第43話 チートダメゼッタイ


 俺は5人にバレないように音やその他全てを外部から遮断するバリアを周囲に張る━━。



「5人か......この中から将来の花嫁でも選べば良いんか? 楽しそうだな━━」


「戯言を......人生最後の言葉はそれで良いのか?」


「んなワケないでしょ。僕はこの後録り溜めたウ○娘を見てミナミサンブラックを応援したいんだ」



 最初に対峙した2体の敵が持っていた武器は武器は両手についた5本の爪のような刃がついた手甲鉤だった。



「いや無理だ殺す......はぁぁぁっ!」



 奴らは普通の人間ではあり得ない跳躍力で一気に俺との間合いを詰めた。



「アンタら人間にしては足が速すぎるしマジでウ○娘みたいだな。残念ながら頭から耳は生えてないけど━━」

 

「へっ......喋りながら俺達の動きを平然と躱しているとはな。お前もアレをやっているのか?」


「アレって何? もしかしてタッ○ルか? Tin○erか? Wi○hか? 生憎それ系のアプリって18歳未満は出来ないんだよね」


「余裕ぶりやがって......死ねぇ!」



 2人は俺まるでシンクロでもしているようにように同時に鉤をの顔面目掛けて振り回す。



「いや......死ぬのはアンタ達だ━━」



 ガキンッ━━! 



「なにっ......!」



  俺は襲いかかる2人に対して刀を軽く振り下ろし、相手が振り翳した手甲鉤てっこうかぎの刃を簡単にへし折った。



「その爪は潮干狩りで使うべきだったな。それと2人とも明日からナイフとフォークが使えない体になるけど、プロなんだからそんくらいの覚悟は出来てるよね......?」



 スパッ......! ザシュッ━━!



「ぐぁっ......!」



 2人がはめている手甲ごと両手首を切断し、刀に付いた血を振り落とした━━。



「この野郎っ......! やりやがったな......!」


「タンパク質をちゃんと摂らないからそんな虚弱体質になるんだよ。大人しくしてろ━━」



 そして俺は1人の身体を蹴り倒し、足で首根っこを押さえ込む。

 そしてもう1人は刀を足に向け、今度は両足首を切断し行動不能に追い込む。

 切断した足からはおびただしい量の青い血液が流れ出ていた。



「なん......だと......!」


「クソッ......なんて力だ......!」


「アンタらとは鍛え方が違うんだよ、僕は鍛錬のために毎朝ビーチで愛犬との散歩を欠かさないからね」


「舐めやがって......殺してやる!」


「辞世の句はそれで最後か? プレ○トならワンランク降格だな━━」


「っ......何をする気だ......! うぉぁっ!」



 足で首根っこを押さえ込んだ敵を蹴りで宙に浮かせて居合斬りの体勢に入った━━。



「やめろぉっ......!」



 ス゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ッ━━!



「なっ ひっ ぅっ......!」



 俺は宙に浮かせた敵を均等に切り刻み、死体は地面にボトボトと音を立てて落下した━━。



「1人で五等分の○嫁になっちゃったよ。しかし20点は盛り過ぎた......精々2点くらいか━━」


「松本......この化け物が......!」


 

 俺はふと刀に付着した血を見ると血液の色にしてはやけに青い色をしていた━━。



「おいおいよく言うよどっちが化け物だ、そこで今死んでるエグ○ディアとお前は血の色がカブトガニと同じじゃん。さては本物のエイ○アンだな?」


「チッ......! 手足が使い物にならないし回復に時間が掛かる......。お前ら頼むコイツの息の根を止めてくれ!」


「......下のお前が指図すんなよ。1人も殺した事ないお荷物のくせに━━」


「リーダーの松本が殺されたんだ、テメェに言われなくても殺るよ」


「お前本当使えねぇな、初めての現場だからって俺達に甘えて手間取らせるなよ。このでくのぼう」


「くっ......!」



「アンタらこの人と仲悪いんか.....? それとも新入社員に対する意地悪上司のイジメか?」


「テメェには関係ねぇだろ? 松本の仇だ......黙って死ね.....!」



 残りの黒ずくめ3人組は一斉に襲いかかる。

 3人はそれぞれ波状の刀身になっているフランベルジェ、ククリナイフ、メイスを手に持ち俺の足と腕、そして脳天目掛けてそれぞれ攻撃を仕掛ける━━。



「名探偵コ○ンの敵みたいな風貌しやがって......ここには赤○秀一もシ○リーも居ないぞ黒の○織!」


「ふっ......松本を殺したのは拍手したい所だが、所詮はダラけた学生の体力だ。我々3人に対してその威勢がいつまで持つかな?」


「それが今月は体力テストもあるからちょうど運動してたんだよ。しかし殺し屋なのにそんなマイナーな武器使ってたら入手ルートからすぐバレてアウトでしょ?」


「ふん......お前は此処で簡単に斬り刻まれて死ぬんだからそんな事を心配するな。死ね.....」


 

 シュンッ......!



 3人は恐るべき速さで武器をスイングさせ俺の急所を攻める。

 それを見切った俺は瞬間移動を使い即座に3人の背後へと回る。



「......全くそんなに自分の切れ味に自信あるなら通販番組に出てプレゼンすれば良いのに━━」


「一瞬にしてお前......! 一体どんなトリックを使った!」


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 ズバァァッ......!



「ぅっ......」



 フランベルジェを持って襲いかかってきた敵を肩から斜めに切断して確実に息の根を止める。



 スパンッ......ザシュッ━━!



「ぃっ......」


 

 続いてメイスを持った敵の首を刎ね、真っ直ぐ縦に身体を切断して最後にククリナイフを持った敵へ刃を向けた。



「こりゃトー○堂の通販番組出演は来世になりそうだな━━」


「.....なんて強さだ......イカれてやがる!」


「僕を殺したいなら一国の軍隊を引き連れた上に核爆弾でも落とすしかないよ。そんな事よりせっかく買ってもらったスーツがお前らの体液で台無しだ......クリーニング代は死を以て償え━━」


「な......やめ......」



 ス゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ッ━━!



「アイツらがあんな簡単に......本物のバケモノだ......」


「カットステーキの方が食べやすいだろ? こういう細かい気遣いが出世に繋がるんだよ新入社員さん」



 俺は手足を失い青い血を流している最後の1人の元へ近寄る━━。



「これで合計8点だ。残る星人は1人......」


「倉本に澤本、伊本まで簡単に殺すなんて......お前一体なんなんだよ......」


「質問はこっちがするよ上杉君、そっちこそ一体何者だ? その様子だと痛覚も抑制されているみたいだし、さっき切った手足なんて傷が塞がってもう再生し始めてる......ご飯にボンドでもかけて食ってるのか?」


「......お前に答える義理は無い。それに俺は上杉じゃねぇ......」


「そっか、じゃあアンタには人として大事な痛覚の感度を上げて口元を緩くしてやるよ《レールムサエペインアサギ侵食する悪魔の神経》」



 俺はスキルを使って神経に侵入し痛覚抑制を解除して感度を上げる。

 そして更に痛みを与えるために手に持った刀に熱を加えて刀身を赤く染め、塞がった傷口のすぐ上を生ハムのようにスライスして焼き切っていく。



 ジュゥゥゥ......。



「キ゛ヤ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ━━!」


「今は痛覚の感度を通常の3000倍に上げ......なんかどっかで聞いたことある数字だな? あれどこだっけ?」


「ヤ゛メ゛テ゛ク゛レ゛ェ゛ェ゛ッ━━!」


「やめて欲しけりゃ話してよ......とりあえず顔見えないから仮面を取るね。全くこんな仮面被るよりどっかの医者みたいに女優のパンツでも被ってれば良いのに━━」


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!」



 仮面を外すとそこに現れたのは白目を剥いて涎を垂らしながら痛みに耐えている褐色の肌をした長い髪を短く束ねた女だった。



「げっ......俺っ子だったんだこの人━━」


「ハ゛ナ゛ス゛カ゛ラ゛! ヤ゛メ゛テ゛ェ゛ェ゛.....」



 俺は痛覚を再び元に戻して少し落ち着かせた後、俺っ子お姉さんから話を聞くことにした━━。



*      *      *



「少しは落ち着いた? それじゃあまず名前と所属、それから志望動機をお願いします」


「はぁ......はぁ......俺の名前は水木、侠道会専属の新人殺し屋だ......志望動機は━━」


「冗談だから言わなくて良いよ、もしかして天然?」


「っ......! 違う......」



 少し息を切らしながら俺っ子お姉さんはポツポツと答え始めた━━。



「なるほどね......しかしまたあのヤクザか。それで俺になんの用? 答えないとまた耐麻忍たいまにんか君の仲間のようにカット野菜にするぞ」


「言うよ......俺達はシーフィールドから依頼された事をこなしに来ただけだ」


「あのタヌキ親父め......煽り耐性無さ過ぎだろ! それでソイツから俺を殺せと言われたのか?」


「そうだ......我々とあの事務所は太く繋がってる。それに警察上層部とも━━」


「そうか.......いよいよキナ臭くなって来たな。にしてもあの身体能力はなんなんだ? もしかしてチート持ちか? まさかチートに手を出したなんて......そんなのお母さん絶対に許しませんよ!? 今からお店に返しに行きますからついてきなさいっ! チートダメゼッタイ!」


「それはこっちのセリフだ! お前こそなんなんだあの力は......攻撃が一撃も当たらない上に人を簡単に千切りするなんて確実に人間を辞めてるじゃないか。一体何したらそうなるんだ?」


「それは炭水化物ダイエットのお陰さ」


「......それでなれたらOL達はみんなチート持ちだよ......」


「それよりお姉さん達は人造人間なの? 血の色も青いしめちゃめちゃおっかないよ......?」


「違う......これはとある薬・・・の効果とナノテクノロジーの力だ━━」


「......どういう事?」

 


 俺っ子お姉さんは徐に口を開いて俺に話し始めた━━。


*      *      *


作者より。

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