第7話家出少女、ゲーミングPCを持つ

「何見てるんだ?」


零がどこか一点を見つめていたから聞いてみることにした。


「いや、別に。」


なんか誤魔化そうとしてるっぽいな。


「遠慮しなくて良いんだぞ、何でも買ってやるから。」


なんか親戚のおじさんみたいな発言をしてしまったな。


「ならゲーミングPC買って。」

「モニターとヘッドホンもいるか?」

「えっ?『そんな高価なもの買えない。』みたいな反応期待してたのに。」

「俺の財力を舐めちゃいけねぇ。」


まぁ、なんですが。


「いいよ。ここまで買ってもらったのに、ねだることなんて出来ないよ。」

「良いんだよ。欲しいなら買っとけ。」


俺用のゲーミングPCも、零のを買うついでに買おうかな。ノートPCしか持ってないしな。


「ついでにスピーカーも買おうか。」


音質は良いに越したことはないからな。


「待ってよ。今日でどれだけお金浪費する気?」


確かに今日はお金いっぱい使ったけど。あれ俺なんで零の欲しい物何でも買ってやりたいと思うんだ?これはまた今度考えるか。


「まぁまぁ、いいじゃん。俺も欲しいし。」

「駄目。また今度にしよう。」


この程度の出費なら全然大丈夫なんだけどな。


「早く帰ろう。」

「本当に買わなくて良いのか?」

「いいから帰ろう。」


ーーーーーーお正月から丁度15日が経った日ーーーーーーー


「届いたぞ〜。」


今日はやっとアレが届いた。


「何が届いたんですか。」

「よくぞ聞いてくれた。ちょっと待っとけ。」


俺は玄関から大量のダンボールを持ってきた。


「これだ!」

「何買ったの?」

「それの答え合わせは部屋を移動してからにしよう。」


俺達は同じマンションの隣の部屋に移動した。


「ここ、空き部屋だよね。」

「というか、この階の半分は俺の部屋だぞ。」

「本当に何者なの…。」

「そんなことは置いておいて答え合わせをしよう。」


そう、このダンボールの中身の答え合わせだ。


「正解はゲーミングPC、モニター、ゲーミングチェアー、スピーカー、ヘッドホン、キーボード、マウスのセットだ。」


零は無言だった。


「怒ってます?」

「怒ってない。ただ感謝の気持ちと申し訳無さの感情が混ざって、なんて返答すればいいか迷ってた。」

「なんだそんなことか。」


案外くだらないことで悩むんだな。


「『ありがとう』って言ってくれたらそれでいいよ。人って謝罪より感謝を好むものだから。」

「わかった。ありがとう。」


なんか人に感謝されると心の奥がジーンとするな。


その後、空き部屋にゲーミングPCを設置した。

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人嫌いが家出少女を拾ったら、なぜか好かれました DJキウイ @DJkiui

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