ!? この世の中理不尽すぎるだろ! もうやってらんねぇ! 俺は『他世界はらくらくフォンと共に。』に移籍してすぐ惚れる女ヒロイン相手にハーレムしてやる!
》開幕からイケメンの顔がボロボロで草 放送停止の間に何があった!?
》やっぱ浮気でもバレたのか!?
》まさか生放送ドッキリがイケメン謝罪動画になるとは......。
》公開処刑で草
》コイツ色んな女を同時攻略してるとかエ○ゲー主人公ムーブかましてんのかよ! 相変わらず腹立つわ!
》いやどっちかといえばな○うハーレム主人公だろ、まぁ奴隷もエルフも居ないけどな。
》でもな○うにしては顔面以外チートも無いしなにより処遇が可哀想すぎるだろwwww
「オホンッ! 実はワタシ......実はアイラのお母さんに雇われて見た目の通り家事手伝いをしてるノ、お母さんは仕事が忙しすぎて家に居れないからという理由で学校に近いこの場所に部屋を借りてネ。但し、ワタシがアイラを男性として好きな事は間違いないワ......♡」
ナイスレイ! 流石気が利くお化け第一位だぜ!
最後のドスの効いた一言以外は最高だよ!
「そ......そうなんですね......。でもあれ? アイラは親が居ないって前言ってたような......?」
「......エ?」
しまったぁっ!
コイツに初期の頃親居ないって言ってたの作者も忘れてたよっ!
ど......どうする俺!?
「それハ......彼の父親は亡くなって居ないし母親はさっき言った通り仕事で家にずっと居ないからって意味で言ったんだと思うヨ。私が住み込みで働くようになったのもココ最近だし何も矛盾してないワ。それにこの子は隣の家の子で今日は子守も兼ねてここで預かってるノ......ほら涼ちゃんも挨拶しテ」
言い訳が上手いっ! そんなスラスラと適当な事を言えるなんて......まるで幾多もの修羅場を客先で潜り抜けてきたベテラン営業マンのようだ!
さあ次のバトンを頼むぞ涼━━!
「こんばんは! 今日隣のおにーちゃんちに遊びにきている涼です! ねぇねぇこれっておぢさんたちも見てるのかな? でもどうせこんなの見てる人なんてViTuberに投げ銭することだけが生き甲斐の無駄金使いよわよわおぢさんばっかなんでしょ♡ ほんとださぁ〜い♡ あああああみんなすまないっ! よろしくお願いします!」
涼も6割方空気を読んでて偉い! 流石見た目はメスガキ、頭脳は半分だけ大人だ!
後でアンチが増えそうなコメントも添えちまったがそれはもう仕方ない、メスガキなら許されるだろう!
「そういう事だったのね......視聴者のみんなも分かってくれたかな? アイラ君は別に彼女を連れ込んでた訳じゃないそうです! きんせいちゃんもパニックにさせて本当ごめんね!」
『もうホントにパニックだったよぉ! ガチでやるからこうなるんだってぇ! 今年1番びっくりしたけど私は部屋でめちゃめちゃ楽しませてもらったよ! あとリスナーのみんなもこれで一安心だね!』
》把握したけどこんな内容とは......話題に尽きないなアイランドはwwww
》メスガキに俺ら散々の言われようで草 どうせその通りだよ!
》忘れてたのに......あの年のチキンが冷めたことを思い出しちまったよ......。
》忘れてたのに......今日裏金で辞表提出した事を思い出しちまったよ......。
》リスナーに議員の萩○田居て草
》私のアイラ君に彼女居なくてホント良かったぁ......。
》しかしメイド雇えるとかカーチャン金持ちかよ!
『いや本当だよね、お母さんすごいなぁ! あ......そうだ。アイラ君初めましてViTuberの月村きんせいです! よろしくね!』
「初めましてよろしくお願いします。いつか貴女の3次元ヅラを全世界に晒すドッキリ仕掛けますから覚悟してくださいね?」
『サンジゲン? CGアニメーション会社かなぁ? アイラ君面白いねぇ......私は名前の通り金星から来たVドル箱入り娘だからこれが本当の顔だよ? 一体何を言ってるのかなぁ?」
「うるせぇ黙れ顔面イラスト野郎! 何が本当の顔だボケぇ! モーションキャプチャーの誤動作でたまにキモい痙攣起こすそのツラを現世に引き摺り出してやるから覚悟しとけよアバズレ!」
『えっ......』
》初手でとんでもない言葉吹っかけてて草
》初対面なのに容赦なさすぎwwww
》きんせいちゃん黙っちゃったじゃんwwww
》俺のきんせいちゃんにそんな口利くと許さないぞ!
》それは言っちゃいけない発言だろ! ゆーちんの下僕のくせに偉そうな事言うな!
「んだとコラァ! 許さないならなんだってんだク○野郎共! こちとらライブ配信で家まで晒されてんだ! 直々にテメェらをミンチにしてやっからガタガタキーボード打ってないでかかって来い!」
》相変わらず口悪すぎて笑うwwww
》これは確実に燃えるな......。
》コイツホントリスナーに対して強いから好き
》さっきまでボコられてしょげてた癖に悪口になった途端元気いっぱいで草
「まぁまぁ落ち着いて......突然押し掛けて本当ごめんねアイラ。今日は予告なしのドッキリだったしギャラ弾むからそれで許して欲しいな━━」
「うんわかった。じゃあ早く金振り込みに帰れ! シッシッ!」
俺の部屋に入られるのはまずい......何故なら真央の遺品や母さんの位牌もある。
ここでゆーちんや動画の連中に俺=真央とバレるわけにはいかない━━。
「ありがとう、じゃあいい画も撮れた事だしお暇しますか。そうだ! 今度メイドさんも動画に出てくださいよぉ!」
「アナタを血祭りに上げても良い動画ならいつでも出てあげル」
「えっ......や......やっぱりやめときます......」
「フフッ......冗談よ出てあげル。でもそうなりたく無かったらワタシとアイラの邪魔をしない事ネ、ワタシにはチャンネル登録者数の力や信者の攻撃なんて一切関係無いし容赦しないカラ━━」
「わ......わかりました......。そ......それでは今日の放送はここまで! 次回突然お邪魔するのはアナタの家かもしれません━━」
『もうこのドッキリはやめようよゆーちん......』
》乙! 楽しかった!
》アイランドはやっぱり最後まで金の亡者だったな
》メイドさん可愛かったぁ......。
》ヤンデレメイドさん怖可愛い♡
》これで次マジできんせいちゃん家行ったらiTube史上初のViTuber自宅訪問ドッキリになるな!
「それじゃみんなまたね! バイバーイ!」
ゆーちんはカメラに向かって挨拶をしながら俺の家を後にした━━。
* * *
「ふぅ......レイのおかげでなんとか乗り切ったよありがとう」
「イエイエ、それよりアイラ......」
「ああ......俺の分身に乗り移って少し顔を変わっているとはいえレイの事を知られたな」
「ウン。それでなんだけド、アイラと一緒に過ごして思ったんだけどワタシ......自分の身体を取り戻したイ━━」
「何となく察してたよそれ。いよいよお姉さんに本当の事を言う時が来たな......」
「でも......あんな別れ方したのにお姉ちゃん分かってくれるかナ?」
「大丈夫さ、レイのお姉さんならきっとね━━」
* * *
作者より。
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