第6話家出少女、スマホを持つ
「「あけましておめでとうございます。」」
今日は1月1日、お正月だった。
「雑煮作ったけど食べる?」
「食べるわ。」
そういえば零、スマホ持ってなかったな。そろそろ連絡を取れないのが不便になってきた。
「零、スマホ持ってなかったよな。」
「うん。」
「今日、買いに行くか。」
「そういうのって法的代理者とかいらないの?」
「大丈夫。俺の名義で登録して、それを零が使えばいいから。」
「なら大丈夫かも。」
ーーーーーーーーーーーーーー
「やっぱ、これにしよう。」
俺が選んだのは若者に人気のある機種だ。値段は10数万円するが、安いものを短く使うより、高いものを長く使うほうが案外、出費が安く済んだりするからな。
「そんな高いものをいただけません。こちらの1万円台のものにしましょう。」
零が手に持ってのは中古のガラケーだった。
「それ、スマホじゃないぞ。」
「知ってるそれくらい。けど連絡用ならこれで十分でしょ。」
たしかにそうだが、この時代にガラケーはないだろ。
「いいから、俺からのお年玉だとでも思っていてくれ。」
零は不服そうだったが、なんとか言いくるめた。
「良いのかな、こんな高いものを貰って。」
「いいんだよ、貰えるものは貰える時に貰っとけ。」
それから俺は連絡アプリを立ち上げ、零のスマホのアプリと連絡先を交換した。
「これでいつでも連絡できるな。」
「うん。」
「どうせなら買い物して帰るか。」
俺らが来ているスマホ店は、ショッピングモールの中にある店だった。
「なに買うの?」
「零の欲しい物。」
今日は最初から零に、お正月だし好きなものを好きなだけ買ってやるつもりで来たからな。
「いいよ、これ以上貰えない。」
「大丈夫。今日の予算は50万円までだ。」
「何が大丈夫なの。」
感情をあまり外に出さない零が、今までで一番のリアクションを取ったと思う。
「残りスマホ代引いて40万円は使っていいぞ。」
「スマホって16万円くらいしてなかった?」
「切り捨てして10万円扱いだ。」
「本当に何者?」
「それは秘密だ。」
ちなみに零はそのあと、生活用品と電化製品と服に20万を使った。残りは秘密と言って、現在どこかに連れて行かれている。
「ここって…。ゲームコーナー?」
「そう。ここで残りの20万円を使おうと思う。」
なるほど。ゲームを買うのか。
「なに買うんだ?」
「PF5とSwotch2台は確定で買う。」
ざっと18万円くらいか。切り捨てで10万円か。
「あと10万円は何に使うんだ?」
「10万円も残らないと思うけど。」
「切り捨てで10万円残るぞ?」
「ならゲームカセットでも買おうかな。」
買い物終わったし、帰るか。そう言おうと思ったとき零は一点を見ていた。
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